基本的に人形は代替可能なため、捜査はされない。
しかし、別の前線でその人形を保護することが出来たなら…。
「…と、まぁそんな訳なんだが」
「本社で聞いてきた話なら信憑性は高いな…」
S-12基地へ帰還し、寝ていたローニンをたたき起こし今回の作戦を伝えた。
あれから整備班や現場指揮官を吊るしあげて部隊の足取りを吐かせ、消息を絶ったエリアを片っ端から洗い出した。
「…で、だ。お前の話が本当ならば…WA2000という高ランク人形を手に入れるチャンスだが」
「ああ」
「…何故都合よくこの周囲で消息を絶った?」
そう、そこである。
このS-12地区は前線も最前線である。
周辺に友軍と言えるのはこの後方のS-11地区ぐらいしかない。
「そう、
「んで、WA2000ってあの愛しの相棒だろう?クルーガーが気を利かせて送ってくれたって線は?」
「無いだろ。わざわざ4体の護衛のスクラップ作るか?」
以前発見した鉄血の工廠と思われる場所が未だ稼働してる点。
…先日のドリーマー襲撃ですっかり放置してしまったが…いい加減破壊しなければならない。
「…なんかキナくせぇな」
「…だよなぁ」
ドリーマーを撃破したせいですっかり忘れていたが…ハイエンドモデルはアレだけではない。
戦闘の残滓をかぎ取り新たなハイエンドが引き寄せられてきたのかもしれない。
「部隊を再編制しよう」
「うちの所属の戦術人形が6体になったからいつもの5体編成が出来なくなってる。危険だが戦力を分けて2部隊作るしかないか…」
第一部隊をGrG3率いる歩兵部隊、第二部隊をKar98k率いる狙撃部隊として運用することが決まった。
「欲を言えばあと4体人形が欲しいところだ」
「せめて部隊ふたつくらい満足に運用してぇなぁ…」
「無いものねだりしても仕方ない…それに、物が無い中で動くのは得意だろ?ジョージ」
「…そうだな。じゃ、足らないところはスカウト部隊で何とかしてもらうしかない」
人形と違い人間の部隊は疲労度や損耗の補填が遅い欠点が存在する。
しかし、いまだ数における優位性は揺るがない。
「…で、ジョージ。修理急がせてたあのライフル、帰ってきたぞ」
「お、本当か?あれ威力有りそうだったからな…ちと慣らしてくる」
「待て。あれに合う弾丸がそう手配出来ない…あんまり無駄撃ちしないでくれよ」
武器庫に立てかけられていたかなり大きいライフル…クレーバーを手にする。
「…重いな」
「そりゃ57口径とか言うバカみたいなライフルだぞ?」
「ま、何とかなるさ…」
「何でこんなもん使う気に?」
ローニンに聞かれる…そう言えば何でだろうか。
「…近いうちにまた嫌な夢に逢いそうでな」
「まだ悪夢見てんのか…?」
「…ああ」
また奴と戦うことになるだろう。
だから、その時のために出来ることをしなくちゃならない。
(相棒、絶対迎えに行く…だから、勝手にくたばってんじゃねぇぞ…)
新兵器・クレーバー片手に、WA2000保護の為に動き出すジョージ。
おいジョージ、その片手のクレーバーは借金の塊だぞ…。