本来の開催日から、約2週間遅れだが、IS学園の文化祭は開催する運びとなった。
その為にIS学園の生徒達は、全員で一丸となって準備に奔走。急ピッチで出し物の準備を進め、文化祭前日。
「な、何とか間に合った……!」
「正直、間に合わないって思ったよね……!」
本当にギリギリだが、一年一組の準備は完了した。
そして教室では、生徒達が疲労困憊という様子でグッタリしていた。
「桜内君と沢井さんの指揮が的確だったから、間に合ったよ……」
「本当にありがとう!」
クラスメイト達は、次々と義之達に感謝の言葉を告げる。
「いやまあ……」
「私達は、風見学園での経験があったから……」
そしてクラスメイト達の言葉を聞いた義之と麻耶は、複雑そうな顔をしながら頬を搔いていた。
ちなみに美夏は、荷物の搬入や大道具、小道具の据え付け、工作で大活躍。
今では、一年一組の工作班長と認識されている。
「よし、一夏。この書類を生徒会に提出頼んだ」
「私達は工具とかの後片付けを指揮するから」
「分かった」
義之から書類を受け取った一夏は、生徒会室に向かった。そして一夏は、以前に楯無からされた話を思い出した。
「課外活動かぁ……」
つまりは部活か委員会活動になるが、中学生時代に一夏は新聞配達のバイトをしていた為に、基本的に帰宅部だったから、どんな部活か委員会がしたいのか、というのが分からなかった。
一応楯無から貰った一覧表は見たが、どうにもこれ、というのが無かった。
実は中学生時に、時々だが友人の五反田弾と御手洗和馬の二人と一緒に軽くバンドみたいな事をしていたから、もし愛越学園に行けたら軽音部みたいなのやるか、みたいな話はしていたが、流石にIS学園には軽音部は無かった。
「さて、どうしようかな……」
一夏はそう呟きながら、頭を掻いた。
生徒会室に到着すると、一夏は義之から渡された書類を提出。
そのまま、一年一組に戻った。
すると
「おお、戻ったか。織斑、待ってたぞ」
と美夏が声を掛けてきた。
「あれ、他は……」
教室には、美夏以外誰も居なかったから、一夏は困惑していた。すると美夏は、呆れた様子で
「忘れたのか? 第一グラウンドで、前夜祭をやると言っていただろう」
「……ああ、そうだった!」
美夏の言葉に、一夏は思い出したという様子で手を叩いた。
前夜祭。
文化祭が始まる前に行われる、当事者達への慰労目的のお祭り。
明日から2日間、生徒達に遊ぶ余裕は殆ど無い。
普段IS学園が部外者の立ち入りを制限している為、文化祭に呼ばれたお客は最優先に饗すことにしていて、あらゆる出し物は外からのお客を最優先で通して接待するように、と通達が出ている。
だからその前と後に生徒達を労う機会が、設けられた。それが、今回の前夜祭と後夜祭だった。
「忙しくて忘れてたな」
「美夏は、一応連絡役として残ったんだ。早く行くぞ」
「ああ」
美夏に促され、一夏は第一グラウンドに向かった。
グラウンドでは、元々グラウンドで出店予定だった出店と、一部の生徒達が机を置いたり、ゴンドラを使って物販をしていた。
「お、来たか。一夏」
「書類は大丈夫だった?」
そして一夏を出迎えたのは、義之と麻耶だった。
二人は教師がよく上がる大きな台の近くに居て、その台の上には買ったのだろうビニール袋が幾つか置いてあった。
「ああ。書式も問題無しって、受け取ってもらった」
一夏はそう言って、二人に歩み寄った。
一夏の話を聞いた義之達は、安堵した様子で
「それじゃあ、後は文化祭本番を迎えるだけだな」
「それに、無事に終える必要もあるわよ?」
二人の言葉に、一夏は頷いた。
確かに、文化祭を無事に終える事が何より大事だ。
「さて、美夏も何か買いに行くか!」
「ぉ、天枷さん。向こうにチョコバナナを売ってる屋台があったわよ」
「ならば、買ってくるか!」
麻耶の言葉を聞いて、美夏は麻耶が指差した方へと走っていった。
そして一夏は
「俺も、何か買ってくるか」
と呟いて、買いに向かった。
こうして、前夜祭は賑やかに過ぎていく。