状況は絶望的。
一縷の望みを賭けて本部への救援要請を祈る。
『指揮官!ダイナゲートの群れは片付いたにゃ!』
「よくやった!次、リッパーとヴェスピド!狙撃してるから仕掛けろ!」
ダブルテイクのトリガーを引く。
真っ直ぐ2発の弾丸が飛び、リッパー2体の頭を撃ち抜いた。
『
「9A-91、集中しろ!右からくる!」
『邪魔、ですよ!』
9A-91が襲いかかってきたリッパーを見事な回し蹴りで地面に倒した。
…前々から思ってたが、9A-91は体術の素質があるかもしれない。
鍛えたら化けるかも。
(これ乗り切らないといけない理由が、増えたな…)
それはそれで楽しみだから、死にものぐるいにもなると言うもの。
そんな事を考えていたらG17ならの悲鳴じみた通信が聞こえる。
『ボス!ガードだ!装甲が抜けない!』
「チッ、カラビーナ!」
「もう撃ってます!」
うちの基地、破甲が出来る武器がライフルしかない為前衛にかなりの負担を強いている側面がある。
カラビーナが的確にガードの頭を撃ち抜いていく。
流石練度があると自負するだけはある。
周りで撃っている2体のダミーも中々の精度だ。
「やるな、カラビーナ」
「この調子で、指揮官さんのハートも撃ち抜きますよ!」
「悪いけど俺のハートは、防弾性だ!」
負けじとこちらも射撃する。
競う相手が居ると能力が上がる人間としての闘争本能に火がつく。
たまには、悪くない感情だ。
俺の能力も打ち止めだと思っていたが、まだまだ伸びるらしい。
やはり、闘争こそが人類の可能性なのかもしれない。
『ふーん、頑張るねぇ?』
突如無線に割り込む別の声。
「こんな寂れた基地に何の用だお嬢さん」
『知りたいの?暇潰しよ、ひ、ま、つ、ぶ、し』
「…脳ミソまでカビたか」
『最近
こちとら生き死にが懸かってると言うのに、こいつは。
だが、怒りに我を忘れてはいけない。
俺には部下が居る。
軽率な行動を起こして良い立場じゃない。
言動からして、こいつは
人形共を積極的に前に送って来ないのはこちらを舐めてるからだろう。
勝機は、その隙きを突く。
だが…。
(決定打が、無い)
相手の虚を突く作戦も、火力も、機動性も無い。
こうして防戦しながら数を減らし祈るしか、今は出来な、
「指揮官さん!」
「カラ」
肩に熱が指す。
左手がだらり、と下を向く。
…後からやってきた衝撃で、後ろに吹っ飛んだ。
「い、いやぁぁぁぁぁ!!?指揮官さん!?指揮官さん!!しっかり、しっかりして!!」
やめろ、カラビーナ!来るな!
お前が集中を切らしたら…!
言葉の代わりに、口から血が吐き出される。
左肩を撃ち抜かれた。
カウンタースナイプされたのだ。
カラビーナに触発されて身を晒しすぎた…迂闊。
そして、カラビーナの意識がこちらに向いた事でダミーの統率が乱れる。
結果、ダミーが2体とも頭を撃ち抜かれ沈黙した。
「指揮官さん!駄目、目を閉じないで!」
「ケホッ、カラ、ビーナ、味方の支援を辞めるな…!」
「喋らないでください…今手当を」
『うわぁぁぁぁ!?』
ゲートの方から悲鳴が聞こえる。
…突破されたのか。
『なんだ。やっぱり人間なんてこの程度ね』
「ぬか、せ…」
『もう貴方に牙は無い。諦めて死んじゃいなさい』
「く、そ…」
空を仰ぐ。
ここ、までか…。
…ふと、晴れているのに…この基地の周辺が暗くなる。
『新人だと言うのに、ハイエンド相手によくここまで耐えましたね』
太陽を遮った影には、グリフィンのロゴが着けられていた。
『初めまして、指揮官。私は本部付きの【ネゲヴ小隊】、小隊長のネゲヴ。救援に参りました』
上空に浮かぶヘリから、5つの白いシルエットが飛び降りて来た。
『あら、気の早い子。貴方も罪な男ね、指揮官。あんな健気な子を引っ掛けるなんて』
「なんの、事だ…」
『あの子ったら行かせてくださいってずっと懇願するんですもの。。私達も降下しますので、後は任せてください』
通信が切れる。
ヘリから飛び出した白い影。
…後頭部の青いリボンが揺れる。
「ジョージさぁぁぁぁぁぁん!!!」
ああ、まさかこんなにも早いなんて思わなかった。
ゲートを突破した鉄血の集団の前に、白のハンドガンが舞い降りる。
「トカレフTT-33自動拳銃、参ります!」
赤い瞳が、敵を捉えた。
再会、救援、そして反撃開始。
やられっぱなしは性に合わない。
と、言う訳でネゲヴ小隊とトカレフちゃん参戦。
なんかジョージが真っ先に負傷してばかりな気がする。