その性能にただひたすら振り回される。
なんだこれ、どうすりゃいいんだ。
「うおおおおおお!!?!」
テスト開始から五分。
俺はこのトンデモない装備にひたすら振り回されていた。
腰に付いているバーニアの補助もあり凄まじいスピードで走っている。
更に壁を走るという離れ業までやってのけた。
これ、興奮剤の効果で身体能力上がってないと今度こそ筋肉がさようならするんじゃ…。
《指揮官。これはまだ私の能力の50%ですらありません》
「まだあんのか!?」
さっきから補助AI…呼び名も無いのでバンガードと呼ぶ…から説明を聞きつつひたすら動いている。
壁を走る、空中でもう一度浮かび上がる、それだけでも充分びっくりしてるのに。
興奮剤を投与した時の俺は結構無茶してそれなりの戦果を挙げていたと思ったんだが、これはもう次元が違う。
…バイザーにズーム機能が付いてるのか、俺が注視した所を丁寧に追ってくれている。
…おや、トカレフがあんぐりと口を開けて。
可愛いなぁほんと。
《撮影完了》
「何してんの!?」
《指揮官、私のもう一つの機能をお見せしましょう》
「えっ、う、うおおおおおお!?」
右腕から唐突にワイヤーが射出される。
先端が壁に刺さると、そのワイヤーで大きくスイングされ更に浮かび上がる。
空中で縦にグルングルンと大回転している。
気持ち悪い。
《これがグラップリングです。空中での機動性向上に一役買うでしょう》
「へ、へええええええぇ!!おぶぁっ!?」
…が、そのまま空中で姿勢を崩してしまい頭から床に激突、転がってしまう。
「いてて…」
『指揮官、それ高いんだから壊さないでよ』
「んな無茶な…」
『また借金増やしたくないでしょ』
「せやかて!」
取り敢えず立ち上げり…くらり、と意識が一瞬飛んだ。
立っているのがしんどくて膝を付いた。
「あら…」
《興奮剤の効果が切れました。このままの可動は指揮官が危険です》
「そうなのか…いやでも短時間とは言え超人体験出来たのは楽しかった…かな?」
《恐縮であります》
『ジョージ指揮官。もう一本行っちゃって』
「待ってくれ。アレ人体に有害なんだ。短期間連続使用は中毒起こすから!」
『薬物への完全耐性があるから平気よ』
「その耐性の例外がコレ何だけど!?」
ていうか、疲れた…疲労感マジ半端ないって…。
《危険、指揮官のバイタル低下》
『指揮官!?指揮官!待ってください!起きて!』
あぁ、トカレフ…そんなに叫ばないでくれ…頭にガンガン響くんだ…。
《危険、危険》
AIの警告を受けながらまた失神する羽目になった。
…いや、何でだよ。
興奮剤刺して昏倒(三回目
これはトカレフちゃんからお説教が入りますね…。
と言うかもう刺したの四回目だよこれ。