インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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番外 新年

「新年、明けましておめでとうごさいます」

 

「今年も、よろしくお願いします」

 

新年明けて、1日。場所は、どこか。え、ちゃんと知りたい? 敢えて言うならば、ロンドンの地下深くと言っておく。

その豪華な寮の一角を使って、新年会が行われていた。その料理を作ったのは、一夏、義之、音姫、箒、鈴音といった料理が得意なメンツだ。それを、シャルロットや由夢、ラウラが運んでいき、机に並べている。

 

「いやはや、まさかこんな所でお正月を祝うとは……」

 

「私からしたら、ロンドンの地下深くに、こんな場所があることが驚きだぞ」

 

料理を作り終わったのか、一夏と箒は手を拭きながら語っている。すると、義之が

 

「まあ、普通は予想してないし、来れないからな」

 

と同意した。そこに、音姫が

 

「ここに居る人達以外には、喋ったらダメだからね?」

 

と忠告した。

そもそも、言っても信じてもらえるか分からないだろう。ロンドンの地下深くに、広大な空間が広がっているなど。

 

「私も、ここに来るのは久しぶりですわ」

 

「あ、セシリアは知ってたんだ」

 

紅茶を飲んでいたセシリアの言葉に、料理を置いたシャルロットが反応した。

 

「ええ、私。少し前まではここの生徒でしたから」

 

「つまり、魔法使いだったのか……」

 

「だけど、本当に魔法使いか居るなんてねぇ」

 

セシリアの言葉を聞いて、箒と鈴音は今でも信じられない、といった表情を浮かべた。だが、ここに来るまでに通常の科学技術では作ることが出来ない物を幾つか見たから、信じるしかない。

 

「大きくなる貝の船に、時間帯によって、朝、昼、夕方、夜と変わる天井……それに、あの桜か」

 

「凄いよね、一年中咲く桜なんて」

 

「確か、初音島のもそうだったな」

 

枯れない桜と呼ばれる、一年中咲く桜。聞いた話では、願いを叶えるとも言われている、不思議な桜だ。

 

「それに何より……ここを守護していたあの巨体……確か、ゴーレム……だったか?」

 

「そうだよ。様々な素材と魔力で動くロボット……って言ったら、分かりやすいかな?」

 

千冬の疑問に、音姫はそう教えた。

それは、今居る建物に入る時に見た巨大な存在にあった。高さ6mに達する巨体に、大の大人三人分はあろうかという太い腕と脚。

その巨体を形成しているのが、ありふれた岩や木という素材と、幾らかの貴金属。そしてエネルギー源は、魔力のみ。

彼女達からしたら、不思議の塊としか言い様が無いだろう。

 

「わぁ~、魔法を直に見たのは初めてだよ~」

 

ゴーレムを見たのほほんさんは、終始興奮しっぱなしで、簪は

 

「あれが、魔法……お姉ちゃんは見たこと、あるんだよね?」

 

「そうねぇ。私が見たのは、桜内君の和菓子を出す魔法と朝倉さんの基礎的な魔法位ねぇ。ご先祖様の中には、重傷を治す魔法を見た方も居たみたいだけど」

 

と姉たる楯無と話していた。楯無とは違い、簪は魔法を直に見るのは初めてだったようで、分かりにくいが、興奮していた。

そこに、虚と山田先生が現れて

 

「皆さん、席に座って下さい」

 

「おせち料理が出来ましたから、食べましょう!」

 

と告げた。それに従い、集まった全員は席に座り

 

『明けましておめでとうごさいます、今年もよろしくお願いいたします!』

 

と新年の挨拶を言ってから、義之達が作ったおせち料理を食べ始めた。

 

「おぉ~、本当に美味しい~。うまうま」

 

「本音、もう少し綺麗に食べなさい」

 

「このお雑煮というのは、様々な素材の味が染みだしていて、美味しいですわね」

 

「それに、この餅というのも、中々……伸びる」

 

「ラウラ、あんまり大きく食べると、喉に詰まるから、気をつけて」

 

「義之さん、これの味付けはどうなってるんですか?」

 

「それはな」

 

一人は味に舌鼓し、また一人はその妹を注意と、様々な光景が広がる。

 

「む、酒は無しか……」

 

「織斑先生、ここは学校なんですよ?」

 

「お酒はダメだよ、ちーちゃん」

 

「まさか、束から常識を言われるとは……っ!」

 

「どういう意味!?」

 

一角では、一部大人達が会話している。

それを見ながら、さくらが

 

「さてと……お年玉の用意も出来たし……皆、今年もよろしくねー!」

 

と挨拶したのであった。

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