ながとから離れた二人は、急いでIS学園に向かった。何か所からは煙が上がり、集音マイクが銃声を拾っている。
「クソっ! 何処の国が……!?」
『お姉ちゃんは……!?』
一夏と簪は、被害を確認しながら近くの銃撃してくる敵に突撃し
「邪魔だぁ!!」
『どいて!!』
殺さないように攻擊し、なぎ倒していく。
その時
『一夏か!?』
「義之か! 状況は!?」
ノイズ混じりだが、義之と通信が繋がって、一夏は安堵した。
しかし
『第一管制室は完全に沈黙。第二管制室は状況の把握と避難誘導で手一杯。織斑先生と山田先生は要人達と会談していて、通信が出来ない。少し前に、生徒会長との通信が途絶えた!』
と悪い報告が立て続けに入った。
特に悪いのが、楯無の通信途絶になるだろう。千冬達は、本人達が何とかすると確信している。
「最後に確認出来た場所は!?」
『座標情報を送る!』
義之から座標情報を貰った一夏は、即座に簪と共有。アイコンタクトを交わすと、即座に動いた。
座標情報の場所に向かい、ISの装甲とバリアを信じて、壁を破砕突破した。
すると、気絶しているらしい楯無を数人の軍人が運んでいる場面に遭遇し
「会長を離せっ!!」
『お姉ちゃん!!』
壁を破砕突破して突入した二人は、楯無を運んでいた侵入者達を挟む形だったので、そのまま突撃した。
侵入者達は楯無を直接運んでいた二人以外が銃撃してきたが、ISには通常の弾は通用しない。
対IS弾も有るには有るが、基本的に大口径弾しかなく、重機関銃が必要になり、強化外骨格による運用が大前提だ。
もしかしたら、潜水艦から出撃してきたスヴァローグは対IS用だったのかもしれない。
しかし、見る限りではスヴァローグは確認出来ない。
「邪魔だぁぁ!」
『どいて!!』
二人は次々と侵入者達を排除していき、後は運んでいた二人だけ。そんな時、その二人が突如拳銃を抜いて、楯無に向けた。
「まさか!?」
『お姉ちゃん!!』
二人はさせまいと急いで向かおうとしたが、どう考えても侵入者が楯無を撃つ方が早い。
間に合わない、と二人が諦めかけた時だった。
その時、窓ガラスを突き破って刀が飛んできて、侵入者達が持っていた拳銃を弾いた。
侵入者達は驚きで僅かに固まり、すぐに予備の拳銃を抜こうとしたが、それだけで十分だった。
その時には既に、一夏と簪が肉薄していて侵入者達に拳を放ち、壁に叩き付けた。
そして一夏は、すぐに窓の方に視線を向けた。
その先には、戦闘用のスーツを来た千冬が居た。
「千冬姉……」
『間に合ったようだな……お前達も、よくやった。私はこのまま、不埒者共を撃滅しに向かう。お前達は生徒会長を地下の医務室に運べ』
『了解です……織斑先生、ありがとうございます……』
千冬にそう言うと、まだ戦闘中の校舎の方に駆け出した。その後にラファール・リヴァイブを纏った山田先生が居たから、大抵の事態に対処出来るだろう。
そして一夏と簪は、楯無を地下の医務室に運び始めた。
地下の医務室は、緊急事態の時に解放される場所で、さくらが水越病院と共同して開発した医療用AIを搭載したμが治療をしている。
診察してもらうと
「スタンガンによるショック状態と推定。暫く安静にしていれば、意識を取り戻すと思われます」
とそのμは告げて、別の怪我人の治療に向かった。
安堵した二人は、まだ意識を失っている楯無を見ていた。そこに、虚が現れて
「お嬢様……ご無事で良かった……」
と楯無の手を握った。
そして、一夏と簪を見て
「織斑くん、簪様。お嬢様を助けていただき、ありがとうございました……私が連絡役として不在の時に襲撃されるなんて……」
「いえ……」
「……織斑先生が居なかったら、間に合わなかった……」
虚が頭を下げると、一夏と簪は首を振った。
二人からしたら、危うく楯無が殺害されるかもしれたかった事態だったからだ。
しかし、虚は
「その織斑先生が、二人が戦ってなかったら、位置が分からなかったと言っていました……本当にありがとうございました」
と再度頭を下げた。
あの時の千冬は、要人達を地下シェルターに避難させてから戦闘服に着替えて現れたばかりで、事態の把握がまだ出来ていなかった。
しかし、山田先生が近くで一夏と簪が何者かと交戦していると教えて向かったら、楯無が撃たれそうだったので、持っていた刀を投げたのだ。
そして、千冬が突入して十数分後。千冬と山田先生の奇襲で戦っていた兵士達は壊滅し、ひとまず戦闘は終結したのだった。