インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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説教

一日目の授業が終わり、LHRに入った時だった

 

「ああ、そうだった……クラス代表を決めないとな」

 

と千冬が、思い出したように言った

すると、山田先生が

 

「クラス代表とは、つまりクラス委員長のことです。様々な催しの時にクラスを纏めたり、他のクラス代表と折衝する役目をするんです」

 

と説明した

それを聞いた義之は、脳裏に恋人の姿を思い出した

麻耶はまさにそのクラス委員で、昔は義之を含めた様々なクラスメイト達から委員長呼びだった

 

「自薦推薦は問わん。名前を出せ」

 

と千冬が言った

その直後

 

「私は織斑君を推薦します!」

 

「私も!」

 

と数人の女子が、一夏の名前を上げた

 

「お、俺!?」

 

まさか推薦されるとは思ってなかったらしく、一夏はすっとんきょうな声を上げた

それに続くように、別の女子が

 

「だったら、私は桜内君を推薦します!」

 

「私も推薦します!」

 

と義之の名前を言った

それを聞いた義之は

 

(やっぱりか……)

 

と内心で溜め息を吐いた

すると、一夏が

 

「あ、織斑先生! 俺は辞退を!」

 

と言った

だが千冬は、そんな一夏睨み

 

「辞退は認めん」

 

と一蹴した

そして、他に名前が挙げられないからか

 

「他に居ないのか? だったら、この二人から選ぶが……」

 

と言った

そこに

 

「納得いきませんわ!」

 

と一人の女子

セシリアが、怒声と共に立ち上がった

その目には、はっきりと怒りの感情が感じ取れる

 

「私は態々、この極東の島国に来て、サーカスをしに来た訳ではないんです! 私は、我が祖国のISたるブルー・ティアーズを完成させるために来たんです!」

 

それは、国差別に当たる発言だった

それを聞いた義之は

 

(あいつ……自分が何をしてるのか、察してるのか?)

 

と内心で、頭を抱えた

別に、セシリア一人がどうなろうと義之としてはどうでもいいことだった

しかし、セシリアがしたのは、下手したら一人では済まない事態になることだった

 

「代表候補生たる私が、クラス代表になるに相応しいはずですわ! 織斑先生! 私をクラス代表に! あの極東の男共なんかより、役に立ってみせますわ!!」

 

そう啖呵を切るセシリアだったが、千冬を含めるクラスメイト達の視線の感情には気付いていなかった

千冬は弟を侮辱された怒り

クラスメイトも、大半は日本人だ

その彼女達は、国を侮辱された怒りから、セシリアを睨んでいた

その時だった

 

「あのな……イギリスだって島国だろうが……それに、そのISを開発したのは束さん……つまり、日本人だ……その祖国をバカにしてるんだ……覚悟しろよ、てめぇ……」

 

と一夏が、怒気を滲ませながら立ち上がった

その事態に、不味いと察したらしく山田先生が止めようとしたが

 

「そこまでにしろ、このバカ二人」

 

と義之が、静かに言った

 

「なっ……」

 

「よ、義之……?」

 

いきなり罵倒されたセシリアは驚き、一夏は義之の語気に驚いていた

義之はそんな二人を静かに睨み

 

「一夏、日本を侮辱されて怒るのは分かるが、冷静になれ……」

 

とまずは、一夏を諭した

そして次に、セシリアを見て

 

「そしてセシリア・オルコット……お前は、戦争を引き起こしたいのか?」

 

と言った

 

「な……戦争ですって!?」

 

「そうだ……お前、自分が代表候補生だと言うならば、その発言が外交官並に影響が出るって分からないのか? 特に日本を侮辱する発言……気づかないか? このクラスに居る生徒の過半数は、日本人だ。中には日系の人も居るし、親日本の人も居る……」

 

義之のその言葉で、セシリアは自分がかなりの人数の女子に睨まれていることに気付いた

しかし、その程度でセシリアは怯まず

 

「だからなんだと言うのですか!? 私は事実を言ったまでで……」

 

と反論しようとした

しかし

 

「つまりそれは、イギリスが日本に対して宣戦布告していると同じなんだ! 先の日本に対する侮辱的発言が、イギリスの総意だと認識されるんだぞ!? 少しは頭を使え! 仮にも代表候補生になれたんだろ! その頭は飾りか!!」

 

と義之は怒った

そこまで言うと、義之は千冬と山田先生に視線を向けて

 

「すいません、先生方。出過ぎた真似をしました」

 

と頭を下げた

すると、千冬が

 

「いや、桜内の言葉は正論だ……」

 

と言って、クラス全体を見ながら

 

「そもそも、私からしたら、貴様らは等しく産まれたばかりのひよこに過ぎない……その程度の連中が、図に乗るなよ……」

 

と言った

織斑千冬

今はIS学園で教師をしているが、その名前を知らぬ人はそう居ないだろう

IS世界大会、通称モンド・グロッソ

その第一回モンド・グロッソにて、世界最強になったのが、千冬である

その千冬からの言葉となれば、誰もが黙った

静かになったのを確認した千冬は、義之、一夏、セシリアの三人を見て

 

「さて、この三人から選出する方法だが……三人で試合をしてもらう」

 

と言った

そして、千冬は一夏と義之に

 

「織斑と桜内には、国から専用機が与えられる。織斑には、倉持から。桜内には、天枷研究所からだ」

 

と言った

それを聞いた生徒の幾人かが

 

「嘘っ!?」

 

「専用機が!?」

 

と驚いた

だが、極少数で

 

「天枷研究所って、あの天枷研究所?」

 

「ロボット研究なら、世界でも最先端の?」

 

と呟いた

その言葉に、義之は

 

(へえ……知ってる子が居るのか……認識を改めないとな)

 

と思った

そして、試合は約一週間後の金曜日に行われることになり、LHRは終了した

そして、放課後

 

「……つっー訳で、PICは以上だ。分かったか?」

 

「な、なんとか……」

 

義之は一夏に、ISに関する基礎知識を叩き込んでいた

余りにも、ISを知らなかったからだ

そこに

 

「あ、織斑君と桜内君。まだ校舎に居てくれましたか」

 

と山田先生と千冬が現れた

 

「あれ? どうしました?」

 

と義之が尋ねると、千冬が

 

「お前達に、これを渡しに来た」

 

と言って、二枚のカードキーを掲げた

それを見た一夏が首を傾げると、義之が

 

「……一週間は、自宅か近場のホテルから通うことになると聞いてましたが?」

 

と問い掛けて、即座に指を鳴らした

 

「なるほど……安全面からですか」

 

「……風見学園から連絡は受けていたが、本当に頭が切れる奴だな」

 

義之の言葉に、千冬は軽く驚いていた

そして、山田先生が

 

「今桜内君が言った通り、安全面から寮に入れろと政府から言われまして……二人には、寮に入ってもらいます」

 

と言って、二人にカードキーを手渡した

カードキーを受け取った義之は

 

「一人部屋……な、訳が無いですね」

 

と呟いた

急遽用意されたのだから、一人部屋の訳がなかった

 

「はい。桜内君は申し訳ありませんが、二年生寮になります。一年生寮で調整が出来ましたら、そちらに移ってもらいます」

 

山田先生はそう言いながら、義之にカードキーを手渡した

そのカードキーに記載されているのは、2033だった

それを確認した義之は

 

「荷物はどうしました?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、山田先生が

 

「それならば、こちらから取りに行きまして、既に搬入してあります」

 

と言った

一夏に関しては、千冬が取りに行ったようだ

それを聞いた義之は、部屋に向かったのだった

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