魔法少女リリカルなのは ~ So close, yet so far ~   作:SAIHAL

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第8話 「現れた『影』(後編)」

 ―――――そこは戦場だった。

 

 

 

「テメコラ、スバル!それは俺が焼いてた肉なんだな、こいつが!」

 

「アクセルさんが遅いのが悪いんですよ!」

 

「くっ、言うねぇ。だったら……その肉、貰い受ける!!」

 

「って、あぁぁぁ!ね、狙ってたお肉がぁ……」

 

「ふっ、甘いでぇ、スバル、アクセル君。バーベキューの網の上は常に戦場や!周囲を警戒し、尚かつ自分の領分をしっかり守る。それがバーベキューの基本中の基本やな」

 

「「了解です!部隊長!」」

 

「ヴィータ。少し食べすぎだぞ……っ!貴様!私の焼いていた肉を全て取りおって!」

 

「ハッ、あめぇんだよシグナム。はやても言ってただろ?バーベキューの網の上は常に戦場、だってな!」

 

 ……とても牧歌的な戦場ではあったが。

 サーチャーが感知する前に腹ごしらえをしておこうということで、始まったバーベキューであったが、結果はこのとおり、白熱している。むしろ体力を削る一方ではないかとさえ思えた。

 隣ではフェイト、エリオにキャロ、シャマルにアリサ。それに新たに加わったエイミィ・ハラオウン提督夫人、なのはの姉の高町美由紀、フェイトの使い魔であるアルフ、なのはたちの現地の友人である月村すずかが平和的に網を囲んでいた。

 

「もしかしなくても俺、テーブル間違えたかな……」

 

「……否定はできませんね」

 

 隣で黙々と肉や野菜を焼くティアナが賛同するようにため息をついた。

 バカみたいに食べるスバルとヴィータ、実は負けず嫌いのシグナム、そして、たぬきのはやて。確実に選択ミスだったのは間違いない。

 先ほどから口にできているのは、少量の肉とその倍の野菜。

 

「俺はベジタリアンじゃないんだな、これが」

 

「……あ、アクセル君。その様子だと、あまり食べていないみたいね?」

 

 ぐったりしていると、うしろから声が聞こえた。

 振り返るとシャマルの姿。手に持つ大皿には何やら奇怪な塊が鎮座している。

 

「あ、あの?シャマル先生?そ、それは何でしょうか?」

 

「材料がちょっと余っていたから、私が試しに作ってみたの。いかがかしら?」

 

 敬語のアクセルに疑問を感じぬまま答えるシャマル。

 その言葉になごやかな空気が止まる。

 

(……なるほど。それほどの代物なわけか、これが)

 

 変化を敏感に感じ取る。事情が分からないのだろう、フォワードメンバーは首を傾げている。

 ここで断るのは簡単だ。だが、その矛先が次に向くのはおそらく、新人たち。

 教導官(仮)として、それは防がなくてはならない。

 

「……っ、じゃあ、一口だけ」

 

「「「あ、アクセル(さん)(君)?!」」」

 

「アクセル……骨は拾ってやるからな」

 

「アクセル、貴様……いや、何も言うまい」

 

 まさかと驚愕する三人娘。

 見ていられないと顔をそむけるヴィータ。

 彼の心情を悟ったシグナム。

 様々な反応を視界の端に収め、アクセルは口へその異物を運ぶ。

 口の前で動きが止まる。やはり無謀だったろうか。後悔の念が胸を占める。永劫にも似た時間が過ぎ、ついにアクセルが意を決して。

 ―――――ひと息に頬張る。

 

「!!!???」

 

 そして、アクセルは意識を失った。

 

 

 

 

~第8話 「現れた『影』(後編)」~

 

 

 

 

「……ん?」

 

 目を覚ます。視界は暗闇。どうやら、コテージの中らしい。

 身体を起こすと、腹部に激痛が走る。今まで感じたことがないほどの痛みだ。と言っても、記憶にある限りでは、と補足が入るが。

 

「あたたたた……いったい何入れたらこんなに腹が痛くなるんだ?」

 

 ようやく思い出した。シャマルが作ったという塊。あれを食べて、意識を失ったのだ。見た目からしてやばいというのは分かっていたが、これは予想以上だ。

 

「くそ、美人だからって料理がうまいとは限らないってわけね……ああ、やっぱり料理のうまい娘がいいんだな、これが」

 

 腹を抑えつつ外に出る。人の気配はない。どうやらサーチャーに何かしらがひっかかったらしい。

 待機中の〈ソウルゲイン〉に機動六課の面々を探索させる。

 

「あたた、とりあえず作戦が始まっちまう……治りしだい出なきゃな」

 

 アクセルは再びコテージの中へと、おぼつかない足取りで入って行った。

 

 

 

 

 

「―――我が乞うは、捕縛の檻。流星の射手の弾丸に、封印の力を……!」

 

「シーリング、シュート!」

 

 封印の効力を持った弾丸が対象へと命中する。あちこちを跳ねていたスライムのような物体はたちどころに姿を消した。

 

「作戦終了!お疲れ様ですぅ!」

 

 リインフォースⅡの明るい声が聞こえて、ティアナはほっと胸を下ろした。

 ぶっつけ本番の封印魔法。それが成功したのだから、当然のことだと思う。〈クロスミラージュ〉にお疲れ様の意味を込めて銃身を撫でると点滅で応えてくれた。

 それに自身のレベルが向上していることに、安堵を感じている。着々と、一歩ずつ。階段を上るように、感じ取ることができていた。

 

(アクセルさんのおかげ、かな……)

 

 今までは夢を叶えようとするあまり、急ぎすぎていた。魔導師ランク昇進試験も、初めてあの人(アクセル)と訓練を行った時も、逸る気持ちを抑えきれずに失敗した場面は何度もあった。だけど、彼が来てからはそれが減ったように思う。

 彼の教導方針は一歩ずつ確実に、だ。軽いノリをしつつも、大事なことはしっかりと教えてくれる。言動に反して慎重だ。だからといって、成長が遅くなったわけでもない。むしろ進んでいる。地道な反復練習にも面白味が見いだせている。

 だからこそ、今のも成功させることが出来た。近道は遠回り、急ぐほどに足をとられる、とは彼の言葉である。

 

「それにしても、大丈夫かしら……」

 

 今はコテージで倒れているだろう彼を思う。

 あの時の狼狽した隊長陣から察した彼。決意しながらも青い顔をしていた彼。そして、私たちを魔の手から庇ってくれた彼には敬意と感謝とを感じざるを得ない。そして、同時に無力さと不安が心中を穏やかでなくさせている。

 しかし、その心配を打ち破る声が夜の大気を響かせた。

 

「復活!!」

 

「あ、アクセルさん!?」

 

 闇を引き裂くかのように、空から〈ソウルゲイン〉が降下してきた。

 心配していたのを感じ取ったのかは分からないが、安心してくれと言わんばかりに、両手でVサインを作っている。正直〈ソウルゲイン〉のままではやらないでほしい。

 

「心配かけたな、みんな!解毒剤を調合して、もう完全復活なんだな、これが!」

 

「げ、解毒?」

 

 駆け寄ってきたキャロと共に顔を青くさせる。実は彼が倒れた後、興味津々といった様子でフリードが塊を食べようとしていたのだ。もし、キャロが止めていなかったら……想像はよそう。

 そんな私とキャロを放って、リインフォースⅡがアクセルを叱りつけている。正確に言えば〈ソウルゲイン〉をであるが、Vサインの時点からツッコミは心の中でと決めたので、ここはスルーだ。

 

「遅いですぅ!作戦のキモ、ロストロギア封印は終わっちゃいました!」

 

「あらら、そうなのか?……だからといって何もしないのもね。さてと!後片付けをしますか!」

 

 解毒剤に強壮剤でも調合されていたのか、いつもより気合が乗った声をしている。しかし、〈ソウルゲイン〉の状態で屈伸運動はやらないでほしい。というより、そこまで柔軟な構造をしていたとは驚きである。

 近付いてきたヴィータはその様子を見て、〈グラーフアイゼン〉を肩に置き、呆れながら笑っている。

 

「ま、なにはともあれ、元気になってよかったな。あとは辺りに影響がないか調べて……ん?」

 

 笑顔から一転、険しい表情をする。どうしたのかと思ったアクセルもまた違和感に気が付き、遅れながら私も感じた。

 他の面々も感付き始めた。何やら、空間が捻じれているような感覚。足元が不安定で、まるで船酔いしたような―――

 

「……うぅっ、この感じ!?」

 

「何でしょう!?この感覚……」

 

「空間が歪んでる?一体何が?」

 

「……いい予感はしねぇな」

 

 皆が口々につぶやき辺りを見渡す。既に臨戦態勢だ。私も〈クロスミラージュ〉を構えて周囲を睨む。

 ふと見ると、彼だけが視線を上げていた。そこには漆黒の空。

 だが、彼は気が付いていたのだ。

 

「来る……間違いない……この違和感は!」

 

 『影』がそこから現れることに。

 

 

 

 

 

 空間を歪ませて現れた五体の『影』。

 突然の事態に全員が身構え、ヴィータが声を荒げる。

 

「リイン!反応は!どうして分からなかったんだ?!」

 

「わ、分からないですぅ!ロングアーチからも転移反応は確認されなかったって……」

 

「そんなの、ありえんのかよ……」

 

 こちらをずっとモニターしていたロングアーチからも情報はない。それどころか通信の状態も良くはない。

 目の前の集団はどうやって現れたのかと、全員が困惑する中で、アクセルは直感的に理解していた。

 

(空間、転移……何故だ。何故、俺は分かったんだ?!)

 

「っ!来るぞ!!」

 

 ヴィータが再び声を荒げる。仁王立ちしている一体を残して『影』たちが躍り出た。

 数は四体。その全てが同じ青い装甲(アーマー)を着用していた。

 バイザーで目線を覆い、流線形の頭部の横にはウサギ耳のようなアンテナ。突き出た肩装甲に、これまた流線形の手甲。左腕には三本の突起が見える。脚部は滑空用のスラスター類が詰まっているのだろうか。さらに、背中には翼とブースター。空戦にも対応できるであろうことが見て取れる。そして、右腕には大型のライフルを携行していた。

 先頭の二体がライフルを構えた。銃口から桃色にも似た光線が放たれる。

 ティアナはキャロを伴い右の方向へ。ヴィータはリインを連れて左の方向へ。

 そして、アクセルはというと、その場で立ちつくしていた。

 

《聞こえる、アクセル?『こちら側』に来てから報告がないから、アリシアが怒ってるわよ。わざわざ〈W11〉どころか、〈ゲシュペンスト〉を動かすくらいにね」

 

 否。唐突に開いた通信回線と、そこから聞こえる女性の声に驚き、動けずにいた。

 

(通信が……女?)

 

 その回線は戦闘にも連絡にも使えなかった規格外だったはずだ。だというのに、今はこうして機能している。まるで、このためだけに使用ができるかのように。

 疑問が渦巻く。だが、まずは相手が誰かだ。

 

「……おい、あんた誰だ?!」

 

《は?なに言ってんの?……機密通信装置を使っているから、傍受される心配はないわよ?》

 

「人違いじゃないのか?この土地に知り合いはいないんだな、これが」

 

 一呼吸分の間が空き、溜息が響く。何やら不機嫌そうだ。

 それに合わせて、奥にいた人影が前へ歩み出る。長い金の髪が夜の冷たい風に吹かれて揺れている。

 

「……ふーん。あくまで任務に忠実ってわけ……さすがは隊長さんねぇ。ま、それでこそ、倒しがいがあるってもんよ」

 

 凛とした肉声。女性だ。どうやら彼女が通信の相手らしい。

 顔は口元が大きくあいた鬼の面のようなもので隠されていて、よく分からない。手には抜身の、いわゆる日本刀。攻撃的な意匠に反して、服装はベージュのチャイナドレスにも似た装いで、左足の外側に深いスリットが入っており、健康的な白い足が見え隠れしている。間違いなく戦場には似合わないほどの肌の露出面積で、腕に着用している薄い手甲が唯一の装甲と、心もとない。

 

「なんだか知らんけど、ここに来てからモテるね、俺も」

 

「……それじゃあ、アクセル。久しぶりに、行くわよ!!」

 

 こちらを値踏みした後に剣呑な雰囲気を放つ、謎の女性。軽口で応じたが、刀を構えることで返された。

 一瞬後、大地を蹴って距離を詰め始める。〈ソウルゲイン〉も右手を前に突き出して迎え撃つ。

 

(俺が隊長……?何の部隊だ?それにアリシア。〈W11〉。〈ゲシュペンスト〉。機密通信装置。全部知ってる……このキーワード……なんだ?)

 

 疑問が山積みになる中、鬼面の女性と〈ソウルゲイン〉の刃同士が甲高い音を響かせた。

 力は互角だった。そのことにアクセルは苦悶の表情を浮かべ、考えていた疑問を頭の隅に追いやる。不可解なことが起きているからだ。

 アクセルは〈ソウルゲイン〉というデバイスを纏って戦闘しているのだ。だが、眼前の女性はどうだ。女性らしい細腕には何の補助もない。だというのに、拮抗しているというこの現状。日本刀の重さがこの状況を生み出しているとしても、それを軽々と振りかぶった彼女の腕力はすさまじいものになる。

 

「くっ、この!!」

 

 聳弧角(しょうこかく)が打ち合わさる部分をずらすことで、剣を受け流して反撃を試みるも、それより速く次の刃が閃いた。幾度となく受け流しては打ち合うという剣戟でアクセルは防戦一方となる中、鬼面の女性の服装に合点がいく。

 攻撃は最大の防御というが、まさに疾風迅雷の剣がそれを表している。フェイトの戦闘データと同様、速さを突き詰めた結果故に装甲が薄いということなのだ。

 そして、鬼面の女性の技量の高さをも物語っていた。

 

「どうしたの?!力を出し惜しみする必要はないわよ!この程度じゃ、この私は止められないわ!!」

 

 その言葉に偽りはないだろう。だが、目の前だけにも集中していられない。

 ちらとセンサーを横に向ける。他のメンバーはどうなっているのか。

 ティアナとキャロで二体。リインフォースⅡとユニゾンしたヴィータで二体。妥当な組み合わせだろう。だが、少々旗色が悪い。特に、キャロが集中的に狙われている。ティアナがフォローにまわっているものの、このままではいつかはボロが出るだろう。

 

「飛びなさい!飛燕の如く……!!」

 

 いつの間にか、鬼面の女性との距離が離れていた。大きく日本刀を振りかぶっている姿が目に入る。

 見ると刀の形状が違う。グルカナイフにも似たその形は、アクセルにブーメランを想起させた。

 

(まさか、それを投げるつもりじゃあ、ないよな……)

 

「―――――大!車!()ぃぃぃぃん!!」

 

「嘘ぉ!!」

 

 あろうことか本当に投げた。唯一の武装を投げつけるというその豪快さに、アクセルは驚愕を隠せない。それどころか直撃を受けてしまう。

 ティアナとキャロが悲鳴にも似た声を上げるのが微かに聞こえた。

 

「うわぁぁ!!」

 

 回転する刃で何度斬られたか。

 何度目かの斬撃を防御し、その刀を弾いた。それから、心配ないということを離れている二人にアピールし、鬼面の女性に向き直る。

 彼女はすでに弾かれた刀を手に、今度はこちらを非難する様な視線を向けていた。

 

「そういう態度……もしかして、様子見?あんたらしくないわね」

 

 一体、何のことを言っているのだろう。あなたらしくないとは、どういうことなのか。今の状態は違うというのか。

 先ほどから断片的な情報を次々と詰め込まれて頭が痛いというのに、これ以上混乱させることを言わないでほしかった。

 

(まぁ、いいさ。とっつかまえて全部聞き出してやるんだな、こいつが)

 

 そう奮起して再び構える。それを見た鬼面の女性はにやりと不敵に笑い、腰だめに構えた。

 だが、ふと顔をしかめる。そして、構えを解いた。

 何が起こったのか、意図をつかめずにいるアクセル。すると、彼女の横に『影』が現れた。先ほどまでティアナたちと戦っていた連中だった。それを見て焦燥感に駆られたアクセルは振り返る。

 全員の安否を確認する。傷はあるものの無事だった。そして何故、突然戦闘が終わったのか分からないという顔をしている。

 その時、件の通信回線―――機密通信装置から音声が入った。

 

《どうやら、増援みたいね。あんたはこれを待っていたわけ?……さっきの言葉、取り消すわ。この状況を作り出したのなら、それはあんたらしいから(・・・・・・・・・・・)

 

 鬼面の女性の、聞き捨てならない発言に再度振り向く。

 『影』たちが次々と離脱していく中、彼女が最後まで残っていた。

 

《ここに追加のデータ、置いていくわね。じゃあね、アクセル》

 

「おい、ちょっとあんた!……おい」

 

 そして、それを最後に消えた。まるで初めからいなかったように。

 だが、彼女らはここにいた。それだけは間違いがない。背後でリインフォースⅡがロングアーチに連絡を取っている。だが、おそらく何も分からないだろう。

 アクセルはゆっくりと足を進める。先ほどまで彼女が立っていた場所へ。

 地面には今日、赤頭巾の少女から受け取ったものと同様のメモリースティック。

 

「いったい、何なんだ。あいつらは……」

 

 振り返ると、なのはやフェイト、その他のメンバーの姿が見えた。

 増援。あいつらはこのことを言っていたのか。

 アクセルは手の中の情報を握りしめる。

 多くの情報を与えられて尚、分からないことだらけだが、たった一つだけ分かったことがある。

 

 ―――――全ての答えは、俺の記憶にある。

 

 (俺はいったい、何者なんだ……)

 

 

 

 

 

「いま戻ったわよ~」

 

 形状も様々で用途も不明な装置や、単語や数式の羅列が無数に記された書類の山が雑多に置かれている部屋。窓はなく、いかにも研究室といった様子である。

 彼女は足場がほとんどないその部屋を歩きなれているかのように悠々と歩く。

 途中、顔に着けていた仮面を外した。この般若の面(・・・・)を着けたままでは、これから会う人に対して失礼だ。

 そして、辿り着く。この部屋の主のもとへ。自らの主のもとへ。

 椅子に座っていた女性は、戻ってきた女性を見て微笑む。

 

「おかえり。どうだった?アクセル君(・・・・・)は」

 

「相変わらず、任務に真面目よね。ただ……」

 

「ただ?」

 

「偽装にしては手が込みすぎてる、っていう印象を受けた。口調まで変える必要があると思う?」

 

 そう問い掛けられ、女性の主はその長い髪をいじりながら考える。その下にある自慢の頭脳を用い、そして、一つの答えを導き出した。

 

(わたし)的に考えると、今までと今回(・・)は違うからじゃないかな?彼なりの誠意の表れ……とか。自己暗示とか使っている可能性も否定はできないし」

 

「なるほどねぇ。じゃ、そういうことにしておくわ……それよりも、お腹空いた~」

 

「あ、私も。何か食べに行こっか」

 

 互いに微笑みながら、部屋をあとにする二人。自動で開いた扉は、二人がいなくなると再び閉じられた。室内はそこらにある装置から放たれる光源によってぽつぽつと照らされて、完全に闇には覆われない。

 その中で部屋をよく照らしているスポットライトがあった。なぜスポットライトかと問われれば、この部屋の主が自身の製作物にとてつもない愛情を注ぐ性格だからである。

 それが照らしているのは蒼く、筋骨隆々とした外見を持つ人型機動兵器。

 ありえない例え話だが、もし機動六課の人間がここにいたならば、誰もがその人型を指して、こう言うだろう。

 

 

 ―――――〈ソウルゲイン〉、と。

 

 

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