【完結】借金から始まる前線生活   作:塊ロック

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ある日、ジョージはIOPの16Labに出頭を命じられる。
護衛のトカレフと共にやってきたのだが…。


新装備

 

「やぁいらっしゃいベルロック指揮官」

「「うわぁ…」」

 

扉を開くと、それはもう酷いの一言しか出なかった。

書類はその辺に乱雑に投げ捨てられ、着ていたであろう白衣もそこら中に無造作に置かれている。

 

なんか精密機械っぽい物の上にポットが置かれているのも何となく哀しい。

 

「お久しぶりですね、ペルシカリアさん」

「ペルシカでいいよ。半年ぶりくらいかな。どう?元気?」

「ぼちぼち、と言った所ですね」

 

部屋に案内されて、辛うじてソファだと判る代物に座らされた。

トカレフは俺の後ろに立っている。

 

「それで、要件とはなんです?ペルシカさん」

 

はっきり言って俺はこの人が苦手である。

初対面でM4について散々語られた挙げ句聞きたくもなかった真実を突き付けてきたのだから。

 

でも、試作品を大量に送りつけてくれてなんとか基地の装備を拡充出来たりもしていたので邪険にも出来ないと言った有様だが。

 

「データ取りをお願いしたくてね。私の送った失敗作たちが役に立ってるそうじゃない」

「…人形に持たせるべき代物を人間にしか使えない様にしたアレですかい」

 

パイルバンカーしか使ってないけどね。

あれ、興奮剤で能力が上がってない時に使うと普通に脱臼するんだけど。

 

「そうそう。それで…取り敢えずはいこれ」

 

緑色の液体で満たされた、押し付けて刺すタイプの注射器を渡される。

 

「…自分、薬物が効き辛い体質なんですが」

 

未だに信じられない自分の薬物耐性。

ただ、発覚してからまたカラビーナが盛ったらしく、効果が無かった為信じるしかないと悟った。

 

「大丈夫大丈夫。それ君の大好きな興奮剤だから」

「別に好きで刺してる訳じゃないんですがね!?」

 

…しかし、何でこんな物を俺に渡したのだろうか。

 

「ちょっと今から試したい物があるんだけど、多分それ刺しとかないと死んじゃうかも」

「マッドにも程が無いか?」

「君の興奮剤適正ならイケるイケる」

「嫌だァ…刺したくねぇ…」

「報酬は弾むよ」

「了解!謹んでお受けしますとも!!」

「指揮官!?そんな簡単に刺さないで下さい!?」

 

ええい離せトカレフ。

今刺さなくていつやるんだ!

 

「唯でさえ体質変わってるんですよ!?それなのにまだ服用したら何が起こるか…」

「心配してくれるのか?大丈夫だトカレフ。君が傍に居てくれるなら俺は無敵だよ」

「ちょっと…もう、指揮官は狡いですよ」

「ねぇ、何で私君達の惚気見せられてるの?」

 

深呼吸。

四回目か…絶対カラビーナ怒るだろうな…。

 

「…っ、くぁ…」

 

左腕に刺す。

視界が一度赤く染まり徐々に元に戻る感覚。

 

「…刺したぞ」

「はい、じゃこっち来て」

 

ペルシカに連れられて散らかった部屋から、何かしらの実験室の様な場所に通された。

 

…データ取りの為か、少し高いところに窓があり、そこに人影が見えた。

 

「これを装着して」

「…これは、IOPの外骨格?」

 

部屋の中央に置かれていたのは、ハンガーに収納されていたIOP謹製の人形様外骨格だ。

うちの人形…主にIDWも装備している。

 

が、明らかに形状が違った。

シルエットが成人男性の上にそのまま被せる様になっている上に、胸部にコアの様な物が埋め込まれている。

そして、頭部にはフルフェイスヘルメットの様な物がマウントされている…レンズ部分は長方形の角ばった装置が付けられていた。

装置の真ん中に目のように光っている単眼も気になる。

 

腰と見られる場所にはバーニアの様な物が付けられていた。

えっ、何これ。

 

「人形用の物を改造して貴方用に調整したものよ。社長からの依頼でね」

「…クルーガーから?」

「そう。前線で負傷が多過ぎるから、なんとかしてくれって言われてね」

 

トカレフが非難の視線を浴びせてくるが、無視した。

…あ、しょんぼりしてる。

あとで埋め合わせしてあげないと。

 

「効果が切れるわ、早く」

 

ペルシカに急かされハンガーに収納された外骨格を取り付けていく。

パワーアシストでもあるのか、それほど重量を感じない。

ヘルメットを被る。

真っ暗だ。

 

「何も見えないぞ」

「それじゃあトカレフはこっちに。さて、これより試作外骨格『バンガード』のテストを開始」

「えっ、ちょ、テスト!?聞いてねぇぞ!!」

 

突如、暗かった視界が緑の光で満たされる。

 

「何の光ィ!?」

《メインシステム起動。パイロットデータの認証を開始》

 

耳元から流れてくるAIの無機質な音声。

 

《パイロットの生体データ照合中》

《アップデートを確認しています》

《登録されたパイロットと合致》

《プロトコル作動中》

《初期設定完了》

 

一通りのメッセージが流れ切ったのか、静かになる。

 

《初めましてパイロット。少し眩しいですよ》

「えっ、っ!?」

 

急に無感情だった音声が、割りかしクリアになった男性の声に変わる。

 

視界が急に明るくなり、先程までの実験室が映し出された。

 

「何だこれ…」

《解答。私はこの外骨格、バンガードに搭載されたパイロット補助AIです》

「え、あ、どうも…ジョージ・ベルロックだ」

《人物名、ジョージ・ベルロックを登録。呼び方を変更しますか》

「呼び方?好きにしてくれ」

《…決めてください》

「えー…指揮官でいいよ」

《了解、指揮官。それではテストを開始しましょう》

 

 




はい、ついにやってしまいましたタイタンモドキです。

前々からコメントでタイタン出さないのかと聞かれていたのですが、TF2とのクロスオーバーは既に先人様がいらっしゃいました。

散々悩んだ結果、今回のイベントのUMP外骨格を見て、「せや、ジョージ用の外骨格にしよう!AI搭載はシュミっ!」と短絡的に決めました。

先人様、本当に申し訳ない。

これから強化外骨格バンガード君を宜しく。
なお、興奮剤が切れるとジョージの筋肉が断裂する模様。

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