インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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勉強と情勢

 

 

 

夜、一夏は自室で自習していた。

魔法もだが、ISに関しても一夏は他の誰よりも遅れている。そういう意味ならば義之も同じだが、義之の場合は持ち前の天才性に頭の回転の早さ。そして吸収率の高さで補っている。

一夏は楯無から出された課題を、ISに関する本を開きながらやっていた。

義之に聞けばいいのかもしれないが、今日はISでもありロボットでもある美夏のメンテナンスの為に、メンテナンスルームに麻耶と一緒に籠もっている。

 

「えっと……これは確か……あったあった」

 

とテキストから知りたかった内容を探し、一夏は課題を進めていく。

その時、ドアがノックされた。

 

「ん……はい」

 

一夏がドアを開けると、その先には箒の姿があった。

箒の手には、一夏が使っているのと同じテキストがある。

 

「その……私も楯無さんから課題を出されていてな……一夏、課題を一緒にやらないか?」

 

どうやら、箒も楯無から課題を出されていたらしい。

これは臨海合宿時に、箒も専用機を得たのが理由に挙げられる。

実は箒は、特定の国家に所属していない専用機持ちなのだ。だから箒が知らないだけで、様々な国が箒を我が国の専用機持ちにしたい、という催促と勧誘が後を絶たない。

それらは今のところ、千冬が全て拒否している。

 

『もし下手に箒に干渉しようものなら、束が動くぞ』

 

と告げている。

しかも直前に、ロシアという前例がある為に信憑性を高めている。それにより、箒の勧誘に動いているのは極一部の国のみになっている。

対外は千冬が対処しているが、何もしない訳にはいかないと千冬は楯無に箒に課題を出すように告げた。

千冬が出せばいいじゃないか、と思うかもしれないが、対外の対処と授業の準備が忙しいのと、千冬が知っているのは授業中での箒であり、プライベート特訓で知っているのは楯無だ。

ならば、楯無の方が最新のデータを得ており、課題を出すのに最適、と千冬は判断した。

しかし、箒は束への反発心からISに関してろくに調べようともしてこず、知り始めたのはIS学園に来てからだ。だから、知識に関しては一夏と実はドッコイである。

 

「おう。一人より二人の方が効率が良い時もあるからな」

 

そして一夏は、箒を部屋に招き入れた。

その後、二人の課題は深夜にまで及び、うっかりから箒は一夏の部屋で寝てしまい、翌朝、一夏の部屋から出たのを鈴に見つかって盛大な鬼ごっこが始まってしまうのは余談である。

場所は変わり、生徒会長室。

 

「お嬢様。本家の諜報員から、新しい報告が」

 

虚がそう言って、楯無に書類を差し出した。

それを受け取ると、楯無は軽く一読して

 

「……工作員に通達。分隊単位を倉持技研に送って、亡国機業の構成員を排除」

 

と冷徹に告げた。

 

「倉持技研に、亡国機業の構成員!?」

 

「ええ……芳乃博士がウチの諜報員に接触してきて、報せてくれたそうよ……これは、国防省にも報せて対処を話し合った方が良さそうね」

 

虚はまさか国内の研究所に亡国機業の構成員が居るとは予想してなかったらしく、楯無の言葉に驚き、楯無は手紙を引き出しから取り出し、何やら書き始めた。そして書き終わると、封筒に入れて

 

「これを、国防省の五条院大臣に」

 

と虚に差し出した。

その封筒を受け取った虚は、部屋から出ていった。

 

「……簪ちゃんの機体から……近い内に、織斑くんの機体も調べた方が良いわね……」

 

楯無にとって、簪に手出ししたというのが、逆鱗に触れていた。何なら、自分が直接出向いて排除したい程にだ。

 

「とはいえ、今はIS学園から離れられないからね……まあ、ロシアに振り回されなくなったのは、有り難い……かしらね……」

 

楯無はそう言って、書類仕事に戻った。

崩壊したロシアだが、今はまるで群雄割拠の時代に逆戻りしたかのように内乱状態になっている。

陣営は、大きく別けて三つ。

一つ目は、正統なロシアを主張する白帝ロシア帝国。

二つ目は、自由ロシア民主主義共和国。

三つ目が、社会主義ロシア連邦。

それぞれ、帝政、民主主義、社会主義を掲げており、勢力図としては白帝ロシアと自由ロシアが元ロシア領の約八割強を占領しており、日夜争っていて、社会主義ロシアは兵力の差から端に追いやられている。

他にも小規模な陣営が幾つか存在しているが、消滅も時間の問題だろう。

そして世界各国だが、最初は介入しようとしていたが、今は静観している。

実は、白帝ロシアが核ミサイルの増産を始めた、という情報があり、下手したら核が発射されかねないからだ。

いわゆる、触らぬ神に祟りなし状態である。

今世界各国は、迎撃態勢を維持しつつ静観するしかないのだ。

 

「……第三次大戦だけは、避けたいわね……」

 

書類を捌いていた楯無は、小さく呟いた。

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