帰るのは、いつ以来だろうか。
結局、あれから人選はくじ引きで決めた(白目)
意外と俺に着いていきたい人形が多くて割と困ってしまったのだ。
公平を期すべくくじ引きという形にならざるを得なかった。
じゃんけんとか面と向かい合うと乱闘が起きそうだもの…。
「うへへぇ…指揮官さんの実家に行けるなんて…えへっ、えへへへへ」
「…」
正直、この時はくじ引きの神様を恨むかと思った。
何の因果か同行する護衛はWA2000とKar98kになったのだ。
…ライフル二体とかバランス悪すぎるだろ。
「…別に、私じゃなくても良かったんじゃない?」
「WA2000…お前はちょっと心配だったからな」
「何よ、それ」
「一人にしとくと拙いと思って」
「………そ」
察した様に一言呟いて、俯いた。
自分がやっぱりあの時の出来事を恐れていると理解したからこそ、反論は出ない。
「指揮官さん!ご実家にはお義母様がいらっしゃるんですよね?」
「ん?ああ、喫茶店をやってるんだ…お、見えてきた」
ちなみに俺が車を運転している。
今の時代免許を確認する奴もいない為、自力で動かし方を覚えるしかない。
…ちなみに、これはグリフィンから借りた物。
ローニンが笑って出してくれたがこれどっから金が出た奴なんだ…?
「あと、カラビーナ。外じゃ俺の事は名前で呼んでくれ。グリフィンの指揮官だって言って回ると面倒だ」
「え?!は、はい…ジョージ…さん」
「ん、それで良い」
「Kar98kは良いとして、私はどうするの?名前」
WA2000、か。
何か良い呼び名が無いだろうか。
「WA…わー…ワルサー…うーむ…リサ、とかどうだ?」
「えっ、その連想は何でなの?!」
「嫌か?」
「…そんなわけ無いじゃない。あんたが考えてくれたんだから」
「じゃ、こっちにいる間はお前達はリサとカラビーナだ」
実家裏の駐車スペースに車を止める。
…懐かしい街の光景に、少し感傷に浸る。
「のどかで、いい街ですね」
「だろう?…良かった、あれから変わってない」
「…あら?何かしらこの人だかり」
「え…ホントだ。ってアレ家じゃねーか」
実家兼喫茶店にやけに人がいる。
あれ、うちそんなに繁盛してたっけな。
「あ、人ごみが切れた。今の内に入るか」
喫茶店のドアに手を掛ける。
周囲の人々がリサとカラビーナに驚いて見ているが、まぁこんな美人侍らせてるし目立つのは仕方ない。
「いらっしゃいませ」
ドアをくぐると、店員に声を掛けられた。
何だ、一人でやってるって言ってたのに店員雇ったのか…ゑ。
「……………!!!?!」
「えっ、おま…何でここに、」
「す、スプリングフィールドォ!?何故ここに貴女がっ!?」
「えっ、スプリングフィールド!?何で!?」
俺を見て固まっている栗色の髪の女性…エプロン姿の、スプリングフィールドがそこに立っていた。
「ジョー…ジ…?どうして…?」
「いや、それはこっちの台詞だ…前本社に行った時は有給だって聞いてたけど」
「あぁ…会えて、嬉しいです」
「ちょっ!何してるんですか!!」
感激しているスプリングフィールドが俺の胸元に飛び込んできた。
慌てて受け止めて…周りの客の目が冷たい。
そして後ろでカラビーナが凄い騒いでる。
こいつスプリングフィールドの事嫌いだからな…。
「春さん?騒がしいですけど、何かありましたか?」
「す、すみませんお義母様」
「あら、ジョージさん。連絡くらい入れてくれればいいのに」
カウンターの裏から、長い黒髪を頭の後ろで括ったエプロン姿の女性が現れた。
「あー…ただいま、母さん」
で、何この状況。
再会、スプリングフィールド。
修行に出てたって言ってたけど何の修行なんですかね…。
ちなみにジョージ母は東方出身なのでスプリングフィールドの事を春さんと呼んでいます。
有り体に言うと日本人筋の人です。