インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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楯無

「という訳で、しばらく同室になる桜内義之だ」

 

「私は、IS学園生徒会会長の更識楯無よ。よろしく」

 

と軽く自己紹介した二人だったが、義之はベッドに腰掛けている楯無の足がプルプルと震えていることに気づいていた

そして、先ほどの虚とのやり取りで、何となくだが上下関係を把握した

その時、楯無の携帯が震えた

楯無が視線を義之に向けると、義之は手で促した

すると楯無は

 

「あら、一年生寮でドアが壊された……やったのは、篠ノ之箒……」

 

と呟いた

それを聞いた義之は

 

(篠ノ之箒って、確か……あの時の長い黒髪が特徴の……)

 

と思い出した

一夏に話し掛けていた少女を

そして義之は、少し考えて

 

「……一夏が、なにかバカしたか?」

 

と呟いた

すると、楯無が

 

「へぇ、わかっちゃう?」

 

と驚いていた

 

「あいつは、少し抜けてる所があるからな……大方、シャワーを浴びて出てきた篠ノ之とかち合って、篠ノ之が暴れたんだろ……あの姿勢の良さは、何らかの武道をやっている奴だ」

 

義之の推察は、大当たりだった

箒と同室になった一夏だが、女子と同室になっているということが頭からすっぽりと抜けてしまい、ノックもせずに入室

部屋を見ていたら、シャワーを浴びていた箒が出てきて、バッタリ遭遇

一夏は姉で裸には慣れていたが、箒は年頃

それも、一夏(鈍感バカ)を意識する少女だ

恥ずかしさと狼狽しない一夏に怒りを覚え、壁に立て掛けていた木刀を掴み、鋭く踏み込み、振り下ろした

一夏はなんとか回避し、咄嗟に廊下に出た

その直後、箒が木刀でドアを貫通させる突きを放った

それが、ドア破壊の真相だ

 

「明日、あの二人を説教だな」

 

セシリアの一件以来、実はクラスでお兄さん的立ち位置になっている義之

問題行動を起こした二人を、翌日説教することにした

すると、楯無が

 

「流石、日本が誇る天才科学者。芳野さくら博士の養子。頭の回転が早いわね……ね、日本の数少ない(・・・・・・・)魔法使いの一人さん(・・・・・・・・・)?」

 

と言った

その直後、義之は鋭い視線を向けて

 

「……なぜ、知っている?」

 

と問い掛けた

すると、楯無はクスクスと笑い

 

「更識家は昔、芳野家と朝倉家に助けられたことがあるのよ」

 

と言って、懐から一通の封筒を取り出して、義之に差し出した

表面には、見覚えのある筆跡で《義之君へ》と書かれてある

それを受け取り、義之は

 

「……対暗部用暗部……」

 

と呟きながら、楯無を見た

 

「更識家現当主、17代更識楯無よ」

 

対暗部用暗部

つまり、公儀隠密の一族

それが、更識家であり、楯無というのは代々当主が継ぐ名前だ

 

「今から、約100年前になるかしら? 当時、日本国内に危険な魔法使いが入国。そいつによって、更識家の戦力は大きく減衰し、当時の当主も呪いを受けた……それを助けてくれたのが、偶々国内を回っていた当時の芳野家当主と朝倉家の当主代行だった……」

 

「なるほど……呪いを解いてもらい、更にはその魔法使いの捕縛を手伝ってもらった……ってことか」

 

義之の言葉に、楯無は頷いた

対暗部用暗部

裏に対するカウンターの役割を担う更識家だが、所謂異能に対抗する手立てを持っていなかった

そして、その魔法使いとの交戦により、魔法や魔術という異能を知り、それら異能から日本を守る家柄を知った

その内のふたつが、芳野家と朝倉家だ

 

「と言っても、俺が意識的に使える魔法は……これだけだ」

 

義之はそう言って、右手を開いた

すると、先ほどまで素手だった右手の中に、桜餅が有った

 

「和菓子を創る魔法……それと無意識なのが、他人の夢を見る魔法だ」

 

「なるほど……」

 

義之の説明を聞きながら、楯無は受け取った桜餅を食べた

そして、義之も気づいてない魔法があった

それは、身体能力の向上

と言っても、常に使っている訳ではない

幾つか条件があり、それにより出力が上下する

すると、楯無が

 

「さて、夕食だけど……食堂で食べる?」

 

と義之に問い掛けた

すると、義之は

 

「余計なお金は、使いたくないし……作るか」

 

と言った

すると、楯無が

 

「あら、食材は?」

 

「敷地内にコンビニとは、便利だよな」

 

楯無の問い掛けに、義之は廊下に置いてあった袋を掲げた

二人分

 

「じゃあ、お姉さんはお手並み拝見といこうかしら?」

 

「……俺の方が、年上なんだがな……」

 

義之はそう呟きながら、キッチンに向かった

そして十数分後、義之が作った料理に楯無は絶句した

なお、手紙には

 

『何か困ったことがあったら、楯無ちゃんを頼ってね』

 

と書いてあった

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