借金から始まる前線生活   作:塊ロック
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俺、指揮官になります。


第一章 借金から始まる研修生活
傭兵、指揮官になる


 

 

やっちまった。

 

 

俺は今、独房の中で頭を抱えていた。

 

おかしいとは思っていたんだ。

だが、こっちにも相応の事情があった。

 

 

 

 

蒸発した親父が残した大量の借金を返済する目処が立てば、胡散臭い仕事を引き受けざるを得ない。

 

父親が消えた日から、俺は母を一人残し傭兵となって日々泥水を啜りながら我武者羅に銃を取り金を稼ぐ生活を続けていた。

 

 

 

 

 

それから五年が経った今、届いた依頼を見て跳び上がったのが記憶に新しい。

 

 

『報酬:全額前払い』

 

 

その文字の後に書かれた金額を見て目を見開いた。

 

借金のおおよそ3分の1。

 

迷う事なく依頼を受けてしまったのだった。

 

 

……………こんな旨い話があるか、とどうして気が付かなかったのだろうか。

 

 

仕事内容は、PMCの運送ルート襲撃。

この依頼を出しているのは別のPMCなのだが…まぁ、同業同士でなにか思うところがあるのだろう。

 

指定された時間に道を塞ぎ、トラックを強襲して防衛を引っ掻き回し後から到着する本隊の時間稼ぎ。

 

これだけ見るとかなり危険な仕事だが、推定戦力がそれほど脅威ではなかった為に判断を誤ったようだ。

 

 

…実際に現場を見た時、予想より戦力が少なく楽勝ムードが出ていたのが更に拙かった。

 

 

「…依頼を受けた傭兵だな」

 

「ああ、そうだ。足止めはした。後はあんた達の仕事だ」

 

「良い働きだ…だが、」

 

 

本隊の兵士達がこちらに銃口を向けているではないか。

 

 

「お、オイオイ…なんの冗談だ?」

 

「もうすぐグリフィンの救援が来る。お前にはそれまでここでのたうち回ってもらう」

 

「なっ…」

 

 

体のいい捨て駒。

こいつらはここで俺を主犯に仕立て上げ切り捨てる腹積もりだったのだ。

 

 

「マジかよ夢なら醒め」

 

「騙して悪いが、仕事なんでな」

 

 

足に弾丸を打ち込まれ、膝を付いた瞬間、銃床で頭を打ち据えられた。

 

まぁ当然気を失うわな…。

 

 

…で、気が付いたら檻の中って訳だ。

 

 

あのままグリフィンの増援部隊に回収されてしまっていたらしい。

 

 

しかもこの独房があるのは襲撃対象だったPMC…グリフィン&クルーガーの本部。

 

あっ、詰んだわ。

 

人生がここで終わる系の詰み。

 

すまねぇ母さん…先立つ親不孝を許してくれ…。

最後に一発親父ぶん殴りたかった。

 

 

「お疲れ様です!クルーガーさん!」

 

「すまない、少し外してくれないか」

 

「はっ!」

 

 

…おや、誰か来たようだ。

待て、クルーガー?

 

 

「初めまして、テロリスト君」

 

 

独房の檻の前に立ったのはえらくガタイのいい髭面のオッサン。

…明らかにカタギではない。

 

 

「単刀直入に言おう。うちで指揮官をやってもらう」

 

「…………はぁ!?」

 

 

ごめん母さん。

当分帰れねぇや。

 

 

 




報酬全額前払いは信用してはならない。

蒼き雷霆の最前線のネタが思い浮かばずに新しいのを始めてしまった。
とりあえず息抜き程度に触っていきます。


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