シャルロットが初音島に来て、数日が経過。GWも明日で終わりで、そろそろIS学園に戻らねばならない。
しかしその前に、決めなければいけないことがあった。
「それで、決められたかな?」
「……はい」
芳野家の居間には、シャルロットの他にさくら、義之、麻耶、冬也が居た。今からシャルロットは、此れからの身の振り方を話すことになっている。
「ボクは……日本に亡命します……フランスには、友達も居ないですし」
シャルロットがそう言うと、冬也とさくらは頷き
「わかった。こちらも、その線で動きます」
「お願いね、冬也くん……さて、保護責任者は……ボクでいい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「住居は、自分の所にしましょう。芳野家は、既に手狭です」
シャルロットの決定から、トントン拍子に話が進んでいく。その光景を見ながら、シャルロットは気づいた。
「あの……アイシアさんは?」
今この場に、アイシアの姿が無いのだ。
「ん? アイシアなら、今はちょっとお仕事でイギリスに行ってるの。少し、手こずってたみたいだけど、近い内に帰ってくるから。大丈夫だよ」
「イギリス……?」
どうやらアイシアは、イギリスに行っているらしい。一体何をしているのかは、シャルロットにはわからないが、大事な要件なんだろう。
「では、この書類にサインを」
「はい、わかりました」
冬也が差し出した書類を受け取ったシャルロットは、その書類にサインしていく。
すると、冬也が
「そういえば、彼女は専用機持ちでしたね」
とさくらに視線を向けた。
「あ、そうだね。シャルロットちゃん、専用機の待機形態を机の上に置いてくれるかな?」
「はい」
さくらに促されるままに、シャルロットは専用機。ラファールリヴァイヴ・カスタム2を机の上に置いた。
「流石に、専用機はフランス政府に返却することになる。各国の所有出来るISの数は、アラスカ条約で決められているからね」
冬也はそう言いながら、ラファールリヴァイヴ・カスタム2を掴んで、懐から出した端末と繋いだ。
「あの、なにを……」
「この機体から、君のデータを吸い出している。恐らくだが、君は企業所属の専用機持ちになるだろう。その時、データの有無は機体の開発やファーストシフトに役立つ……よし、終わった」
シャルロットの問い掛けに、冬也は答えながら端末を操作。終えると、その待機形態を横に置いてあった小さなケースに仕舞ったが
「ああ、そういえば……確か、IS学園で専用機によるタッグ戦があるんだったか」
と呟いて、取り出した。
「タッグ戦?」
「ああ……少し前に、IS学園に所属不明のISが侵入。攻撃してきただろ? それを警戒して、連繋の特訓も兼ねてタッグ戦をやるんだそうだ」
義之が首を傾げると、冬也はそう説明した。
「ああ、あの無人機か……そういえば、さくらさん。束さんは関わって?」
「ないよ。まあ、
義之の問い掛けに、さくらはそう告げた。その答えを聞いて、シャルロットは少し困惑した。その言い方ではまるで、稀代の天災科学者の篠ノ之束博士が、二人居るようだと思った。
「それに関しましては、こちらも全力で調査中です……では、こちらは一度君に渡しておく。後日、俺がIS学園に赴いて、回収しよう」
「わかりました」
「そんじゃあ、シャルロットちゃんとは俺が組むことにするか……下手したら、シャルロットちゃんが女の子だってバレて大問題だ」
「それに関しては、仕方ないわね……義之、近い内に私も行くからね」
「……マジかよ」
麻耶の言葉に、義之は思わず頭を抱えた。
「当たり前でしょ? 今、天枷さんの内部を熟知してるのは私よ?」
「……確かに」
麻耶のその言葉に、義之は同意した。義之も知っているが、それはISの機能が追加される前のことだ。ISの機能が追加された今の内部機構は、把握しきれていない。
「それじゃあ、義之君。シャルロットちゃんをよろしくね? 一応、義理だけど妹になるんだから」
「ああ、確かに……よろしくな」
「あ、はい……えっと、義兄さん」
シャルロットがそう呼ぶと、義之はシャルロットの頭を撫でた。そして翌日の早朝に、義之とシャルロットは初音島を発って、IS学園へと戻った。