【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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激化するドリーマーとの戦闘。
事態を打開すべく新たなコンバットパターンを仕掛ける。


本当の再会

 

飛び交う弾丸。

一発毎に施設の何かしらの機材が弾け飛ぶ。

 

端末にはひっきりなしにアラートと部下達の報告が鳴り響き、視線を切るとすぐにライフル弾が飛んでくる。

 

「GrG3!仕掛ける!」

「了解!」

 

部隊が散らばり、ドリーマーを囲い込む。

 

「ターゲットを中央に固定!」

「乱れ撃つにゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

IDWとG17、トカレフが躍り出る。

機動力を活かした掃討射撃でドリーマーをその場に縫い付ける。

 

「小賢しい!」

「そのまま火力を集中!」

「用意、撃て」

「覚悟なさって!」

 

GrG3が殺傷榴弾をばら撒く。

カラビーナが動こうとしたドリーマーの足を撃ち抜く。

そのまま爆炎に飲み込まれる。

 

「ぐうううっ!?」

「締めは、真ん中をぶち抜く!!」

 

俺もそのまま遮蔽物から飛び出し、ドリーマーへ四発クレーバーを見舞った。

2発が命中…本来こんな近距離で使うものじゃないから、当たれば御の字だ。

 

左肩と右脇腹が抉れたドリーマーが煙の中からこちらに走って、何故俺の位置だけ察知して突っ込んでくる!?

 

「指揮官!」

「この野郎!!」

「ジョォォォォジ!!」

「くっ、お、え!?」

 

突進を避ける、が距離が近過ぎる。

思わず後退り…右足が地面を踏み抜いた。

 

GrG3の榴弾で足元が脆くなっていたらしい。

 

「うおわぁ!?」

「指揮官!?」

 

体のバランスが崩れる。

背中から床に倒れるが、背中のフロアも虚しく崩れ、そのまま瓦礫と一所に地下へ転落した。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー地下二階

 

 

「いってぇ…これ2階層分落ちたのか…」

 

転落した穴は遥か頭上にある。

あそこから戻るのは不可能だろう。

 

「通信は…マジか、壊れた…」

 

ヘッドセットはうんともすんとも言わない。

…上の戦闘が気になるが…。

 

「やけに、静かだな」

 

まるで、このフロアだけ外界から切り離されている様な。

光が差し込まない為、部屋の中は暗い。

 

「…誰か、居るの…」

「…!」

 

暗闇の中から、か細い声が聞こえた。

この声は、間違い無い。

 

「WA2000!相棒!居るのか!?」

「え、あ…あぁ…?ぁあぁあぁぁぁ…嘘、何で、やだ…相棒…本当に…?」

「落ち着け相棒、今そっちに行く」

「待って、来ないで…!」

「何言ってるんだ。助けに来た…帰るぞ」

「嫌、来ないで…()()()()()()!!」

 

ライトで、照らしてしまった。

…拘束されていたWA2000の状況は、酷いものだった。

右腕と左脚が無く、首と壁を鎖で無理やり縫い付けられていた。

 

着ていた服もボロボロで、最低限隠す事しか出来ていない。

見える肌は火傷だらけだった。

 

…そして、顔の右半分は焼かれた様に変色していた。

俺を見た瞬間、瞳に光が戻り、ボロボロと泣き始めた。

 

「何で、何で来たのよ…こんな姿、見られたく…無かったのに…」

「…はぁ、何言ってんだよ」

 

首の鎖を手に取る。

劣化しているようでちょっとしたヒビを見つける。

ナイフの柄で無理矢理叩き割った。

 

「ったく、手酷くやられたな。ほれ、帰るぞ」

 

近くに落ちていた麻袋を被せて、拉致するように担ぎ上げた。

 

「むぐっ!?何すんのよ!」

「暴れんな。またこうやって担ぐのもなんか懐かしいな」

「…そうね」

「取り敢えず出口探さねぇと…ん?」

 

壁から何か叩く音が聴こえる。

…話し声もだ。

 

「相棒…聞こえるか?」

「…ごめん、片耳持ってかれてて上手く聞き取れない」

「分かった。拙いな、残党に見付かったかも」

「え、どうすんのよ」

「…ここは行き止まりだし、最悪交戦かな…」

「…相棒」

「却下だ。って、前にもこのやりとりやったなぁ」

「そうね…まぁ、大丈夫…かな」

「そうか?」

「アンタと、一緒だもの」

「違いない…さ、相棒。帰ろう」

 

音の近くまで来る。

…叩かれていたのはドアだったらしい。

内側から厳重に物理ロックが掛けられている。

 

今どき錠前とは趣味が古いというか何というか。

 

RE-45で全部壊して、ドアが開くようにした。

…その瞬間、ドアが吹っ飛んだ。

 

興奮剤がまだ効いてるので難なく避ける。

 

「突入!」

「大和魂を見せてやる!!」

「ウオォーっ!!あれ!?何もねぇぞ!?」

「えっ、ジョージ指揮官!?どうしてここに!?まさか、自力で脱出を!?」

「お前ら…工作班じゃねーか、何でここに」

 

やたら賑やかに入場してきたのは、S-12地区の工作班。

工廠の爆破を命じていた筈だが。

 

「ハッ!只今人形の反応を受け取り救出に参りました!」

「あー、じゃあこいつか」

 

担いでいる麻袋を指差す。

 

「流石指揮官殿!…あれ、何故ここに?」

「あー、うん。詳しい話はまた、な。取り敢えず脱出しよう」

「了解であります!爆破の準備も整っております!」

「所で何故麻袋に?」

「人形とは言え女性だ。見られたくないだろうさ」

「失礼しました!こちらです!ご案内します!」

 

工作班に連れられて、どうにか脱出が出来そうだ。

 

「…相棒。ありがとう…本当は…会えて、う…嬉しかった」

「俺もだよ相棒。生きててくれて嬉しい」

 

どうやらあの場所だけ通信妨害がかけられており、フロアを出ると通信が回復した。

 

『指揮官?!指揮官!!応答してください!』

「こちら指揮官!第一、第二部隊はすぐ撤退しろ!ここを爆破する!」

『えっ、えぇ!?』

『第二部隊、了解しました。G17さん』

『任せな!』

「よし、第一、第二部隊の離脱が確認でき次第爆破しろ。ドリーマーもそのまま生き埋めだ」

「了解!」

 

さて、もう少しだ。

あともう少しで全部終わる。

 

「相棒、しっかりしろよ。帰ってちゃんと直してやる。話したい事が山積みだからな」

「わかって、る…。私も、私も…いっぱい、話したいか、ら…」

「出口です!」

「指揮官!」

 

外の明かりに目を細める。

走っている六つのシルエットに、遠くから車両が何台も走ってきた。

 

『迎えに来たぞバカ共!』

「ローニン!ナイスタイミング!」

「乗り込めぇーっ!!」

 

急いで全員が乗車する。

すぐさま発進…後方で鉄血の工廠が派手に火を吹いていた。

 

「…終わったか」

 

結局、ドリーマーとの決着は着かず終いだったが。

アレの最期も呆気ないのがお似合いだろうか。

 

麻袋から寝息が聴こえる。

…緊張の糸が切れて、緊急スリープに入ったのだろうか。

 

「はぁ…後処理ぜってー大変だこれ」

 

取り敢えず、終わったよ…全部。

 

 




これにて鉄血工廠破壊作戦、及び友軍救出作戦が完了。

1ページ辺りがいつもの倍以上担った上に必要以上に前に出したり痛め付けたりとちょっとどうなのかなと思っていました。

兎にも角にも、まずは書き切ることが大切だと思うのでここまで走ってみた感じです。

そう言えばUAが遂に10万を突破しました。
ここまでお付き合いして下さった方々に感謝は尽きません。

これからも、まだまだ話は続きますが、生暖かい目で見守って下されば幸いです。

次回から少しずつ平穏が戻ってきます。
お楽しみに。

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