インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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襲撃

 

 

 

喫茶店で時間を潰してから、簪と一夏はヒカルノの研究室に向かった。

二人のISの整備作業は終わっていて、ハンガーに掛けられていた。

 

「お帰り、二人とも。整備は無事に終了したよ。確認して」

 

ヒカルノはそう言って、簪と一夏に端末を差し出した。端末を受け取った二人は、表示されている愛機の情報を見た。

整備のついでに一部部品を上位互換の部品に交換したらしく、以前より性能が上がっている。

 

「ありがとうございます」

 

「……ありがとう、博士」

 

「いやいや。貴重なデータも回収出来たからね。あ、弐型だけど、今の仕様でコンペに掛けてみるよ」

 

ヒカルノはそう言って、キーボードを叩き始めた。

恐らく、コンペティション用の資料を作成しているのだろう。

簪の打鉄・弐式と現在陸上自衛隊の特殊技術研究廠第一中隊により試験運用中の飛燕と制式採用を争っているが、データ収集では飛燕に一歩遅れてしまっている。

 

「後日、そちらに今の仕様に合わせた予備部品を送るからね」

 

「分かりました」

 

「……分かりました」

 

そうしてヒカルノと別れた二人は、制服に着替えてからIS学園に戻る為に帰路に着いた。

しかし、IS学園に向かうモノレール駅に入る直前、簪と一夏は何かを感じ取った。

 

「……お姉ちゃん!?」

 

「楯無さん!?」

 

一瞬だが、脳裏に膝を突く楯無の姿が過った。

だから二人は、無断だがISを起動し飛んだ。

今の楯無は、以前の旧ロシア軍の襲撃で受けた傷が、まだ完治しきっていないから、ISの展開に制限がある。

一応護衛として虚が居るが、虚は更識家との連絡役も兼ねており、居ない場合もある。

二人は最速を維持しつつ、海面スレスレを飛んでIS学園を目指した。

そして、少し近付くと見えたのは、所々に見える黒煙だった。

少しばかり時は遡り、二人が倉持技術研究所から出た頃になる。

この時楯無は、中国のIS大使と面会する為に、会議室に向かった。

車椅子から杖に変わっているが、楯無はゆっくりと会議室に向かい、開けようとした。

その時、轟音と共に学園全体が激しく揺れた。

 

「第一管制室! 何が起きたの!?」

 

楯無は急いで片耳仕様のヘッドセットを装着し、地上の第一管制室に通信を試みた。しかし、返ってくるのはノイズのみ。

楯無は窓から第一管制室の方を見ると、管制室の辺りから黒煙が上がっている。

 

「何処かから、攻擊された!? 何処から!?」

 

楯無がそう言った直後、ドアが開き

 

「い、一体何が!?」

 

と会議室から、中国のIS大使が出てきた。

その反応から、中国からではないと楯無は考え

 

「分かりません! ですが、危険ですから、大使は地下のシェルターに向かってください!」

 

と避難を促した。

中国IS大使は顔を青白くしながらも頷き、端末を見ながら避難を始めた。

そして楯無は、ヘッドセットをトントンと2回叩いて

 

「第二管制室!」

 

『こちら第二管制室! 楯無生徒会長ですか!』

 

どうやら、地下の第二管制室は無事らしい。呼び掛けたら、即座に返事が返ってきた。

 

「第一管制室は壊滅と判断し、以後はそちらが管制を引き継ぎなさい! 何があったの!?」

 

『了解、引き継ぎます! 轟音の直前、いきなりレーダーに反応が出てきました! 反応の大きさから、ミサイルと判断しますが、それが第一管制室に直撃したと思われます!』

 

第二管制室からの報告を聞きながら楯無は、生徒手帳を取り出し、専用機持ち以外の生徒に対して避難勧告を発令。続いて、専用機持ちには即座に出撃を要請した。

今日は中国IS大使以外に、日本の防衛省大臣を含めた各国の要人が、各国の専用機持ちや代表候補生に会いに来たりしている。

要人を失う訳にはいかない。

 

「ステルスのミサイルか、海中から発射された可能性が高い! ソナーと光学式を起動させなさい!」

 

『了解!』

 

楯無は一旦そこで通信を切り、痛む傷を抑えながら、痛み止めを取り出して、飲み干した。

 

「まだ、IS展開は無理だっていうのに……」

 

ISの方は、修理も完了しているから、何時でも展開は可能だが、怪我したままでは展開時に身体に負荷が掛かってしまうから出来ない。

どうするか考えていたら

 

『生徒会長! IS学園付近の海中に、所属不明の潜水艦と思しき音響を確認しました!』

 

「なんですって!?」

 

第二管制室から、驚きの報告が入った。

一応IS学園付近には、海上自衛隊の護衛艦が一隻展開しており、常時海中を警戒している。

そして海上自衛隊の護衛艦のソナーは、世界でも有数の性能を有している。

それを突破してきたという事は、相当の静音性のようだ。

 

「何の音!?」

 

『排水音と思われる音響と、ベントが開く音です! 恐らく、ミサイル攻擊の為の準備かと思われます!!』

 

最初の攻擊は、十中八九その潜水艦からのミサイル攻擊だろう。そう判断した楯無は

 

「対空迎撃用意! これ以上、IS学園への攻擊をさせる訳にはいかないわよ!!」

 

『了解!』

 

IS学園の長い1日が始まった。

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