インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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というわけで、新連載です!


二人目は

 

初音島 天枷研究所

そこの一室、とある研究室ではメガネを掛けた少女が一つの侍鎧を思わせる物

ISを調べていた

ISと言うのは通称で、正式名称はインフィニット・ストラトスである

インフィニット・ストラトスと言うのは、今から十年前に天才(災?)科学者の篠之ノ束博士が開発した高性能マルチパワード・スーツである

開発した篠之ノ博士としては、宇宙開発を目的として発表したのだが、紆余曲折あって今はスポーツ用として落ち着いている

なお、このISには一つ重大な欠点が存在する

それは、女にしか使えないのである

そのために、ISが発表されてから僅か十年の間に女尊男卑が蔓延してしまったのである

しかしながら、今から2ヶ月程前にそれは覆された

何故かと言うと、世界で初めて、ISが使える男性が見つかったのである

見つかった当初、世界中は驚愕した

まさか、男が使えるとは思っていなかったからである

その後、世界中で男性を対象としてIS適性検査を行ったが見つからなかった

この地、初音島を除いては

初音島はISが発表された後も、女尊男卑にはならず、男女平等であった

逆に、女尊男卑なんか馬鹿らしいという考えが浸透している

ゆえに、IS? なにそれ? 的な考えすら持っている者すら居る

そして、この初音島は世界の最先端技術が集結してる島ですらある

ここ、天枷研究所はロボット工学の最先端である

そして、世界中の研究機関で理不尽な理由などで職を失った男性にとっては、まさしく最後の楽園と言えた

ゆえに、ここ数年で初音島の各研究所は飛躍的に巨大化及び業績の上昇を記録

それが理由により、初音島の周囲には人工島(メガフロート)が浮かべられてそこに研究所の移設などを行っている

そして、彼女

沢井麻耶(さわいまや)は、ISに使われている技術を自分が専攻しているロボット工学に活かせないかと、研究所の所長や彼女が通っている学園長に頼んで、ISを一機、研究用に送ってもらったのである

麻耶が真剣に調べていると、ドアが開き二人の男女が入ってきた

片方は、麻耶と同じくロボット工学を専攻している男子で、名前は桜内義之(さくらいよしゆき)である

そして、もう一人は小柄な体躯で牛柄の帽子と赤いマフラーを巻いた少女だった

名前は、天枷美夏(あまかせみなつ)である

入ってきた二人は、麻耶が調べていることに気づいて

 

「おーい、沢井!」

 

「まだ調べてたのか、もう昼だぞ」

と声をかけた

二人に声をかけられたことで、麻耶はハッとして

 

「あら、もうそんな時間だったのね……集中しすぎてたわね」

 

と時計を見て、呆れたた様子で首を振った

 

「ったく……んなこったろうと思ったよ。ほれ」

 

と義之は、近くの机に食事の乗ったトレイを置いた

 

「あら、ありがとう。桜内」

 

麻耶はお礼を言うと、椅子に座って、いただきますと言ってから食べ出した

その間に、美夏がISに近づいて

 

「どうだ、沢井。なにか、使える技術はあったか?」

 

ISを見ながら、麻耶に問い掛けた

問い掛けられた麻耶は、口の中の食べ物を飲み込んでから

 

「そうね……今のところ、エネルギー回路関係かしら。まだ完全には調べてないから、わからないけどね」

 

と言った

その答えを聞いて、美夏がISを見つめていると

 

「まあ、主には天枷やμ用だな」

 

と義之が、呟くように言った

なぜ、義之はそう言ったのか

何故かと言うと、彼女、天枷美夏はロボットなのである

しかも、最近ではなく、今から五十年前に作られたロボットである

だと言うのに、見た目や仕草、感情表現などは普通の人間のソレである

その理由は、今現在普及し始めているμとは違い、美夏には感情モーションのリミッターが設定されていないのである

だから、彼女の感情表現は普通の人間と遜色ないのである

だが、作られた五十年前ではその人間さが危惧されたのだ

当時は、ロボット排斥運動が活発で、もし美夏の存在がロボット排斥主義者達に露見したら美夏が危ないと判断され、美夏は開発者達の手により、島内にあった洞窟に封印されたのだ

その後、五十年経った二年前

とある偶然から、封印されていた美夏を義之が起こしてしまったのだ

その後、色々とトラブルはあったものの、義之達は美夏と交流を深めていった

その甲斐あって、美夏はその存在を認められて、義之達と同じように学園に通っている

そして麻耶は、現在普及されているμの一個前のプロトタイプ

美秋の開発者

沢井拓真(さわいたくま)博士の娘である

しかし、彼女が姉と慕った美秋はロボット排斥主義者の過激派の犯行により破壊されてしまい、彼女の家は言われなき罵倒や誹謗中傷が原因で父親は自殺

母親は心労と、がむしゃらに働いた結果体調を崩してしまった

彼女はそれを、本当は好きなのにロボットを憎むという矛盾した思いを持つことにより、心の安寧を保つ方法を取った

しかし、義之の行動と美夏との邂逅、交流を経て、本心を吐露

親密な関係になったのである

その後、ロボットの権利擁護運動をしながらロボット工学を履修

美夏のメンテナンスや、新しい機能や素材、回路の開発などを学んでいる

義之はそんな二人を支えようと、麻耶と同じくロボット工学を専攻し、二人の活動を支援している

そんな三人の活動と実績が評価されて、学園長であり、義之の後見人である芳野さくらの推薦があり、麻耶と義之は天枷研究所で研究してよいと認められた

 

「さてと、俺も手伝うか」

 

義之がそう言って、右腕をグルグルと回していると

 

「うむ。頑張れよ、桜内!」

 

と美夏が、義之の背中を強く叩いた

だが、忘れないでほしい

彼女、天枷美夏はロボットである

つまりは、彼女の腕力は普通の人間を超えている

そんな彼女が、強く叩いたらどうなるだろうか?

 

「わっ、た、た、た、た!」

 

義之は叩かれたことにより、バランスを崩した

義之はなんとかバランスを保とうと奮闘するが、奮闘虚しくISの方に倒れかかった

義之はなんとか直撃を避けようと、右手を突き出した

そして、右手がISに触れた

その直後

キィンと言う金属質の音が響き渡り、義之の体にISが装着された

 

「えっ……?」

 

「なに……?」

 

「ウソー……」

 

その光景を見て、三者三様の驚きの声が研究室で反響した

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

時は過ぎて、3月

 

「こいつは……予想以上にキツい……」

 

そう言ったのは、机にうつ伏せになっている男子

織斑一夏(おりむらいちか)である

彼が居るのは、世界で唯一ISの事を学べる公立IS学園である

もちろん、ISを学ぶ学園であるために、生徒は彼以外は全員女子である

一夏にとっては、それが一番ツラかった

何故なら、彼に向けられる視線の数がハンパないからだ

その視線が、一夏の精神をガリガリと盛大に削った

そして、一夏がうつ伏せになっていると

 

「織斑君……織斑一夏君!」

 

と呼ぶ声が聞こえたので、顔を上げた

そこに居たのは、メガネを掛けた童顔の女性

名前は山田真耶(やまだまや)である

彼女は一夏が所属する一年一組の副担任である

 

「今、自己紹介中でね。あから始まって、お、だから織斑君なんだよね。だから、自己紹介してくれるかな?」

 

と、真耶はオドオドした様子で言った

 

「わかりました……自己紹介しますので、安心してください」

 

とりあえず、一夏は目の前の真耶を落ち着かせることから始めた

 

「ぜ、絶対ですよ? 約束ですよ?」

 

真耶は涙を滲ませながら、一夏に念押ししてきた

 

(俺って、どんだけ信用ないんだろ?)

 

と、一夏は思いながら、立ち上がって振り向いた

なお、一夏が座っていた場所は、ど真ん中の最前列である

ゆえに、必然的に一夏に視線が集中した

その視線に一夏は気おくれしながらも、一回大きく深呼吸すると

 

「織斑一夏です…………以上です!」

 

と自己紹介(?)すると、女子たちは全員思わずコケた

その直後

 

ズパーン!!

 

という音と共に、一夏の頭を衝撃が襲った

頭に発生した痛みで、一夏は頭を抑えながらうずくまった

そして、背後に振り向くと

 

「げぇっ!? 呂布!?」

 

と、叫んだ

その直後、一夏の頭に背後に居た女性が持っていた出席簿が振り下ろされた

すると、先ほどと同じ音が響いた

どうやら、先ほど一夏の頭を襲った衝撃の正体は彼女

織斑千冬(おりむらちふゆ)の持っている出席簿だったようだ

 

「誰が三国志最強の武将だ。バカ者」

 

彼女はそう言いながら、うずくまっている一夏を見下ろした

そして深々とため息を吐くと

 

「満足に自己紹介もできんのか? お前は」

 

と、嘆いた

すると、一夏は立ち上がって

 

「だけどよ、千冬姉!」

 

と、言った瞬間

三度、一夏の頭に出席簿が叩き込まれた

 

「学校では、織斑先生だ。バカ者」

 

と彼女が言うと、女子たちがざわめきだした

 

「え? もしかして、織斑くんって、千冬様の弟なの?」

 

「もしかして、男なのにISが使えるのって、それが理由?」

 

名前からしてわかると思うが、千冬と一夏は実の姉弟である

そのことに、女子たちが囁きあっていると千冬は視線を真耶に向けて

 

「山田くん。HRを任せてすまなかったな」

 

と、先ほどとは打って変わって優しそうにほほ笑んだ

 

「い、いえ! 副担任として当然です!」

 

と真耶が返答すると、千冬は教卓に両手を突いて

 

「諸君! 私の名前は織斑千冬だ! 私の仕事はお前らヒヨっこを一年間教育することだ! いいか、私が教えたことは必ず覚えろ! わかったら返事をしろ! わからなくても返事をしろ! いいな!?」

 

どこぞの軍曹か、と言いたい

 

「「「「「はい、千冬様!!」」」」」

 

見事な団結力に、一夏は内心で少し引いていた

すると、真耶が千冬に近づいて

 

「そういえば、編入生は来たんですか?」

 

と、問い掛けた

 

「ああ、ついでだから紹介しよう。入れ!」

 

千冬がドアに向かって声をかけると、ドアが開き

 

「失礼します」

 

と言って、一人の男子が入ってきた

 

入ってきた男子は、千冬の隣に立つと軽く頭を下げて

 

「俺の名前は、桜内義之と言います。初音島から来ました。右も左もわかりませんが、よろしくお願いします。あと、俺のほうが二歳年上だけど、気にしないで接してくれると嬉しい」

 

と、模範的な自己紹介をした

 

「……え? もう一人、男の子……?」

 

「うそ……」

 

女子たちの驚愕の声が聞こえるが、義之は普段通りにほほ笑んだ

 

 

 

こうして、一年中桜が咲く島の男子が女子だらけの世界へと舞い降りた

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