場に居るのは人形三体と俺。
パンナコッタが固まるまであと30分…俺は、生き延びる事が出来るか。
待ってくれ、何でわざわざ部屋の施錠をしたんだ。
…改めて現状を見直すと、俺は今から見た目幼女の人形に白濁液(パンナコッタ)をスプーンで口に流し込…。
あ、事案だこれ。
「し、しししし指揮官!それは、新手のぷ、ぷれ…」
「ジョージ、小さな子にそんなプレイするのが趣味だったんですか…?」
「待ってくれ、な?落ち着いてくれ。疚しい事は一切ない」
「…ジョージ、私もそう言うのはやぶさかではありませんよ」
「やべぇ逃げるぞ」
M4は顔真っ赤にしてショート気味、スプリングフィールドは満更でも無さそうな表情で着ている服に手を掛けている。
なんかスプリングフィールド脱ぎ芸が付いてる気がするが。
「わ、わたしもジョージさんにそんな事されたい!!」
「トカレフ!?」
駄目だ、味方はたった今寝返った。
「そ、そんな事!?やっぱり疚しいじゃないですか!私というものがありながら!!」
「M4、俺は君とそんな関係になったつもりは無いよ?」
「さぁジョージ。お返しをください…」
「やめろスプリングフィールド!ズボン掴むな!」
「ジョージさん!わ、わわわたしも…!」
「やめて!信じてたのに!トカレフ!」
人形三体にただの人間である俺が勝てる訳がない。
なんとか、なんとかこの場を切り抜けなければ…!
「え、M4!検査がどうしてこんな早く終わったんだ?予定ならもう少しかかってただろ?」
「愛です」
「えっそれだけ!?」
話が続かない…!
ええい、次はスプリングフィールド!
「愛ですよ!」
「理由を言え!」
「あ、愛ですっ!」
「トカレフはえーよ!まだ振ってない!」
まともに話すつもりが毛頭ないらしい。
真面目な話、指揮官着任前に人形と肉体関係を持つのは非常に拙い。
どこの所属とも判らないとなると人事に吊し上げを食らう。
疑似とは言え感情を持っているし、そこから着任時に付けられる副官の問題にもなる。
「三人とも…落ち着いて聞いてくれ…俺はまだ誰ともそういう…」
「ここで何騒いでるのよ!廊下まで聞こえてるわよ!あ、あら?鍵がかかってる…」
救世主降臨。
この声はWA2000だ。
「WA2000か!お前にも渡す物がある!」
「指揮官。まだお話が終わってませんよ…?」
「…はぁ、仕方ないですね…今回は引き下がります」
「その、スミマセン」
「M4さん。まだ時間はあります。ここは堪えましょう」
「う、うぅ…」
良かった、助かった…。
しかし、こんな時に来るとはWA2000も何やってたんだろうか。
「はいってきて大丈夫ですよ、わーちゃん」
「え?スプリングフィールド…?それにM4にトカレフ…ジョージ、あんたまさか…」
「君のお陰で助かったよ…時間も丁度良かったし」
時計を見る。
…1時間半。
冷蔵庫を開けて、容器を四人に渡す。
「すまない、遅くなった。こんなんで悪いがお返しだ。ありがとな」
…何はともあれ、一応の決着は付けられたか。
四人とも普通に喜んでくれた。
…M4だけ、少し寂しそうな顔をしていたが。
「………」
また、別途で話す必要がありそうだ。
ホワイトデー、完。
4月1日まで引っ張るか悩みましたが筆が乗ったので終わらせました。
次回はM4単品回。
ほのぼのしましょうよほのぼの。