過去の後悔と決着を着けるための戦いが始まる。
「WA2000!味方の撤退状況は!」
「8割よ!」
「あとの2割はどこのどいつだ!!」
「アンタよアホ指揮官!!」
「だと思ったよ!!」
頭の上を弾丸の嵐が通過していく。
その下で俺はバディ兼副官のWA2000と怒鳴り合っていた。
鉄血を退けてAR小隊の撤退と言う任務が達成出来たまでは良かった。
…そこに、ハイエナの如く別のPMCが介入してこなければ。
グリフィンの戦術人形は人間に対するセーフティが堅く、敵PMCの人間達に発砲出来ない人形が多数出てきてしまった。
対鉄血に重きを置いていた為の弊害であった。
その為、唯一戦える俺と…置いていけないと駄々をこねるWA2000を残して撤退させていた。
馬鹿だと思うだろ?俺もそう思うよ。
ただ、相手に心当たりがある為、話が別になってくる。
「このっ…!」
遮蔽物から銃だけ出す盲撃ち。
今手に持っているのは89式自動小銃…そいつから三発弾が発射され、手榴弾を投擲しようとしていた兵士にヒットした。
遅れて、爆発。
「今だ!移動する!」
「了解…ジョージ、前!」
「っ、いつの間に…オルァ!!」
混乱の隙を突き後退…しようとした先に、兵士が一人。
走った勢いのまま肋に小銃の銃床をめり込ませた。
そのまま振り上げた銃の銃床を顔面に寸分違わず振り切る。
「やるじゃない!」
「伊達に独立傭兵やってねぇよ!走れ!」
タイマンなら接近戦に覚えがあるので排除は簡単に出来る。
しかし、元々集団戦は搦手を多用するスタイルの為正面から迎撃するのは苦手とかそういう問題では無く、厳しい。
逃げ回りながら少しずつ数を減らす。
「グリフィンの合流ポイントは!?」
「まだ2キロ先!」
「聞かなきゃ良かった!」
グリフィンから応援が来るらしいが、セーフティの件もあり到着はかなり遅い。
増援が来るまで耐久する手は正直言ってこちらの物資的に厳しい。
「策は無いの!?」
「ノープラン!ただ、あいつ等の視線を釘付けに出来てるって事に関してはパーフェクト!」
「何がパーフェクトよバカ!」
「自律人形ライフル型が2!」
「あーもうくたばれ!!」
WA2000の素早い射撃がライフルを構えていた自律人形の頭をぶち抜く。
流石期待のエースだけはある。
こんなのが俺のバディとはこれだけ見ると待遇に涙が出るね。
この状況では自衛が精一杯だがな。
「何でアンタが戦う事に拘ってるのよ!」
「何でって…」
あのPMC…報酬全額前払いのクソ野郎共なんだよな…。
俺を切り捨てたムカつくPMCだったのだ。
グリフィンの主力がピンチだったので、戦力を削るつもりで機会を待っていたらしい。
そしてもう一つ理由があった。
クルーガーから、戦闘前に依頼があったのだ。
傭兵としての、最後の依頼が。
ほのぼのを全力で投げ捨てた上に戦闘まで始めるクソ野郎な作者で本当に申し訳ない。
でも、流石にやられっぱなしも可哀想かなと思ってしまったんだ。