(ふむ……これは、確かに中々厳しいな)
と義之は、回りからの視線を感じていた
義之の席の位置は、真ん中から少し窓側の真ん中辺りになる
その位置ですらかなりの視線を感じるのだから、真ん中最前列のもう一人
織斑一夏の精神的ダメージは、かなりのものだろう
(さてと……お?)
最初の授業が終わると、義之はその少年に声を掛けようとしたが、先に一人の少女が声を掛けていた
(知り合いっぽい感じだな……後にするか)
その二人の様子から、義之はそう察して後回しにした
そこに
「ねえ~よしよし~」
と何とも、のんびりした声が聞こえてきた
「って、俺のことか?」
義之は自分だと判断し、視線を向けた先には、ダボダボの袖の制服を着た一人の少女が居た
「えっと、君は?」
「私の名前は~
義之が問い掛けると、その少女
本音はそう自己紹介した
(うん。確かに、のほほんだな)
本音のあだ名に、義之は納得しつつ
「それで、何の用かな?」
と問い掛けた
すると、本音は
「よしよしは~初音島から来たって言ってたよね~? それって~あの初音島? 一年中桜が咲いてるって聞く?」
と首を傾げた
その問い掛けに、義之は
「ああ、その通りだよ」
と答えた
「それで~本当に、一年中咲いてるの~?」
という本音の問い掛けに、義之は携帯を取り出して
「ほい、これを見て」
とある写真を見せた
そこには、桜と雪が一緒に舞っている写真が表示されていた
「お~……何とも、幻想的だね~……」
「これで、信じてくれたかな?」
その写真を見て、本音は何やら感心した様子で頷いた
そして予鈴が鳴り、その少し後に先程の二人が戻ってきた
そして次の休み時間
「さてと……」
と義之は立ち上がり、一夏の席に向かった
「今、大丈夫かな?」
と義之が声を掛けると、一夏は
「お、おお……トイレに行きながらでいいか?」
と、首を傾げた
それを聞いた義之は
「ああ、確かにそうだな」
と同意した
IS学園は、本来は女子校に当たる
故に、IS学園で男子たる義之と一夏が使えるトイレは非常に限られていて、IS学園二階の教員用しか無いのだ
近々工事業者が入り、一部の女子トイレが男子用トイレに変更されるらしいが、それまではその教員用に行くとしかない
そして、二人は移動しながら
「えっと……確か、桜内さん……でしたよね?」
「ああ。だが、敬語は要らないよ。今は同じ一年生で、貴重な男子なんだしね。気にせず、義之とでも呼んでくれ」
一夏の言葉に、義之はそう言った
すると、一夏は頷き
「分かった。俺のことも、一夏って呼んでくれ。義之」
と言って、右手を差し出した
「よろしく、一夏」
「ああ、よろしく」
二人は握手を交わしながら、トイレに向かい済ませた
そして、次の授業が終わった後だった
「ちょっと、よろしくて?」
と、一人の少女が二人に声を掛けてきた
「なんだ?」
「何かな?」
と二人が視線を向けると、その少女は
「まあ!? 私が話し掛けたのに、その反応は一体なんですの!?」
と声をあげた
「お、おう?」
「あー……」
一夏は困惑し、義之は目の前の少女がどういう輩なのかを察した
「代表候補生たる私。セシリア・オルコットが話し掛けたのですから、それ相応の言葉で返すのが、筋ではなくて?」
「……代表候補生?」
セシリアの言葉を聞いて、一夏は首を傾げ、義之は
(あー……あのイヤリング、待機形態か)
と察した
その直後
「代表候補生って、なんだ?」
と言って、義之ですらコケかけた
そして、義之は
「いいか、一夏。代表候補生というのはな」
と解説した
代表候補生というのは、IS保有国の中でも、特に高い適性と技量を持った者の中から選ばれるエリートで、特にセシリアは専用機を与えられるトップエリートだ。と説明した
「なるほど……で、その代表候補生さんが、何の用だ?」
「……貴方、私をバカにしてますわね?」
「んにゃ、まったく?」
セシリアがジト目で睨むが、一夏は首を振った
バカにしている訳でなく、どう対処したらいいか分からないだけなのである
しかし、そんな言動がセシリアを怒らせたらしく
「このっ……!」
と一夏を睨み付けた
しかし、そのタイミングで予鈴が鳴り
「また後で来ますわ! 逃げないでくださいませ!」
と言って、離れていった
それを見送り、一夏は
「なんだったんだ?」
と首を傾げた
そんな一夏に、義之は
「まあ、ちょっと面倒くさいだけだ……ただ、一夏。もう少し、勉強な」
と指摘した
義之もISに関しては素人同然だが、ここに来る前にISに関する基礎知識はそれなりに覚えてきた
千冬から渡されたISのマニュアルを、古い電話帳と間違えて棄てた一夏とは違うのである
義之の指摘に呻き声を漏らす一夏を尻目に、義之は
(面倒事にならないといいが……)
と思ったのだが、その願いはLHRにて否定されてしまうのだった