『桜内! 何をしている!?』
「これから、あの二人の援護に向かいます。試合で、エネルギーだって大幅に消費している筈ですから……桜花、出る!」
千冬からの問い掛けに答えると、義之はスラスターを噴かして出撃した。
「一夏、鳳、無事か?」
『義之か!?』
『あんた……』
義之が現れたことに一夏は喜び、鈴は驚いていた。
既に、所属不明機が現れて数分が経とうとしていた。しかし、義之が来るまで援軍処か通信すら繋がらなかったのだ。
『あいつ、どういうつもりだ……』
「……へえ……二人共、熱源探知を起動してみろ。面白いことが分かるぜ?」
義之の言葉を聞いた二人は、ハイパーセンサーの熱源探知を起動させ、驚いた。
『なっ……』
『人が……乗ってない!?』
所属不明機は、無人機だったのだ。
しかし、本来ISというのは人が乗っていないと使えない。
『そういやぁ、ISはまだ未完成の技術って言ってたな……つまり、どっかの誰かさんが無人機技術を作ったってことか……!』
『その無人機技術を開発したどっかのバカが、暇潰しか何かで今回の事を起こしたっての? 殴ってやりたいわ』
「散開!!」
義之が声を上げた直後、無人機は両手から閃光を三人にむけて放った。
三人は辛うじて回避したが、一夏と鈴の二人は
『あっぶねぇな!?』
『直撃受けたら、落ちるわね……』
残りエネルギーの少ない二人は、無人機から放たれる高出力のレーザーの直撃を受ければ、撃墜は必至だ。
だから二人は、無人機の攻撃の回避に意識を集中させた。
「二人は回避に専念しつつ、遠距離攻撃をしてくれ」
義之はそう言いながら、一夏に重突撃機銃を投げ渡した。
『っとと!? 投げ渡されても、他人の武装は使えないんじゃ!?』
「アンロックしてある!」
アンロックというのは、ようするに自分の武装を他人が使うことを許可することだ。
今回、重突撃機銃を一夏に使えるように、義之が許可したのだ。
「鳳は、衝撃砲を撃ちまくれ!」
『いいわ、乗ってあげる!!』
『げ、照準がでねぇ!? そこまで尖らせる必要あるのかよ!? 適当に撃つしかない!』
鈴は衝撃砲を次々と無人機に向けて撃ち込むが、一夏は時々弾が遠い所に着弾する。
通信の声を信じるならば、本来はデフォルトで有る筈の照準機能が無いらしい。
(本当に、格闘特化過ぎる! 倉持はバカか!? 零落白夜の再現に、要領を使いすぎなんだ!)
義之は内心で倉持を罵倒するが、照準してないからか、時々機銃弾が当たっている。
(怪我の功名ってか!!)
義之はそう思いながら、右手にザスタヴァ・スティグマトを展開。そして、左手にはある物を持ち
「今から三秒後、二人共目を閉じろ!」
と通達。そして、きっかり三秒後にそれを投擲した。
義之が投げた物は、無人機の近くの地面に落ちた。その直後、激しい閃光が瞬いた。
「対IS用閃光手榴弾……そして!」
義之は動きが鈍った無人機に、一気に肉薄。右手のザスタヴァ・スティグマトと左手に新たに展開したプラズマソードで攻撃した。
まず、左手のプラズマソードで無人機の左腕を切り、装甲に傷をつけ、そこに銃口を押し付け気味にして、ザスタヴァ・スティグマトをフルオートで撃った。
流石にその連続攻撃は効いたらしく、左腕は煙を噴いている。だが、無人機は後退し両手を構えた。
「はっ……俺だけじゃないぞ?」
『ぜああぁぁぁぁぁ!』
義之が小馬鹿にしたように告げた直後、一夏が零落白夜を無人機に叩き込んだ。
その一撃で、左腕は肘から切り飛ばされた。そして一夏は、更に横凪ぎの一撃で胴体を両断した。
実は義之が攻撃している間に、一夏は鈴の衝撃砲を瞬時加速に使うという荒業を使い、零落白夜分のエネルギーを確保。攻勢に出たのだ。
『これで……終わりか?』
「一夏、それはフラグだ!」
一度は機能停止した無人機が再起動し、右腕を高出力モードに変形。至近距離で一夏に砲撃しようとした。
一夏は先の一撃で、既に残りエネルギーはほぼ残っていない。もし受けたら、撃墜は必至。
だが
『後は』
『私達にお任せを!』
無人機の頭に、槍。蒼流閃が突き刺さり、そして、右腕をレーザーが撃ち貫いた。
「楯無とセシリアか」
それは、義之が開けたピットから出撃してきた二人からの攻撃だった。
簪が第2ピットまでの隔壁を全て開け、第2ピットに来た二人はISを展開。出撃したのである。
「今度こそ、終わりだ」
義之はそう言って、プラズマソードをエネルギー集積回路があると思われる腹部に突き刺した。
こうして、無人機事件は、幕を下ろした。