楯無は第二管制室と通信しながら、虚が構築したシステムを起動させた。
それは、海上自衛隊の護衛艦との直接通信システム。
「ながと、聞こえますか!?」
『こちらながと! 何者か!?』
多少ノイズ混じりだったが、何とか通信出来た。
「こちらはIS学園生徒会長、更識楯無! 当学園は現在、謎の潜水艦から攻擊を受けている! 今からそちらに、該当の音響データと位置情報を送る!」
楯無は切れないでと願いながら、第二管制室から受け取っていた音響データと潜水艦の位置情報の送信を始めた。
時々ゆっくりになったが、何とか送信し
「こちらは、発射されると思われる敵ミサイルの対処をします! 攻擊はお任せします!」
『了解!』
自衛隊に指示した直後、楯無は第二管制室に繋いだヘッドセットを装着した。その直後
『対象の潜水艦から、ミサイル発射! 数は一発!』
「対空迎撃!!」
楯無の指示の瞬間、轟音が鳴り響き、学園が大きく揺れた。
「何があった!?」
『ISを展開した代表候補生、セシリア・オルコットがミサイルを撃墜しました! 学園に被害は無し!』
迎撃にしては早すぎると考えた楯無の問い掛けに、第二管制室からの返答。それを聞いた楯無は、安堵していた。
『一年生の専用機持ち達は、桜内君の指示に従って対空迎撃と侵入者と戦闘を開始!』
「侵入者!?」
『はい! ラウラ・ボーデヴィッヒの話では、相手は正規の軍人と!』
だが続けての報告に、楯無は驚愕した。
つまり、潜水艦も何処かの国の正規軍の艦艇という事になる。
「何処の国のかは分かる?」
『申し訳ありません。全員装備がバラバラのようで……』
管制官からの報告に、楯無は納得した。
国を特定されるような、間抜けはしない。そんな事をしたら、IS学園に出資している各国から非難が集中するし、最悪は報復としてISを含めた戦力を投入される。
「非戦闘要員の避難は?」
『一年生は桜内君が専用機を持たない代表候補生に指示し、順調に避難中。二年生は黛さん、三年生はベルベット・ヘルさんが指揮し、避難中』
二年生と三年生は、ある意味慣れていると言うべきか、有事の際には避難するのが早い。
それはさておき、楯無は端末で相手の位置を確認し
「この動き……避難中の生徒達は無視してる……」
と気付いた。
専用機持ちの生徒は多くなく、どうしても薄い防衛線になってしまい、なんなら相手の横に迂回路があって、そこを進まれると避難中の生徒達を一方的に撃てる位置に立てる。
だと言うのに、相手はそれをせずに専用機持ち達と戦闘を繰り広げている。
つまり、目的は別にある。
「何が……」
と楯無が呟いた直後、楯無が居た部屋の扉が蹴破られた。
「しまっ……」
楯無が目的に気付いた直後、楯無は電撃を浴びて気絶した。
その頃、一夏と簪の二人は海面スレスレを超音速で飛行していた。
「IS学園の第一管制室と連絡が取れない!」
「襲撃されて、破壊されたと考える……! 今は、1秒でも早くIS学園に!」
最短ルートを選択し、IS学園に向かう二人。
すると、海上自衛隊のながとが、VLSを2発発射したのが見えた。
「狙いは、俺達じゃない?」
「海中に何か居る! 多分潜水艦!」
簪が言った直後、海中から何かが現れた。人型だが、ISに比べたらかなりずんぐりむっくりした代物。
「あれは……」
「旧ロシアが開発してた、強化外骨格!?」
崩壊した旧ロシアは、IS以外にも強化外骨格の開発を進めていた。
開発段階での名前は、スヴァローグ
ロシア神話で火の神の名前を冠した強化外骨格は、火力投射能力が高く、一部ではISを凌駕する、とロシアは喧伝していた。
海中から現れたスヴァローグは、どうやらホバー機構を備えていたようで、海面を凄まじい速度で移動しながら、ながとから発射された2発のミサイルを迎撃。
そして、背負っていた大筒をながとに向けた。
流石にマズイと考えて、二人はスヴァローグに突撃。
一夏が間一髪でながとへの攻擊を防ぎ、簪が至近距離で荷電粒子砲を発射して撃破した。
すると、ながとから甲高い警報が鳴り響き、ながとが回頭を始めた。
「潜水艦が、魚雷を発射したみたい」
流石に、魚雷はどうする事も出来ない。ながとは対魚雷防御をしつつ、回頭を続行。
すると、ながとから
『今IS学園は、未知の勢力から襲撃され、第一管制室は陥落。第二管制室からの報告によれば、学園内で戦闘が始まっている! そちらに向かわれたし!』
と通信が入った。
「しかし、また強化外骨格が投入されたら……」
『今こちらに、特殊技術研究廠中隊が向かっている。彼女達に任せたから、、大丈夫だ!』
一夏からの問い掛けに、ながとから返答がきた。それを聞いた簪は、レーダー範囲を広げて
「確認した……確かに、こっちに来てる」
と見つけていた。
「分かりました」
「お気をつけて」
二人はそう言って、IS学園に向かった。