「はあ!? 鈴音とセシリアが重傷!?」
「ああ……」
一夏からの話を聞いて、義之は驚愕の声を挙げた。事が起きたのは、義之とシャルロットの二人が初音島に向かった翌日のことだった。セシリアと鈴の二人は、第三アリーナで模擬戦を繰り返していたらしい。それはやはり、タッグ戦を意識してのことだった。
そして何回目か分からないが、二人がエネルギー補給して模擬戦をしようと出た時、ラウラが不意打ちで二人に攻撃。その不意打ちは回避したが、二人はそれに怒ったらしくラウラと戦闘開始した。
したのだが、圧倒的力量差があった。なにせ、ラウラはドイツの現役軍人。しかも、ドイツでは精鋭と名高き黒兎隊の隊長の少佐。それに対してセシリアと鈴は、確かに代表候補生だが軍人ではない。
結果、二人のISは損傷レベルCに到達。修理に約二週間掛かるとされ、タッグ戦の参加は不可能となり、二人は今も入院中らしい。
そしてその場に、途中から一夏も遭遇。ラウラと交戦を始めたが、すぐに千冬が介入し止めた。実は一夏は、最初は観戦席に居たが、ISを展開し零落白夜でアリーナのシールドを切り裂いて突入していたのだ。
それを重く見た千冬が止めて、タッグ戦まで二人の戦闘を禁止したということだった。
「なるほどな……」
「だからさ、義之……タッグ戦なんだが、俺と」
「悪い……タッグ戦は、シャルルと組むことにしてるんだ」
一夏の意図に気付いた義之は、片手で一夏を制してからそう告げた。すると、一夏は
「どうすっかな……簪はまだ機体が出来てないみたいだし……」
と頭を掻き始めた。そこに
「良ければ、私がパートナーになりましょうか?」
と新たな声が聞こえてきた。二人が見た先には、褐色の肌に見事なプロポーションの少女が居た。
「えっと……君は……」
「私の名前は、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーと申します。今日付けで5組に編入してきました」
一夏が問い掛けると、その少女。ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーは名乗りながら右手を差し出してきた。どうやら、握手を求めてきているらしい。
そう気付いた一夏は、握手に応じながら
「俺は、織斑一夏……けど、いいのか? 初対面の俺とで」
と問い掛けた。すると、ヴィシュヌは
「はい。私も編入してきたばかりで、組んでくれる方が居ないんです。それに、一般の方と組むよりかは、専用機持ちと組んだほうが動きやすい筈ですから」
と答えた。確かに、理に叶っている。
この時、義之の頭の中に
『貴方のことは、朝倉音姫先輩から伺ってます。彼の護衛は、私に任せてください』
とヴィシュヌから、念話が聞こえてきた。念話というのは、一部の魔法使いが使用する秘匿性の高い通信魔法で、高位となれば習得は必須項目らしい。実は義之は、初音島に居る間にさくらと音姫から念話に関するやり方を習っており、自由自在とまではいかないが、なんとか習得していた。
『えっと……これで大丈夫なはず……それじゃあ、一夏のことは頼んだぞ』
『承りました……そちらも、お気をつけください……最新の情報では、亡国機業のスパイが入り込んでるようですので……』
『わかった』
念話の傍ら、義之もヴィシュヌに一応自己紹介し、一夏はヴィシュヌと組むことに決まった。タッグ戦に向けて、特訓をすることにした。