前から「あ~続き書きたいな~」と思ってたので、書いてみました。
次が投稿されるかは分かりませんけど。
「……で、何故貴様がこの世界におるのだ?」
我輩は話しをしようとせず、ゲームとやらを続けようとした勇者を殴った。
勇者は少女の体から放たれた拳程度だが、痛かったようで床を転がっている。
我輩の話を聞いて無いのが悪いのだ。
「私がここに居る理由? 死んだからだけど」
「え、勇者死んじゃったの!?」
我輩は驚いて、この体の口調で返した。
まさか……この魔界の王である我輩を倒した勇者が、負けるほどの相手が居るとは。ぜひ会いたいものだな……会うことは無いだろうがな。
そう我輩が驚いてると……
「魔王倒した後、足滑らして頭打ったらこの体になってた」
我輩はもう一度勇者を殴った。
こ……転んで死んだだと?末代までの恥だな。魔王を倒した勇者が足滑らして死ぬとはな。
今頃、魔界も人間界も大変だろうが……まぁ、もう関係ないことだからどうでもいい。
「いったいなぁ、急に殴るなよぉ」
「貴様が転んで死んだのが悪い」
まったく……世界征服まで一歩と進んだ魔王と、その魔王を倒した勇者がこんなありさまだと、笑われてしまうだろう。
…………もっとも、その時代を知ってる者が居ないから笑われるようなことは無いがな。
「……ところで貴様は、どうして自堕落な生活を送っているのだ?」
そう、そこだ。
我輩は勇者も転生していたことと同時に、そのことも気になっていた。
誰かに洗脳されているのだろうか、それとも演技なのだろうか。
「え? だって、ゲームとか楽しいじゃん」
我輩は気が済むまでコイツを殴りたい。
ゲームとやらの娯楽が楽しくて、ここまで自堕落な生活をしているだと……!
「ほら、さっさと出ていきな」
…………しょうがない、あまり使いたくなったが元々はそのつもりだったのだ。
我輩は
「……スライム?」
「ん? あぁ、このキャラか。私たちの世界のモンスターに似てるでしょ?」
確かに。
細かくところは流石に違うが、似ている。
攻撃手段やら、言語を話さなかったりとよくよく見ると思った以上に違いがある。
「…………」
「……やる?」
「え? い、いや我輩はゲームとやらに興味ないよ!」
べ、別にモンスター以外にもどこが似ているとか、どんな世界だとか思った無いからな、私の世界と似てるな~としか思っていない。
「……口調」
「あ、やべ」
動揺して口調が体に引っ張られてしまった。
我輩と勇者との間に微妙な空気が流れる。
「「…………」」
「……ほら、一緒にやろうぜ」
「しょ、しょうがないね!」
私は勇者にリモコン……コントローラー?を貸してもらって、ゲームとやらをした。
へぇ、この世界ってこうなってるんだ!それで、主人公が元は村人で、おぉー!村を救うために魔王討伐をするのね!
「あ、勇者! モンスターが現れたよ!」
「ちょ、それレア級モンスターじゃん!?」
「あ、逃げられたな」
「……我輩に背を向けるとは良い度胸な、逃げられると思っているのか?」
「落ち着け、落ち着け! ゲームだから、ゲームだから落ち着け!」
「塵一つ残さず潰してくれる!」
「落ち着けって言ってるだろう!?」
あ、コントローラー……
わたs ンンッ! 我輩は勇者にコントローラーを取り上げられて、ゲームを没収された。
時刻は既に夕暮れ。
夕陽が沈みかけており、──冬ならばすでに真っ暗な時間だろう──カラスの鳴き声が聞こえている。
我輩は勇者とその母親に見送られていた。
「また来ますね!」
「待ってるわね」
「じゃーな、マオ」
「じゃあね、
我輩たちはゲームをした後に、改めて自己紹介をしたのだ。普通に「魔王」と「勇者」で呼んでも良いと思ったが、周りの目があるので
勇者は『
我輩の名前を教えると「『鬼崎 マロ』でしょ? なら……『マオ』で」となった。──我輩は嫌なのだが──勇者曰く、魔王と呼んでしまっても、誤魔化しが聞くからだそう。
「二人とも、もう仲良くなったのね」
前世からの縁だから、そんなものだろう。
それに我輩たちは既に【敵】ではなく【友達】だからな。
「またゲームやろうね!」
「いや、それは勘弁して」
我輩は勇者……いや、千裕ちゃんに断られたがそれを聞く気は無かった。
元魔王であり、現在はただの少女。
素の口調は固め。少女としては元気な女の子のつもり。
力を殆ど失っているが、時を止めたりは出来る。
元勇者で、現在はただの少女。
元は男だったようで、最初は体の変化に戸惑った。
魔王のように長く生きた訳ではないので、口調は前世に引っ張られている。
一応火を出せたり、飛べたりはする。