あとオリ主無双はやくしてぇ
篠ノ之束との出会いはあまり綺麗なものではなかった。
罵り合いだ。お互いの作り出した自作PCを自慢するための罵り合い。感情的に言葉をぶつけ合う熱血漫画のそれではなく、もっと陰湿で遠回しな罵倒の応酬。
その中で見ることが出来た彼女のPCはとても面白く、そして俺レベルの凄さを持っていた。あちらもそれに気がついたのか次の日には普通に話していた。
だって、無駄なのだ。ただの自慢大会を根に持って話さなくなる、なんて幼稚な考えで行動しても時間の無駄。この天才と組めばもっともっと高みへといけるのにそんなことはしていられない。
偶然にも俺たちの夢は同じようなものだった。
彼女は宇宙へと羽ばたく翼が欲しくて、俺は星々の海で漂えるスーツが欲しかった。
後にISと呼ばれるそれを作るため、彼女とはそれから長い間付き合うこととなる。その中で彼女に惚れていったのは仕方ないことだと思って欲しい。だってコイツ、細胞レベルで天才なのだ。女性の中で最も魅力的なのだ。
最初はキツかった性格は時間が解決してくれた。彼女は俺の前じゃ普通の女の子みたいに笑って泣いて怒ってくれる。それがとても綺麗で可愛くて。あぁ、語りきれない。
とにかく、自分でも驚く程にご執心だった。だから、彼女が離れていってしまったあの時のことは最早トラウマみたいなものだ。
世界は彼女を認めるべきだと思って、励まそうとした俺の言葉は彼女には届かなかった。きっと俺に落ち度がある。「机上の空論」と凡人たちに言われて一蹴された彼女の支えになれなくて何が恋人だ、彼氏だ、相棒だ。そんなもの夢見る資格なんて元々俺には無かったのに。
セシリア・オルコットと織斑一夏の決闘。それは授業初日唐突に決まった。
原因は女尊男卑の考えを持つセシリアがまわりの子たちから推薦される織斑一夏を認められず、代表候補生である自分が最適なのだと回りくどく罵倒をしながら自薦したことが始まり。
その男を見下した発言と、日本を馬鹿にしたような発言に耐えきれなかった織斑一夏はそれに応戦。最終的に織斑先生の号令で決闘ということに。
以来知識から叩き込まねばならない織斑一夏と、ほとんどツーマンセルの放課後授業を繰り返し、最低限戦えるレベルまで教えこんだ。
ISは貸出中とかで全く触らせてあげられなかったが、彼のIS適正値は高い。基本的な空中浮遊さえ出来れば後は感覚でどうにかしてくれるだろう。織斑先生と戦い方も似ていることだし。
「さて織斑。まずは飛べ、感覚を掴め。後はお前の腕次第だ」
「はい、ありがとうございます新城先生。……俺、行ってきます!」
織斑一夏はそう言ってピットから飛んで行った。いい感じだ。そのまま自由自在に動かして様々なデータが取れるように頑張ってくれ。
「どうだ新城先生。我が愚弟は」
「知識に関しては酷い。予習用の教本を電話帳と間違えて捨てるような奴だからそこはまぁ予想していたところだが。 対して身体能力だが、こちらは成長が凄まじい。基礎訓練の後ISの経験を積ませてやれば化けるだろう」
「なるほど、意外に高評価か。……じゃあどうしてそんなに焦っているんだ? 」
何故? 焦らないはずがない。
あの雪片弐型に篠ノ之束の姿を見た。展開装甲なんて搭載した剣を作れるのは世界でも俺とアイツだけだ。まず間違いない。
アイツが来る。それだけで俺はどうしたらいいか分からなくなる。あの時どうすれば良かったかなんて今も分からない。
6年ぶりに会う幼馴染。何を思いどんな顔をしてやって来るのか。その時俺はなんと言えばいい? 理解できない。
「篠ノ之束があの白式にはいた。それだけで分かってくれ」
「……お前は相変わらずだな。束よりも周囲に溶け込むのが上手いくせに束よりも不器用だ」
「……篠ノ之束の心を理解するのは至難の業だと思うが」
「少なくともお前はアイツの心を掴んでいるよ。お前にはどれが心なのかどうか認識する能力がないだけだ」
心を認識する能力がない……?
うむむむ……よくわからん。
「あ、先生! 織斑くんが!」
「
「あー……。いや、別に他の女のこと考えていたとかそういう」
ガコン
と金属板が凹むような音がしたが拳骨だ。頭への拳骨だ。
この千冬という女。本当に人間だろうか。ゴリラなどというレベルではない。最早怪異─────。
「それを言うならお前もだろう。アホタレめ!」
もう一発、今度はビンタ。さすがに怪異は言い過ぎか。
しかし今心を読んだな? なるほど、もっと積極的にそういうことをしろということか。人の秘密は蜜の味。そういうのを暴ける力が心を理解する力────!?
「なぜもう一発喰らわせようとする!?」
「いや、何故かお前が乙女心を弄ぶクソ野郎に見えたからな」
どういうことだ。まるで意味がわからんぞ。
負けた。
セシリアに俺は負けた。雪片弐型のバリア無効化攻撃の代償によってシールドエネルギーが尽きたためである。
だというのに……。
「一夏くん、クラス代表就任おめでとうー!!」
どうして俺はクラス代表になってんだ!?
「それはわたくしが辞退したからです」
心を読んだようにセシリアが言う。そっか、辞退したからかぁ……。
「そう残念がるな織斑。就任したからにはしっかりと働けよ」
「でもは……新城先生、俺素人なんですよ?」
「お前の成長速度は凄まじい。なに心配するな。知識も基礎も俺が叩き込んでやる。ISに関しても練習相手を捕まえられたからな」
「練習相手……?」
俺の返答を聞いて鋼さんは箒とセシリアを指さした。ということはまさか。
「この2人の進言でな。そういうわけで3人とも、後でこれからの練習日程を書いて渡すから確認を忘れるなよ」
「「はい」」
マジかぁ……。セシリアはどうかしならないけど、箒も一緒なのか……。
いや、幼馴染だから色々やりやすいっちゃあやりやすいんだけど、如何せん手が出るのが速すぎる。セシリアと戦うまでの基礎訓練でもいきなり突入してきては色々言って竹刀で叩くし……。言ってることはご最もな事なんだけど。
「っと、急用が入ったみたいだちょっと出てくる」
「えー!せっかくの先生枠がいなくなるのは困りますよ!」
「枠と言うな。まぁなんだ、はやく終われば戻ってくる。それまで先生の前で話せないことでも話しておけ」
そう言って手を振りながら鋼さんは食堂を後にする。……あの人ってあんなに人付き合い良かったっけ? 束さんほどじゃないけど、あの人は他人に対してよく接してくれる人じゃなかったような……。
意見を求めるように幼馴染の方を見る。箒は箒で何か違和感を感じているのか、これじゃないといいたそうな顔をしている。
「……箒」
「……一夏、やはり」
「箒もそう思うか?」
「……お二人で一体なんの話をしてらっしゃいますの?」
俺たちのやり取りの意味が分からないセシリアがわざわざ箒と俺の間に入って言った。なんでそこなんだよ。
「いや、勘違いならいいんだけどさ。……新城先生、昔はあんな感じじゃなかった気がするんだ」
「私も同意見だ。あれは……あの人は、もっと……」
箒が言い淀んだ。多分、苦手な姉である束さんを思い出したんだろう。あの二人はかなり似ている。
「なになに? 新城先生の昔話?」
「聞きたい聞きたい! そしてお近づきになりたい……」
「新城先生、カッコイイよね……。いや、可愛い? とにかくイケメンって感じ!」
「ウンウン。人付き合いもいいし、親切だし」
俺たちの会話を聞いていたクラスメートが更に割って入ってきた。これ、もしかして喋っちゃいけないことを喋っちゃったか?
「箒、どうする?」
「……お前が決めろ」
「おいおい、そりゃないって」
「いいじゃんいいじゃんおりむー!先生もさっき『先生の前で言えないことでも言ってろ』的なこと言ってたし〜」
そう言えばそうだった。なら、言っていいんだろうか?
「分かった。話すよあの人のこと。あの人は────」
少し黄色がかった目をしている以外特徴がない黒髪の少年。それが新城鋼の幼少時代の評価だった。
まだ小学生になったばかりのその頃は容姿なんて気にしている人はあまりいない。どんな美少年でも、美少女でも、同年代と言うだけでアウトオブ眼中になることは少なくない。
小学校低学年というのは年上に憧れる年代だ。新城鋼が注目されなかったのも不自然では無い。彼の異常さはその逆。目立たなすぎるのだ。
彼は人から離れることが多かった。理由は篠ノ之束と一緒で付き合っていられないから。しかし、その方法は真逆だった。
篠ノ之束は個として孤立することを選んだ。自身を周りにとっての悪役に仕立てあげ、近づくものには威嚇射撃をし、自身の境目を明確化させることで一人になった。
新城鋼は集に隠れることでその姿を消した。堂々と集団の中心にいるのに誰も話しかけない誰か。遊ばないけど何となく友達な、友達の友達のアイツ。話しかければ相槌を返してくれる何となく良い奴。そうやって彼は自身の領域を示す境目を限りなく薄くした。
結果、新城鋼は篠ノ之束よりも一人でいる時間が多かった。いや、正確には一人でいるように感じられる時間だろうか。
悪役に突っかかるヒーロー様気取りのやつはどこの時代にだっている。そういう意味で篠ノ之束は孤高ではなかった。新城鋼にはそれがない。集と同化しているから一人ではないが、最早概念みたいなものになっていたため決して干渉されることがなかった。
そうやって育っていった二人には明確な違いが生まれた。心への関心の度合いという違いである。
篠ノ之束はいくつもの悪意と対峙した。自身の容姿に惹かれてやってきたチャラ男。ヒーロー気取りの偽善者に、ぼっちには何やってもいいと思ってるスクールカーストトップ勢。
それらは決して束にとって良いものではなかったが、自身の心を形成する上で必要なものだった。
彼女には理想を体現する力があったから、彼女の中で彼女基準の、悪意のない最も理想的な心が持てた。……まぁ、それが災いして誰に対しても善行をしているのだと錯覚することがあるのだが。
対して新城鋼。彼は人の無意識の中にずっと居た。話し相手は自身の作る機械たちで、人とまともに会話したことなど全くない。彼が口を開いたのは隠れるために必要最低限な作業の時のみ。
それらは鋼に絶対なる安静を生み出したが、彼の心を形成させなかった。
真っ白なシーツ。彼の心を言葉にするならそんな感じ。他から学ぶ力はある。他からの影響を受けて色を変えることだってある。でも彼は自分自身で完成していたから他の影響を受けなかった。
影響を受けないということはつまり、興味が無かったということ。
最初、幼かった一夏たちにはそれが分からなかった。
自分たちの姉たちと楽しそうに話す彼は、確かに楽しいと思っているのだろう。でも、自分との会話になった瞬間全然楽しそうじゃなかった。
束と自分たちの夢について語る鋼。
千冬とじゃれあいのような格闘をする鋼。
この時の彼は目に光があるのに。
一夏と箒、2人にこれから先のことを話す鋼。
この時の彼は作業をしているかのような冷えた目をする。
最もそれは本当に最初の頃だけだ。
篠ノ之束という存在が彼の心をめちゃくちゃにしてしまった。真っ白なシーツには沢山の色が塗られた。でも色はあっても塗り方を知らなかった鋼には上等な絵などかける訳もなく、どこか抜けて歪な心になった。初心とも言えるかもしれない。
篠ノ之束と新城鋼がISを作り出すまでの2年間で彼は明確に変わった。特に女心を学ぶような傾向になり、自分が男としてどう振る舞えばいいかという点について敏感になった。
しかし、それにリソースを出力し過ぎたためだろう。その2年間で年下への対応を完璧にすることは出来なかった。
元々一人っ子。隠れ蓑にしていた同年代のコミュニティは篠ノ之束に荒らされた。年下集団なんていう新しい分野に踏み込める土台のない彼は昔ながらの方法に頼るしかなかった。平坦で感情の起伏のない対応。一体それを一夏と箒がどう思ったのかなど言うまでもないだろう。
それも今ではマシになった。学園で教師として働いていたことが主な要因だが、その前にチュートリアルとして一夏と鈴のなれ合いを見ていたのもあった。
そういうわけで、鋼は一夏を「色々学ばせてくれたいい年下の男の子」という認識で接している。そして、IS男性適合者となった彼からはもっとたくさんのものを貰うだろう。
その義理を返すために彼はエンジニア系の教師から織斑一夏専属特別顧問になった。とても不器用ではあるが感情がこもった感謝。
元恐怖の対象であった年上の男性にそう接せられて一夏はどう思うだろうか。うん、気持ち悪いと思うだろう。なんか所々ホモ臭いし。
それもまぁ仕方の無いこと。彼が見てきたのは青春を行き交う少女の乙女心が大半なのだから。
「久しぶりだな中国少女。歓迎するぞ、盛大ではないが」
「鋼さんお久しぶりです! ……また変なものの影響を受けました?」
もしも彼の心が真っ白なシーツのままだったなら、彼は篠ノ之束に並ぶもう一人の天災として名を世界に残していたかもしれない。
しかし、色恋を知った彼はもう一人の男。天災級の知能を持った天才へと成り下がった。ルールを破らないから天才なんだとか束は考えているが本当は違う。好きな女の子という鎖に繋がれてしまったから彼は天才なのだ。
「それほどでもない」
「わー謙虚だなーって、褒めてないですよ」
ちなみに束に振り向いてもらうことを目標に掲げる彼は、彼女と別れてから様々な方面に手を出して吸収していった。今の彼は一夏が考えているより割とコミカルである。
なんだぁこのキャラブレ度と変な文は……たまげたなぁ。でもシリアスなんざ必要ねぇんだよ!
ある意味おふざけモード束さんに近づいてしまっているオリ主。果たしてそんな状態で真面目モードの束さんの色気に勝てるのか!
ヘタレ童貞変人のオリ主の活躍に乞うご期待!話あまり進んでないけど!
は や く い ち ゃ い ち ゃ … … ( 遺 言 )
追記
なんか自動で原作名が私のログイン用メルアドになってましたけど気にしないでください。多分もうないと思います