襲撃の翌日、IS学園は生徒の訓練も兼ねてISを用いた工事をしていた。
とは言え、そちらは主に一般機を用いた生徒達で、専用機持ち達は残党が隠れていないか、不審物がないか捜索に回っていた。
残党は今のところ見つかっていないが、いつの間にか仕掛けられていた爆弾は複数発見し、爆弾処理が得意な生徒に解体してもらっている。
その爆弾は二種類確認されていて、一つ目は過半数を占める撹乱目的と思われる威力が弱い爆弾。
そしてもう一つが、要所要所に仕掛けられていたIS学園校舎を破壊する為と思しき高威力の爆弾。
恐らく、目的を達し脱出する際に追撃を阻止する為にIS学園校舎を破壊しようとしたのだろう。
仕掛けられていた場所と威力から、解体した三年生はそう説明した。
そんな中、義之は音姫と一緒にある部屋に向かっていた。そこは、学園校舎の保健室。
義之は、そこに何かを感じていた。
「弟くん……」
「ああ、この段ボールだ」
義之と音姫は確信して、ベットの下からある段ボールを引き摺り出した。段ボールには、医薬品と書かれてあるが、義之は無視してガムテープを剥がし、開けた。
段ボールの中に入っていたのは、陶器と木箱のみ。どう見ても、医薬品には見えない。
しかしそれを、音姫は知っていた。
「間違いない……悪夢を集めて爆弾にする魔導具だ」
それは一年前に、欧州はフランスのある駅で爆発し、長期間フランスの列車網を麻痺させた魔導具だった。
ベットの下か床下に仕掛ける事で、最大で半径10mの範囲内で寝ている者に強制的に悪夢を見せ、その悪夢を集めて圧縮し、最終的には爆発する、という魔導具になる。
爆発の威力は悪夢の質により変わるようだが、大抵は数千人から一万人近くの悪夢を集める為、最低で100m程が吹き飛ぶ爆弾になる。
「まだ仕掛けられたばかりみたいだね……これなら、術式を解体すれば、どうにかなる」
音姫はそう言うと、まず人払いの結界を展開し、その魔導具の解体を始めた。
幸いというべきか、今居る保健室は事件から誰も使っていないため、悪夢は一切集められていない。
もし悪夢が集められていたら、その悪夢の処理をしなければ爆発する可能性が高い為に厄介ではあった。
その悪夢の解散には、夢に関する魔法が使える者が必要になるのは、今から約100年程前のイギリスで証明されている。
その功績があったから、日本守護の一つ。葛城家の当時の頭首は、日本人にしては珍しく騎士爵が与えられており、今も騎士爵を維持し、イギリス大使館の日本側駐在武官として、代々優秀な人材を輩出している。
因みに、朝倉家はその分家の一つになる。
葛城家が魔法と近接戦闘を合わせた家系で、朝倉家は純粋な魔法のみに長けた家系にはなるが、今も良好な関係を築いている。
術式の解体を始めて、十数分後。音姫は汗を拭き、まず陶器を段ボールから取り出し、次に木箱の蓋を開けた。
その中には、黒い革表紙の本が一冊入っていた。
「ん? その本は?」
「魔導書? だけど、凄い魔力……まさか、昔の魔導書を持ち出したのかな……」
音姫は手袋を付けると、慎重にその本を取り出して確認し始めた。後ろから見ていた義之にはサッパリだったが、ある程度見た音姫はすぐに閉じて、鞄から取り出した何らかの箱に入れて蓋をしたら、紐で縛った。
「これ、精神系の魔導書だね……弟くんや私には効果無いけど、他の人が直接読んだら最悪精神が崩壊するレベルの代物だよ」
「予想以上に危ない代物だった」
音姫の説明に、義之は驚いていた。
そして音姫は、その魔導書を入れた箱を鞄に仕舞い
「これは、私の方でなんとかするね」
と言って、保健室から去った。
そして義之は、くるりと保健室を見回して
「もう無いな……この段ボール、廃棄するか」
と段ボールを持って、保健室から出た。