毎年、春になるとキレイなサクラが咲くんだ。
母さんの生まれ故郷に、昔よく咲いていたらしい。
何でこんな所に木が埋まっているのか分からなかったけど、綺麗なら良いか、と皆考えを止めている。
まぁ、今はまだそのシーズンじゃないからな。
喫茶店の出入り口のドアにCLOSEの看板が掛けられた。
結局あの後収拾が付かなくなりそうだった為、一旦外に出て閉店時刻に戻ってきたのだった。
そんな、閉店した後の店内のカウンター席に俺達は座らされた。
「お久しぶりですね、ジョージさん。会うのは二年ぶりでしょうか」
「もうそんなに経ったのか…」
「はい。しかし驚きましたよ、グリフィンの指揮官になったと聞いた時は」
思わず、カウンター奥でコーヒー豆を挽いていたスプリングフィールドを見る。
…気まずそうに視線を切った。
「クルーガーさんは元気でしたか?」
「…知り合い、だったんですか」
「はい。昔お父さんと同じ部隊に居たそうです。私達の結婚式にも来てましたよ?」
「うそぉ」
…と、言う事は…知り合いの息子だから温情を掛けてくれたのだろうか、あのヒゲオヤジは。
「ふふっ。あと、ジョージさん?まだお父さんの遺した銃を持ってるみたいです安心しました」
「……違う。今日、たまたま同型の銃を持ってただけ」
「ウィングマン、
「…」
母さんの瞳からハイライトがログアウトする。
…普段は柔和な人なんだけど、親父の事になるとすぐ熱くなるんだからこの人。
「それで、今回は…可愛い子を二人も侍らして何をしに?」
「言い方。まぁ、その、近況報告の為に一度帰ってきましたこっちが…」
「Kar98kと申します!以後お見知りおきをお義母様!」
「WA2000…その、指揮官にはお世話になってます」
「あらあら、よろしくお願いしますね?二人も泊まっていくのかしら?」
「あー、宿は」
「部屋ならたくさん余ってますから、ご自由に使ってくださいな?うふふ、娘が三人も出来たみたいで嬉しいですね」
…この一言で、スプリングフィールドも泊まり込みでここに居たという事を察した。
「どうぞ、ジョージ、わーちゃん」
「あー、すまん、スプリングフィールド。また君の珈琲が飲めて嬉しいよ」
「ありがとうスプリングフィールド」
「わっ、私のは出してくれませんの!?」
「はい」
どっ、とカラビーナの目の前に水のグラスが置かれた。
…いやいやいや。
「こ、この腹黒中古女…!」
「何か言いましたか?小娘」
睨み合う二人の間に、火花が散る。
…え、ちょっと待って君らそんなに仲悪かったっけ?
ま、まぁ、母さんの前だし滅多な事をしないだろうと珈琲に口をつけ、
「所で、ジョージさん。本命はどの子かしら?」
「ぶはーっ!?!!」
思わず吹き出した。
三人の視線がもろに突き刺さる。
「げほっ、ゲボッ!いきなり何言うんだ!」
「だって、連れて来たと言う事は少なからずその二人が
そう言われた瞬間、WA2000が顔を真っ赤にし、カラビーナがスプリングフィールドにドヤ顔をかました。
…すぐさまカラビーナが顔を手で覆う。
一瞬だったが物凄い速さでスプリングフィールドが目潰しを放ったらしい。
いや、何してんの。
「でも、春さんに相当想われてるのに罪な人ですね…お父さんそっくりです」
「「遺伝なの(ですか)それ(は)!?」」
親父は昔、相当な女好きで人間も人形も構わず口説きまくってたらしい。
失敬な、別に口説いてる訳じゃないんだが。
「お義母様はどの様にしてお義父様を…?」
私、気になります!とばかりにカラビーナが話を掘り下げていく。
スプリングフィールドも手を止めて母さんを見た。
…WA2000は興味なさげにしていたが、俺には凄い浮ついている顔に見えた。
相棒ェ…。
「当時…お父さんは人形達からのアプローチも多くてなかなか大変でした。ただ、幸か不幸か昔の人形は
あ、嫌な予感がする。
何かこう、息子に聞かせる話じゃないような。
「あの時の私は本当に若くて…勢いのままにお父さんに」
「愛を囁いたのですね!?人間のラブロマンスは本当に情熱的で羨ましいですわ!」
「一服盛って動けなくした後に女性の体を教え込みました」
「聞きたくなかった!!?」
やっぱりな、俺の予感は当たるんだ(白目)
WA2000も思わず引いていた。
「ふふ、それが大丈夫だったんですよ。最初の一週間は私を見てとても萎縮していましたが。それからはもう私にぞっこんでした」
「えぇ…。てかゾッコンて母さん」
「そして、根気よく想いを伝え続けてようやく実ったのです」
「やはり愛は通じ合うものなのですね!お義母様!」
カラビーナの感激したような台詞がフラグにしか聞こえない。
「ジョージが」
「デキ婚かよ!?」
流石にスプリングフィールドも引いていた。
まさか、親父が消えた理由って…………。
「そのまま私は正規軍を辞めて、あの人と結婚するに至りました。…若い頃の暴走をこうやって語るのは、恥ずかしいですね?」
「俺は知りたくなかった真実を聞かされて恥ずかしいよ」
「そ、その…勿論、二人は、あ、あ、、愛し合っていたんです…よね?」
借りてきた猫の様に大人しくなったWA2000がそんな事を言った。
…えぇ、お前も興味あんの…?
「勿論です」
とてもいい笑顔で肯定してくれたのだった。
…まぁ、俺の記憶にある二人はとても仲睦まじかったので、杞憂だったのだろう。
「…ちなみに、その時に使用した薬と言うのは?」
「カラビーナ、ステイ。せめて俺がいない所で聞いて?」
「…目障りですね、貴女」
「スプリングフィールド?お願いだから俺の部下使い物にならなくしないでな?」
「うふふ、大丈夫ですよジョージ。ちょっと眠っててもらうだけですから」
恐い。
「うふふ、わたしは、指揮官さんの
「うふふ、何を言ってるのかしら小娘。ジョージは会う度に私に愛を囁いてくれましたよ?」
「捏造すんな」
「ジョージさんも罪な男ですね」
「待って、待ってくれ母さん。誤解だ」
「指き…ジョージは、さ。料理とか出来る方が、良い?」
「えっ?」
WA2000が俯きながらそんな事を聞いてきた。
…後ろで乱闘一歩手前になっていた二人(尚、カラビーナがまたスプリングフィールドに床を舐めさせられていた)も動きを止めてこっちを見ていた。
「…忘れて」
「あら、あらあら。ジョージさん?こちらにはどれほど?」
「休暇は一週間ありますけど…」
「うふふ、WA2000さん…長いですね、ではリサさんとお呼びしましょう」
「ネーミングセンスそっくりですわ…流石お義母様…」
「リサさんに色々教えて差し上げますから、お店手伝って貰えませんか?良ければ、カラビーナさんも」
「えっ、その…よろしく、お願いします」
「ありがとうございますお義母様!よろしくお願い致します!」
何だか良くわからないけど、母さんが凄く嬉しそうだ。
なんだかんだ連れて来て良かったのかもしれないな。
「ジョージさんもウェイター宜しくお願いしますね?」
「俺休暇で来たんですけど!?」
書いててちょっと楽しくなってきた。
そのせいで今回もいつもの1.5倍の文字数に…。
ジョージ誕生秘話()
思い女に好かれるのは遺伝だったらしい。
次回、ドールズアルバイトライン。