「神代さん……どこに……!」
白百合を発進させたシャルロットは、ISの生体反応探知機能を使って冬也を探していた。途中で見つけた敵を、無力化しながら。
その時
「追い詰めたぞ!」
「この薄汚い男風情が!!」
「よくも、我等の仲間を!!」
と女達の怒声を、白百合が拾った。
「あっちか!?」
シャルロットは声が聞こえた方向に、白百合を進ませた。その時冬也はと言うと、非常階段の入り口付近に居たのだが、その背後にはそれぞれ子供を抱えた夫婦が居た。その夫婦はどうやら子供の服を買いに来ていたようで、剣の女神の構成員二名に銃口を向けられていた。
冬也は助けるために、咄嗟に発砲。構成員二名を無力化。
家族を庇いながら、今居る場所まで逃げてきた。しかし途中で、右脇腹と左肩に一発ずつ受けていた。
(せめて、この家族だけでも逃がしてやりたいが……)
冬也はそう考えるが、家族は最早涙を流しながら震えているだけ。むしろ、ここまで逃げられただけマシなのかもしれない。
そして冬也は、右足と左腕は真っ赤に染まり、呼吸も荒くなっていた。
(いかん……思考が……定まらない……)
冬也は出血からクラクラとしてきた頭を振り、拳銃の残弾を確認。
(残弾、3……出来て、彼処に居る三人までか……しかし、今の状態で当てられるかどうか……)
冬也がそう考えていた時、ある音が聞こえ始めて
「退けええぇぇぇ!!」
「なっ!?」
「バカな、ISだと!?」
「ガッ!?」
シャルロットの怒鳴り声が聞こえたかと思えば、激しい激突音がした。それを聞いた冬也は、警戒しながら顔を出した。すると、シャルロットが件の女達を壁や床に叩き付けて無力化していた。
(予想より、早かったな……やはり、あの二人は優秀だったか……)
「神代さん、居ますか!?」
「ここに居る……」
シャルロットの呼び掛けに、冬也はゆっくりと出た。その直後、シャルロットは驚いた表情で
「神代さん! 血が!?」
「まだ大丈夫だ……それより、あそこに居る家族を……」
シャルロットは冬也に近づくと、一度白百合を解除。傷口を確認しようとしたが、冬也はそれを遮り、視線を家族の方に向けた。
冬也の視線を追ったシャルロットは、震えている家族に気付くと
「もう安全です! 着いてきてください!」
と声を掛けた。それを聞いた家族は、ゆっくりと壁の陰から出てきた。そして、ゆっくりとだが近づいてきた。冬也とシャルロットは、家族の無事を確認しつつ、移動を開始した。途中で義之達と合流すると、更にラウラ達と合流したのだが、なんとラウラ。一人で剣の女神の構成員の過半数を無力化し、拘束していた。
流石は、現役軍人。ただし、水着姿だったと記載しておく。
恐らく相手は、まさか水着姿の小柄な少女が飛び掛かってくるとは予想していなかっただろう。ラウラはその隙を突いて、悉くを無力化したのであった。
その後ラウラは
『ふむ、動きやすいな。水着は……今度、この見た目の防弾スーツを作るか』
と言い、それを聞いたシャルロットは何としても阻止しようと心に決めた。
その後、やってきた警察の特殊部隊により、残っていた剣の女神達も捕縛された。
そして冬也は、呼ばれていた救急車で近くの病院に搬送され、無事に手術を終えた。
そうして、二日後。放課後にシャルロットは、その病院に向かった。
「失礼します」
『入れ』
冬也は個室に入院していて、ベッドで上半身を起こしてパソコンを弄っていた。
「怪我してるのに……」
「自衛隊と政治家としての仕事があるからな……よし」
最後にタンッとキーボードを叩くと、冬也は掛けていた眼鏡を外した。
「さて、見舞い感謝する」
「いえ……冬也さんこそ……白百合、ありがとうございました」
シャルロットは胸元から、白百合の待機形態を出した。既に、事件の翌日の朝方にIS学園には白百合を専用機として申請し、受理されている。
「白百合、凄い良い機体です……動かし易いですし、ボクの思い通りに動かせる……」
「ああ……イメージインターフェースに、新しい技術……此処だけの話だが、精神魔法が使われているからな……さくらさんから聞いた話では、通常技術の三倍以上でシンクロするそうだ」
「これに、魔法が……」
冬也の話を聞いたシャルロットは、白百合に視線を落とした。その時、不意に光ったようにシャルロットには見えた。その後シャルロットは、面会時間ギリギリまて会話してから、IS学園に戻った。
そうして、臨海学校が始まる。