インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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海へ

IS学園の一年生達をクラス毎に乗せたバス数台が、長いトンネルを越えると、その先に見えたのは

 

「海だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「いやっほーーーい!!」

 

白い砂浜と広大な青い海だった。詳細な場所は記さないが、今向かっている先はIS学園が毎年臨海学校に使っている大きな旅館だ。

到着後、クラス毎に並び、全員居ることの確認が終わると

 

「お前達! ここが、これから三日間御世話になる旅館の花月荘だ! 失礼のないようにしろよ!!」

 

『よろしくお願いしまーす!』

 

千冬の言葉に、女子達は一糸乱れぬ統率で挨拶した。すると、千冬の隣に立っていた花月荘の女将が上品な笑みを浮かべ

 

「これはこれは、お元気で……私が、当旅館。花月荘の女将の清州景子と言います。これから三日間、分からないことや聞きたいことがあれば、遠慮なく中居や私にお聞きくださいな」

 

『はーい!』

 

女将の言葉に、女子達は元気よく返答した。それを確認した千冬は、しおりを掲げて

 

「部屋割りは、しおりの通りにするように! 以上、解散! 自由時間だからと言って、ハメを外し過ぎるなよ!」

 

千冬のその言葉を合図に、女子達は三々五々と散っていく。その中で、義之、麻耶、美夏、一夏は動かないでいた。そこに

 

「ねえねえ、みんな~。皆の部屋は何処~?」

 

と本音が、しおりをヒラヒラさせながら聞いてきた。実は先に挙げた四人は、部屋割りに名前が載っていなかったのだ。

 

「さあ? 俺達も知らないんだ」

 

「多分、これから教えられるんだと思うけど……」

 

と一夏と義之が言った時、千冬が歩み寄り

 

「お前達、こっちだ」

 

と声を掛けてきた。そこで四人は本音と一旦別れて、千冬の後を追った。その先に居たのは、先ほど挨拶していた女将だった。

 

「この二人が、例の二人です」

 

「ああ、彼等がISに適性したという……」

 

「初めまして、桜内義之です」

 

「織斑一夏です」

 

「今年は手間を与えてしまい、申し訳ありません」

 

「いえいえ。それに、礼儀正しいではありませんか」

 

女将が褒めると、千冬は一夏の頭に手を乗せて

 

「桜内は大丈夫でしょうが、こいつが色々と心配でして」

 

と言った。すると女将が

 

「桜内義之……不躾で申し訳ありませんが、もしやかの芳野さくら博士の御養子の方で?」

 

と義之を見た。

 

「あ、はい。そうですが……」

 

「ああ、やはりそうですか……いえ、実は以前にお客様が幼い時に一度いらしておりまして」

 

「そうでしたか……すいません、覚えてなくて」

 

「いえいえ、何分お小さい時でしたから」

 

義之が小さい時、実は何度かさくらと一緒に旅行をしていたのだ。どうやら、この花月荘はその一ヶ所らしい。

 

「では、ごゆるりとお過ごしください」

 

女将とはそこで別れ、四人は千冬の後に続いた。

 

「お前達の部屋割りをしおりに書かなかったのはな、消灯時間を過ぎても部屋に行くバカが出ると予想したからだ」

 

「ああ、なるほど……」

 

千冬の説明に、麻耶は思わず納得した。それに、一部の生徒達には、恐らくだが貴重な男性操縦者と懇意になれ、という指示が与えられていてもおかしくない。それらを考えると、確かに書かなかったのは正しいだろう。

そして一行は、千冬の案内で花月荘の奥の方の部屋に案内された。そこの部屋のドアにはそれぞれ、《桜内義之、沢井麻耶、天枷美夏》と《第一教員部屋》、《第二教員部屋》という札があった。

 

「なるほど……最適な部屋割りだ」

 

「つまり、俺は教員部屋ってことか」

 

まさか、教員部屋のある区画に、敢えて近づこうという勇者は居ないだろう。しかも、千冬が居る場所に。

 

「わあっ!? って、そうでした……織斑君達は、ここでしたね……」

 

そこに、私物を持った山田先生が現れ、驚いていた。そんな山田先生の反応に、千冬は呆れた表情で

 

「山田くん……部屋割りを考えたのは、山田くんだろう……」

 

「あ、あははは……すいません、忘れてました」

 

「しっかりしてください、山田先生……」

 

千冬の指摘に山田先生が頭を掻いていると、少し呆れた表情の音姫が現れた。

 

「あ、音姉」

 

「朝倉先生だよ、桜内くん?」

 

「失礼しました」

 

「お前達、荷物を置いたら水着を持って別館の更衣室で着替えてから海に行ってこい。私達は、先生同士の会議をやってから海に向かう」

 

千冬の言葉に従い、四人は荷物を置いてから別館の更衣室に向かった。そして、着替えていると

 

『うわっ、ティナの水着エグッ!?』

 

『え、アメリカじゃあ普通なんだけど……』

 

『ぬぐぐ……遺伝子か!? 遺伝子が違うのか!?』

 

『あれ、天枷さんってロボットだよね? 海って平気なの?』

 

『うむ。問題ないぞ』

 

という華やかな会話が、壁越しに聞こえてくる。

 

「……義之、結構体鍛えてるよな」

 

「ん? そうか? 特にスポーツとかしてないが? むしろ俺は、研究員だぞ?」

 

義之はそう言うが、腹筋はバッチリ割れている。

そうこうしている間に、水着に着替えて外に出ると

 

「うわっ!? 桜内くん、意外に筋肉凄っ!?」

 

「ねえねえ、私の水着大丈夫だよねっ!?」

 

「あ、妄想が捗ってきたー!!」

 

「おーい、誰かこの子海に放り込んできてー」

 

「あいよー」

 

「うばー!?」

 

一部の逞しい女子達により、一人の女子が宙を舞ってから海に落ちた。

 

「義之、お待たせ」

 

「おお、中々に綺麗な海だな!」

 

そこに、麻耶と美夏が合流した。美夏のはワンピースタイプで、牛柄が特徴的だ。そして麻耶は、蒼と碧が入り交じったビキニに腰にパレオを巻いていた。

 

「そんじゃま、短い自由時間といきますか」

 

臨海学校一日目は自由時間となっていて、二日目からISに関する訓練等になっている。

こうして、波乱の臨海学校が始まった。

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