出撃した四人は、広域マップに表示されてる場所に向かい、全速で飛んでいた。
銀の福音は亜音速で飛行しており、幾ら四人のISが高い機動性を有してるとはいえ、接敵するには多少の時間が掛かる。
四人はなんとか最短ルートで接敵するように機動し、銀の福音を捕捉した。
「対象福音を視認……俺とシャルロットの二人で先制攻撃する。以後は、
『了解!』
義之の指示に、三人は斉唱で答えた。
そして、一気呵成に攻撃を仕掛けた。先に攻撃を開始したのは、義之とシャルロットだった。
義之は無反動砲、シャルロットはミサイルランチャーを展開し、一斉に撃った。
十数発にも及ぶ砲弾が、福音に迫る。
しかし福音は、その機動性を活かして、全て回避。一瞬にして反転すると、特殊兵装の
第三世代兵装、銀の鐘。
福音に搭載された第三世代兵装で、世界初のビーム兵器である。その出力は、セシリアのブルーティアーズのライフルの比ではなく、第一世代のISでは一撃で大破寸前。第二世代でも、一撃でSEが大幅に削られる威力を有しており、更には爆発する特性を有しているために、追撃も可能となっている。
しかも銀の鐘は、非常に厄介な兵装で、単発だけでなく連射、拡散、収束と複数の機能を有した兵装だった。
初撃は散開して回避した四人だったが、その濃密な弾幕に迂闊に攻撃が出来なかった。
『分かってはいたが、この弾幕はキッツイな!!』
『
『クソッ! 近付けない!?』
『こうなったら、強引にでも!!』
『バカ、止せ!!』
義之が制止するが、箒は聞かずに強引に接近を図った。その甲斐あってか、箒は上手く懐に入り込み、二刀流による連続攻撃を開始した。
それを福音は、機動を活かして回避。または、クローで防いでいく。だが義之は、それに違和感を覚えて、ハイパーセンサーのある機能を展開した。そして、気付いた。
『箒、攻撃中止! 全員、ハイパーセンサーの生体センサーを起動させろ!』
『何故だ!?』
『そいつは、無人機じゃない!
義之の言葉に、他の三人も驚きながらも生体センサーを起動させ、把握した。確かに、銀の福音は有人機だった。
『バカな!? 事前の情報では、無人機だった筈だ!?』
箒は動揺した様子で、そう言った。確かに、出撃前に確認した情報では、銀の福音は無人機となっていた。しかし実際には、銀の福音は有人機だ。
『考えられるのは、意図的な情報の秘匿か、何者かによる情報の書き換えが起きた位だが……どちらにしろ、これは不味いぞ……今オープンチャンネルで呼び掛けたが、返答は無し。つまり、パイロットの意識は無い……このままじゃ、最悪、福音のパイロットは死ぬぞ!』
人間、どんなに鍛えても限界というのはある。福音のパイロットも選りすぐりなのだろうが、意識が無い状況では、高い技術も活かせず、しかも、時間を考えると体調面も不安がある。
『こうなったら、福音を一撃で機能停止させるしか……!』
『不味い!!』
その言葉の直後、一夏がいきなり降下し、福音の攻撃を弾いた。
『一夏! お前は何を!?』
『下! 漁船だ!』
箒が怒鳴ると、一夏がデータリンクでその漁船を表示させた。照合すると、民間の漁船だと分かった。
『なんで漁船が!? 今この海域は、封鎖されてる筈なのに!?』
『今、オープンチャンネルで聞いた! どうやらその前から来ていて、今戻っていた途中だったらしい!』
シャルロットが牽制射撃をして福音を引き離そうとしている間に、義之がその漁船に通信を繋ぎ、詳細を聞いた。その漁船は、今朝早くから今の海域で漁をしていたらしく、今帰港している途中だったらしい。事前に教師部隊から退避勧告された筈だが、聞いてないとのこと。
『クソッ! 手抜きでもしやがったか!?』
義之は、今回着いてきた教師の中には、自分や一夏の存在を良く思ってない人員が居ることを知っている。信じたくはないが、もしかしたらその教師陣が、わざと知らせなかったという可能性すらあった。
『とりあえず、あの漁船をどうにかしないと……!』
『放っておけ! 今こうなっているのは、彼等の自業自得だ! 今は、あの福音をどうにかするのが先決だ!』
『だからって、民間人の犠牲を許容しろってのか!? それじゃあ、過激派の連中と一緒だ! 箒は、あの連中と同じになりたいのか!?』
『い、いや……私は……』
箒の言葉に、一夏が半ば感情的になりながらも、そう言って箒は動揺した。その直後、福音が拡散式の銀の鐘を発射した。その内の数発が、漁船に向かう。
『しまった!?』
『間に合え!!』
それを見た一夏と義之は、急いで漁船の防御に回った。二人の奮闘もあり、漁船は何とか守れた。だがその直後、二人の前に福音が現れて、一夏には至近距離で銀の鐘の収束を発射。そして義之には、
『ガッ!?』
『ガアァァァァァっ!?』
それまで漁船を守るために無理をしていた二人のISは、直撃を受けて大破。墜落した。
『一夏ぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『義兄さん!?』
箒とシャルロットは、離脱していく福音に気付かず、一夏と義之を回収し、撤退するしかなかった。