Aqoursのアスルクラロ沼津観戦日記   作:384

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開幕(3/9,10)まで何もしないのも面白くないし、何より僕が飽きないように、定期的に更新していきましょう。
というわけで、(開幕までの暇つぶしという名の)スルガカップ編、始めます!
あと、執筆してみてわかりました。9人登場させるのがすごく難しい。

というわけで、試験的にユニットor学年で話を進めてみます。


スルガカップ・天皇杯編
#1 予選①(スルガカップ概説・2年生)


「ついに、発表されたね、今年のJ3の日程。」

 

曜がそう問いかける。

 

「うん!まだ2ヶ月もあるけど、やっぱり楽しみだよ〜〜!!」

 

千歌はいつものようなテンションでそう答える。

 

「去年はバタバタしていてあまり追っかけられなかったけど、今年はじっくり見てみようかしら」

 

梨子は大人し目に、そう答える。

 

「それにしても、今年もスルガカップにHonda FCが出てくるなんて……千歌ちゃん、どう思う?」

 

「どうもこうもないよ……まだ沼津は1度も公式戦で勝ったことがないんだよ!?」

 

「JFLを3年連続制覇しているのに、アマチュアシードがないって……」

 

「しかも今年はHondaがディフェンディングチャンピオン……沼津は藤枝と準決勝かなぁ」

 

曜と千歌は嘆きと悲壮感を漂わせている……が、一人だけ違った。

 

 

 

 

 

「ねぇ、曜ちゃん、千歌ちゃん。『スルガカップ』って何??」

 

 

 

 

 

この言葉が、2人の闘志を再燃させることになろうとは、この時の梨子は思う由もなかった。

 

 

 

 

「「じゃあ、梨子ちゃんのための、『ようちかスルガカップ講座』を始めるよ!」」

「(なんでこうなった……あとただ仲良しなところを見せつけられているだけな気がする……)」

 

 

ここは十千万旅館2階の千歌のお部屋。目の前の机には、何やらサッカーの用語が書かれたノートが置かれている。

これから「スルガカップ」の解説が始まるであろうということは、やや鈍感気味な梨子でもさすがに理解していた。

 

 

「じゃあ、曜ちゃんがまず、スルガカップについて説明して、その後で私が参加するチームについて説明しようか!」

「そうだね、千歌ちゃん!」

「じゃあ……お願いします。」

 

 

 

 

「『スルガカップ』は、静岡県のNo.1チームを決めるサッカー大会。2月の終わりから5月中頃まで、3ヶ月ほどを使って進めていく、県内最大の大会だよ。」

 

 

「静岡の雄を決める大会なのね、『スルガカップ』って。」

 

 

「そう、そしてこの大会は、その年の天皇杯の【静岡県代表】の選考も兼ねているんだ。だからJ1チームとして天皇杯に無条件で出場できる『ジュビロ磐田』と『清水エスパルス』はこの大会には出場しないんだ。」

「J3チームは、プロなのに天皇杯には無条件で出られないんだもんね……」

 

 

梨子がそう呟く。

 

 

「そう。J3チームは都道府県予選を勝ち抜かないと、天皇杯に出場できない。静岡や神奈川でなければ、J3チームは【スーパーシード】で決勝戦からの登場なんだけど……」

 

 

「さっきの『Honda FC』の話ね。」

 

Honda FC。アマチュアチームながら、その実力はJ2の上位チームに勝るとも劣らないレベルであると、サッカーファンの間で評されることも少なくはない。

 

「さすが、梨子ちゃんだね。静岡県には、アスルクラロ沼津の他に、同じくJ3の『藤枝MYFC』と、JFLの『Honda FC』っていう強豪チームがいて、J3のチームでも準決勝から戦わないといけないんだ。」

そう話す曜の顔は、少し曇っていた。

「2回勝てば天皇杯、と言われれば聞こえはいいけど、準決勝に残った他の3チームは、沼津と同程度かそれ以上の実力の持ち主。勝ち抜くのは本当に難しいんだよね……」

 

「そういえば……」と千歌がつぶやき、話し始める。

「2017年に、アスルクラロ沼津はスルガカップを優勝しているけど、この年はHonda FCがアマチュアシードでスルガカップには出場していなかったんだ。」

 

だけど、と言葉を続ける。

 

「この年はアスルクラロ沼津が本戦で大暴れしたんだよ!」

そうそう、とでも言いたげに、曜も話に入ってくる。

「1回戦は、福井県代表の『サウルコス福井(現・福井ユナイテッド)』に1-0で勝ったし、2回戦は、J2屈指の名門『京都サンガFC』にアウェイ・西京極でまさかの勝利!!テレビ放送がなかったから、試合自体は見られなかったけど、テキスト速報で「試合終了」の文字を見たときは武者震いしちゃったね……!!」

 

いつも以上にテンション高く、目をキラキラさせながら語るようちかコンビに、梨子は少々たじろいでいた。

 

「でもさ、千歌ちゃん。」曜がそう、優しく語りかける。「本当に嬉しくて、そして悔しかったのは、その次でしょ?」

 

「そう……なんだ。何があったの?」

 

実は梨子は、この試合のことを知っていたが、あえて知らないフリをした。

千歌の、本当の気持ちが聞きたかったからか、その場の空気を読んだからか、それは読者の想像にお任せする。

 

「……3回戦の相手は、J1オリジナル10、Jリーグ発足から一度たりとも2部降格を経験していない、超強豪『横浜F・マリノス』。って言っても、東京から来た梨子ちゃんなら、これくらいのことは知ってるよね。」

 

当たり前よ、そう言おうとして、梨子は口を紡ぐ。

 

「私たちのホーム、愛鷹は、ナイターができるほどの照明設備は持っていない。だから、優先開催権が沼津にあるのに、3回戦はマリノスのホーム、三ツ沢で開催されたんだ。」

 

天皇杯3回戦は例年、週のど真ん中水曜日に開催される。もちろん真昼間から試合をするわけもなく、必然的にナイトゲームになる。

照明設備がなければ、試合も開催することができないのだ。

 

それはいいんだけど、と言いたげな様子で千歌は続ける。

 

「もちろん下馬評はマリノスの圧倒的優勢。それを示すかのように、沼津は前半終了までで3失点して、敗色濃厚だったんだ。」

 

そう。ここまでならよくある話だ。でも、本当にすごいのはここから。

梨子は、()()()()()()()()()()()()()()()、胸を熱くさせる。

 

「一転して後半は沼津ペース、と言っても3点リードでマリノスが守りに入っただけだったのかもしれないけど…」

 

千歌の声はもう震えに震えている。

 

「35分間無失点、それどころか……後半35分にJ1チーム相手に初ゴールを決めたんだよ……!しかもその時、サポーターが歌っていたのは、私たちの歌。『MIRAI TICKET』。これを超える喜びが他にあると思う……!?!?!?」

 

「AT1分に相手に4点目を決められて、まず勝ちはなくなったんだけど…そこからもう1点返したし、『アスルクラロ沼津』の名前をマリノスの選手とサポーターに刻み込むには、十分な戦いだったよね。」

 

千歌の代わりに、曜がそう説明する。

 

あの気持ちをもう一度味わうには、勝たなければならない。

負けるわけにはいかないんだ。

そんな気持ちが、3人の心の中には満ちていたことだろう________。

 

 

 

 

 

《#1 終わり》

【#2 予選②(スルガカップ出場チーム) に続く】




曜・千歌が教える側、梨子が教えられる側っていうのは、このスルガカップならではかなぁと思いました。

本編(Jリーグ編)では、梨子が結構サッカーのことを知っている、という形の方が話が進めやすいのですが、こと「スルガカップ」に限っては、「静岡県」の大会なので、唯一浦の星に来るまで静岡県に馴染みがない梨子が教えられる側である方が進めやすいのです。(映画の"アレ"は梨子じゃないの?というツッコミはナシで。まずあんなに小さかったら覚えてないでしょう。)

さて、今回はスルガカップの概説…という名の、2017年天皇杯の「過去の栄光」の振り返りでしたね。
私自身、アスルクラロ沼津を見始めたのがこの年の天皇杯2回戦「京都サンガFC」戦でしたね。
その時の思いについては、また機会があれば誰かに代弁していただきましょう。

開幕まで1ヶ月を切り、楽しみが膨らんでいきます。
今年は天皇杯に出場できるといいなぁ……

あ、#2で出場チームについて、千歌に解説してもらいます。

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