【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

22 / 183
施錠された室内。
場に居るのは人形三体と俺。

パンナコッタが固まるまであと30分…俺は、生き延びる事が出来るか。


戦慄のお返しタイム

 

待ってくれ、何でわざわざ部屋の施錠をしたんだ。

…改めて現状を見直すと、俺は今から見た目幼女の人形に白濁液(パンナコッタ)をスプーンで口に流し込…。

 

あ、事案だこれ。

 

「し、しししし指揮官!それは、新手のぷ、ぷれ…」

「ジョージ、小さな子にそんなプレイするのが趣味だったんですか…?」

「待ってくれ、な?落ち着いてくれ。疚しい事は一切ない」

「…ジョージ、私もそう言うのはやぶさかではありませんよ」

「やべぇ逃げるぞ」

 

M4は顔真っ赤にしてショート気味、スプリングフィールドは満更でも無さそうな表情で着ている服に手を掛けている。

なんかスプリングフィールド脱ぎ芸が付いてる気がするが。

 

「わ、わたしもジョージさんにそんな事されたい!!」

「トカレフ!?」

 

駄目だ、味方はたった今寝返った。

 

「そ、そんな事!?やっぱり疚しいじゃないですか!私というものがありながら!!」

「M4、俺は君とそんな関係になったつもりは無いよ?」

「さぁジョージ。お返しをください…」

「やめろスプリングフィールド!ズボン掴むな!」

「ジョージさん!わ、わわわたしも…!」

「やめて!信じてたのに!トカレフ!」

 

人形三体にただの人間である俺が勝てる訳がない。

なんとか、なんとかこの場を切り抜けなければ…!

 

「え、M4!検査がどうしてこんな早く終わったんだ?予定ならもう少しかかってただろ?」

「愛です」

「えっそれだけ!?」

 

話が続かない…!

ええい、次はスプリングフィールド!

 

「愛ですよ!」

「理由を言え!」

「あ、愛ですっ!」

「トカレフはえーよ!まだ振ってない!」

 

まともに話すつもりが毛頭ないらしい。

真面目な話、指揮官着任前に人形と肉体関係を持つのは非常に拙い。

どこの所属とも判らないとなると人事に吊し上げを食らう。

疑似とは言え感情を持っているし、そこから着任時に付けられる副官の問題にもなる。

 

「三人とも…落ち着いて聞いてくれ…俺はまだ誰ともそういう…」

「ここで何騒いでるのよ!廊下まで聞こえてるわよ!あ、あら?鍵がかかってる…」

 

救世主降臨。

この声はWA2000だ。

 

「WA2000か!お前にも渡す物がある!」

「指揮官。まだお話が終わってませんよ…?」

「…はぁ、仕方ないですね…今回は引き下がります」

「その、スミマセン」

「M4さん。まだ時間はあります。ここは堪えましょう」

「う、うぅ…」

 

良かった、助かった…。

しかし、こんな時に来るとはWA2000も何やってたんだろうか。

 

「はいってきて大丈夫ですよ、わーちゃん」

「え?スプリングフィールド…?それにM4にトカレフ…ジョージ、あんたまさか…」

「君のお陰で助かったよ…時間も丁度良かったし」

 

時計を見る。

…1時間半。

冷蔵庫を開けて、容器を四人に渡す。

 

「すまない、遅くなった。こんなんで悪いがお返しだ。ありがとな」

 

…何はともあれ、一応の決着は付けられたか。

四人とも普通に喜んでくれた。

 

…M4だけ、少し寂しそうな顔をしていたが。

 

「………」

 

また、別途で話す必要がありそうだ。

 

 




ホワイトデー、完。
4月1日まで引っ張るか悩みましたが筆が乗ったので終わらせました。

次回はM4単品回。
ほのぼのしましょうよほのぼの。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。