「…なんの話だ」
「オイオイ、惚けないでくれよ。私らAR小隊を輸送していたトラックの強襲。車両が横転するまでとPMCの連中の手際の悪さ。そこで負傷し回収されたアンタ。疑うなって言う方が無理な話だろう?」
「…」
最初から、バレていた。
俺が彼女達の襲撃の片棒をかついでいた事が。
「私らを襲った上に妹分に怪我させたんだ…覚悟、出来てんだろうな」
「…ああ」
M4が真実を知った時、彼女になら殺されても良いと考えていた事もある。
しかし…それも甘い考えだったなと思い知らされた。
「………と、まぁ普通ならぶん殴る所だが」
「は?」
「相手は怪我人、しかも命の恩人でもある…そうよね、M16?」
「ああ…複雑な事にアンタは今回の作戦で私達を救出している。世の中何があるか本当に解らないな」
待て、待て待て待て。
「お前ら、そんなんで…そんな風に片付けていいのかよ…俺が憎くないのか…!?」
「勘違いしてもらいたくないのだけれど、貴方に良い印象は無いわ。私達の小隊長をあんな風にしたのは許さない」
「だったら…」
「怪我人殴るほど落ちぶれちゃ居ない。それだけだ」
そう告げると、二人は背を向けた。
「あんたの自己満足の為に何かしてやるつもりもない。せいぜい人間の罪悪感とやらで悩んでるがいいさ」
「…何だよ、それ」
「救助には感謝する。それまでM4の面倒見てくれた事もな…それでチャラにしといてやる」
絶句する。
…しかし、当然の報いなのかもしれない。
「…さっさとどっか行ってくれ」
「言われなくても。じゃあな」
病室は、また静かになった。
…恐らく、M4はもう俺の前には現れないだろう。
彼女の小隊がそれを許さない。
「これで、良かったんだ…」
テロリストにお似合いの末路だ。
結局、俺は自分の満足の為にしか行動できないのだから。
「…疲れた」
本当に、疲れた。
…もう俺は充分に働いた。
そろそろ楽になっても良いんじゃないだろうか。
「何やってんだろうな…俺」
気が滅入る。
どうしようもなく悪い方向へ思考が行ってしまう。
俺はこんなに弱い人間だっただろうか。
「…寝よう。一度、思考を切り替えよう」
暫く、誰ともいつも通りに話すのは無理だろうな。
自分のエゴの結果として、納得するしかない。
問題はいつ落とし込むか。
…暫く、引きずりそうだ。
殴られて罵ってくれたほうがどれだけ楽になれたか。
「…これだから人間ってのは…厚かましいんだ。どこまでも」
重い悩みとは裏腹に、睡魔はすぐに襲ってきた。
俺は、意識を速攻で手放した。
AR小隊からの印象は最悪を極めていた。
日常回が見たいと言う声が多くて内心びっくりしてます。
それなら、頑張ってみようかなと。