インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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手掛かり

 

 

 

初音島、天枷研究所。

その一室で、さくらは水越女史からの報告に、険しい顔になっていた。

 

「15人……」

 

「はい。更識家の協力で見つかった亡国機業のスパイです……」

 

それは、天枷研究所にて見つかった亡国機業のスパイの人数だった。更識家の人間と協力し、徹底的に捜査した結果だった。

しかも、その内の八人がイギリス人だ。

他に、アメリカ人が六人。日本人が一人というのが内情。

 

「日本人が少ないのが、ある意味救い……って言えるかな……」

 

「その日本人も、無自覚のスパイにされていたから、まだ情状酌量の余地はあります。アクセサリーに超小型の盗聴器が仕込まれていて、それが亡国機業製だっただけですから」

 

その日本人の研究者は女性で、イヤリングをしていたのだが、宝石と思っていたのがソーラーパネルの役割のガラス玉で、耳に固定する金具部分に盗聴器が仕込まれていた。

その女性研究者に問い詰めたところ、アクセサリーはフリマアプリで買ったという話で、調べた処同じユーザーは似たアクセサリーを大量に出品していた。

とりあえずその女性研究者には、厳重注意をして職務に復帰してもらっている。

 

(とりあえず、今後入る時には盗聴器の確認が必要かな……盗聴器センサーの配備を申請して、念の為に警備員も増員しよう)

 

さくらはそう考えながら、書類の作成を開始。

その時、水越女史が

 

「それと、桜内君達から連絡がありました。美夏には不審な部品は無かったという事です」

 

と報告した。

 

「良かった。義之くんと麻耶ちゃんはしっかりしてるから、規格は合ってても知らない会社の部品は使わないね」

 

「はい。ただ、気になる報告が」

 

「気になる報告?」

 

水越女史の言葉に、さくらは顔を上げた。

すると水越女史は、二枚目の報告書をさくらの前に置き

 

「はい。天枷研究所から出る前日に、知らない会社から部品の検討をお願いしますと荷物が来ていたらしく、時間が無かったから警備員に預けたと」

 

「! その部品を見に行こう!」

 

水越女史の報告を聞いたさくらは、椅子を蹴倒す勢いで立ち上がった。

それから十数分後

 

「こちらの箱が、例の部品の箱になります。桜内研究員から預かったままになります」

 

警備員はそう言いながら、倉庫の一つの棚に置いてある箱を示した。

幸いにも、義之は開けても配送表を捨てなかったらしい。箱の側面に貼ってある。

 

「えっと……NAKYAMA製作所……確か、配管系の会社の名前だったね……」

 

さくらは配送表に書かれてある送り主の会社の名前を読んで、思い出しながら呟いた。

さくらは今まで様々な会社とやり取りをしてきた為、資料等を読んで覚えている。

今回の会社はさくらの開発した技術を使い、配管を作っている会社になる。

中を見ると、確かに配管が見える。

さくらはその内の一つを手に取り

 

「……見た感じ、変なのは……ん、これは……」

 

さくらが持ったのは、どうやら配線を通す為の配管らしい。さくらは様々な角度から見ていたのだが、配管の継ぎ目部分に変なものを見つけた。

 

「舞佳ちゃん。これ、分かる?」

 

「ん……これは、ICチップ?」

 

さくらの指差した場所を注意深く見た水越女史は、継ぎ目部分に使わない筈の部品を見つけた。それは、ICチップだった。

配管にICチップが必要とは考えにくい。そう判断したさくらは携帯を取り

 

「……あ、NAKYAMA製作所さんですか? ボクは芳乃さくらと言います。一つ確認したい事があるんですが……」

 

と件の会社に電話した。

少しすると、さくらは携帯を仕舞って

 

「それ、NAKYAMA製作所製じゃない。回収して」

 

と指示した。

さくらの指示を受けて警備員が箱を回収し、水越女史は

 

「さくらさん。NAKYAMA製作所はなんと?」

 

「ウチから、天枷研究所に送った製品はありません。だって。社長が自ら証言したよ」

 

さくらが名前を言うと、最初は若い女性社員だったが、すぐに社長に代わってくれた。そして社長自らが調べて教えてくれた。

つまり、誰かがNAKYAMA製作所の名前を使って送ってきた偽物という事になる。

 

「ボクから更識家に連絡して、調査員を派遣してもらうから」

 

「わかりました」

 

こうして、一つの手掛かりを入手した。

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