「ドリーマー。貴女、修復が済んだと思ったら着替えてすぐに何処かへ行きましたね」
拠点としている工廠のある一室。
何となく置いておいた安楽椅子を揺らしながら、私はデータの整理を行っていた。
「エージェント。何の用かしら。私ちょっと忙しいの」
「…貴女が希望した通りこのエリアは今貴女の管轄です。早急に新しく出来たあの基地は取り潰して下さい」
「小言をわざわざ言いに来たんだ?エージェント様も暇なのね」
「…ドリーマー」
サブアームの銃口がこちらに向いた。
何だか彼女もご機嫌斜めね。
「おお、怖い怖い。でも、あのエリアは…もう少し残しておきたいのよね」
「理由を伺っても?」
「…良いわ。ジョージ・ベルロックがいるもの」
「ああ…」
エージェントが珍しく呆れた顔をしている。
自分だって気に掛けている癖に…少しムカついた。
「まさか、管理区へわざわざ侵入したのは…」
「アレは偶然。何かが
再起動した時から感じていた、
かなり遠くに居たり、割と近くに来たり、一箇所にじっとしていない為本当に呼んでるのか伺わしい。
しかし、先日ジョージと逢った際確信した。
「彼の体内に私の一部がある」
「…悪趣味ですね」
「偶然よ…私も覚えが無いもの」
しかし、こうも偶然が重なると何かしら感じなくも無い。
「…しかし、貴女は
三度目、と強調されて。
はて、なんの事だろう。
「自分で言って忘れているのですか?」
「…何か言ったかしら」
「…『一度目偶然、二度目必然、三度目は運命』と。再生のショックで記憶が曖昧なのでしょうか」
「………………ハハッ、ひっ、うふふ…!」
言ったなぁそんな事。
そして彼は三度の邂逅を乗り切った訳だ。
「きひひっ、いひっ、ふふふ!そうね、そうだ、そうだわ!!あぁ、何で忘れてしまったのかしら!」
先程整理したばかりのデータが関を切ったかのように溢れる。
「あぁ、あぁ!なんて楽しいのかしら!なんて清々しいのかしら!目標が無いとつまらないのは人も人形も同じね!!」
「ドリーマー。執着するのは結構ですが、鉄血に不利益を被るのなら処分も考えていますからね」
「判ってるわ…!」
今すぐにでも出て行きたい気分を抑える。
…既に二度敗北を喫している。
対策を練らなければまた返り討ちに遭うだけだ。
「嗚呼、なんて強いのかしら…次はどんな手を使いましょうか…」
いつの間にか、エージェントも居なくなっていた。
一人だけになった部屋の中で、私はずっと笑っていた。
ドリーマー、三度(知ってた)。
まぁあの程度でくたばる訳無いですよね。
そしてドリーマー=ジョージ感のパスが開通しました。
ジョージの位置はドリーマーに筒抜けですが、ジョージは一切気付いて居ません。
それと、蛇足ですがウチのジョージはフリー素材なので、面白おかしく使い潰したい稀有な思考の持ち主の方はご自由にお使いください。