弾が鈴のクラスで飲茶を堪能している頃
「うーん。まさか、ボクがIS学園に来る事になるなんてねぇ」
と一人の人物が、校門付近に居た。
長い金髪に青い瞳。小柄な体躯からは子供のよう。
知らぬ人物が見たら、子供にしか見えない人物。
日本が誇る天才科学者にして生粋の教育者の一人。芳乃さくらである。
さくらは鞄から義之が送ったチケットを取り出して、校門に居た係員。黛薫子に差し出した。
薫子は最初、さくらを子供と思って追い返そうとしたが、チケットの裏側に書かれてあるさくらの名前と義之の名前を見て驚きで固まり
「えっ……あの芳乃さくら博士!?」
と大声を出した。
「うん、そうだよー? ボクが芳乃さくらさ!」
さくらが肯定すると、その薫子は何処からか色紙を取り出して
「私、芳乃博士の論文読んでます! 特にカーボンナノチューブに関する論文と資料は感動しました!」
と語りながら、色紙とマジックペンをさくらに差し出した。
「あれ、君も技術畑の人間なんだ?」
「はい! 私は整備課の生徒の黛薫子って言います!!」
さくらからの問い掛けに、薫子は力強く返答した。
名前を聞いたさくらは、色紙に自身のサインを描いてから、最後に薫子の名前を書いた。
「はい、これで良いかな?」
「ありがとうございます!」
色紙を受け取った薫子は、チケットにハンコを捺して
「ゆっくり楽しんでください!」
とさくらに返却した。
「ありがとうねー♪」
そうしてさくらは、朗らかにIS学園に入っていった。さくらを見送った薫子は、色紙を一瞥した後
「……部屋に戻ったら、額縁に入れよう」
と呟いて、その色紙を大事に鞄に仕舞った。
そうしてさくらは、先に一組には向かわず、迷わず学園長室に向かった。
そして、ノックして
『どうぞ』
「やっほー! 十蔵くん! 来たよー!」
中から促された直後、さくらは入った。
「久しぶりですね、さくら」
「久しぶりだねぇ? 十年振り位?」
「そうですね。貴女からのお願いで、IS学園を設立する事を決めた時以来ですね」
そう、IS学園の設立する発端は、さくらに起因していた。さくらは事前に束から、ISに関する情報を開示されていた。
最近活発化している闇の魔法使いに対抗する為に、ISを開示しても良いか、と束から相談されたのだ。
そしてこの相談に、さくらも悩んだ。
教育者としたら、教え子の新しい技術を認めて開示させてあげたかった。
しかし魔法使いとしたら、魔法に関しては秘匿し、出来るならば一般人は巻き込みたくなかった。
非常に悩み、その結果として開示を許可した。
表向きは、宇宙開発に用いる事を条件にした。
その後、十蔵にIS学園の設立を打診。
新しい埋め立て技術やモノレールに使える素材を開示し、さくらも協力して設立したのだ。
「早速ですが、こちらが今集まっている情報になります」
「ありがとう……相手は、亡国機業のスコール隊……分かってるだけで、ISを3機保有……」
「未確認ですが、そちらの3機かは分からないが、最近アメリカとイスラエルの共同基地からISを奪取しようとしたようです……」
十蔵の話を聞いたさくらは目を細め
「……多分、この学園祭中に接触か事を起こすよ」
と告げた。
「……あり得るでしょうね」
「一応、学園内の魔法使い達に即応態勢を取らせて……ボクも手伝うから」
「わかりました」
さくらの助言を聞いて、十蔵は端末を取り出した。