どこかの鉄血工廠にて。
「あっはははは!弱っちいなぁグリフィンは!」
先程遭遇したグリフィンのライフル小隊。
驚いて撃って来たが、少し撃ち返しただけ壊滅しやがった。
あいつらの驚いた顔見て少しスッキリしたが、やっぱりまだ胸の奥でイライラが燻っていた。
「ドリーマー、また派手にやってくれましたね」
「…エージェント。何、また皮肉かしら」
「いいえ。ただ少し興味深い物を持って帰ってきた様なので」
「…
足元に転がる一体の戦術人形を蹴飛ばす。
損傷が激しく電源が落ちてしまっている為、反応は無い。
「一番私に当ててきたからな、電源入れていたぶってやろうと思って持って帰ってきたんですよね」
「この人形…やはり、間違い無い」
エージェントがボロボロの人形を覗き込む。
…どことなく、喜びの色合いが見える。
「ジョージ・ベルロックと行動していた人形の様ですね」
「…へぇ?」
「貴女に当てることが出来たということはそれなりにレベルも高い…」
「何だ何だァ?こいつジョージのお気に入りか?」
「私と交戦した時もそれと一緒に居た筈です」
エージェントからデータを渡された。
…すぐさま首筋のジャックに差し込み、映像を再生した。
四肢を撃ち抜かれ地に伏せるジョージの映像が映る。
「私より先にだいぶ楽しそうな事をしてますねぇ」
「この時はたまたま部隊のダイナゲートが救難信号を受け取りましてね。気まぐれに見に行けば人間同士で争っていた中に…彼は居ました」
何かしらの液体を注入して人形を救出し、そこから逃走するも時間切れで再び倒れた映像が写し出される。
この光景に若干粘っこい快感が刺激されるがそれは少し置いておく。
「瑣末はこの様な」
「エージェント様も珍しくただの人間を取り逃したって事ですねぇ…ん?続き…?」
映像にまだ続きがあったのでこっそり再生する。
…そこには、鏡に写った見たことないほど気合の入ったエージェントとジョージと共に街を歩く姿が…。
「エージェント…何であいつとデートして…」
ジャカッ!
エージェントのサブアームが四本展開されそれぞれの銃口がこちらを向いていた。
その表情はポーカーフェイスが崩れる一歩手前。
真っ赤になっている。
「消しなさい」
「いや、これデート」
「消しなさい…!!」
「へぇ…冷酷なエージェント様の意外な一面!これは面白い事になってますねぇ!!」
「ドリーマー!!」
「保存暗号化完了!良いもの見させてもらったお礼に次は一緒に行きますよエージェント」
「…次、とは」
床に伸びている人形の首を掴んで持ち上げる。
だらりと四肢をぶら下げてしまい反応は無い。
「こいつを使うと、あいつどんな顔するかなァ?」
「…私には、エルダーブレインの世話がありますので」
「あらつれない。仕方ない…一人でやりますか」
取り敢えずこれ修復してちょいと弄らないとな…。
こう言うのはアルケミストの領分だったかな。
修復してアイツの事洗いざらい喋らせて中に爆弾でも電磁シールド発生機でも埋め込んでその辺に捨てれば良いだろう。
いっそあの男の目の前に出してこれを破壊させると言うのも面白そうだ。
人形…WA2000を引き摺り、鼻歌が工廠に木霊した。
ドリーマーサイドその2。
まぁこいつのせいだよね。
と、言う訳でWA2000はたまたま拷問目的で拉致されていたと言う。
ジョージの明日はどっちだ。