インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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参戦

主戦域から、東に約10km。

その空域に、主戦域に向かう一団が居た。陸上自衛隊は特別技術研究廠に所属する精鋭部隊。第一IS中隊だ。

その技量は、自衛隊IS部隊の中でも随一であり、世界でも有数の実力者達だ。

 

『ケストレル1よりケストレル中隊各員へ……レーダーが学生と対象福音を捉えた』

 

『こちら02、データリンクで確認しました……学生達、善戦してますね』

 

『確かに……卒業したら、うちに欲しい位だ』

 

今から戦うというのに、隊員達の雰囲気は何処か気楽さすら感じる。まるで、行きつけの喫茶店に行こうか。という感じだ。

 

『簡単に言うがな、IS学園に居るのは国家代表候補ばかりだ……先は決まっている』

 

『勿体ない……国家代表なんて、ほとんどがプロパガンダじゃないですか』

 

『確かに……それだったら、うちで新技術の開発とかに活かしてほしいな』

 

雑談しながらも、隊員達は状況の把握に努めた。専用機持ち達の動き、福音の性能の把握。

 

『本当に、あんな機体の撃破を学生に任せるなんて……』

 

『そんな命令を出したバカを、殴ってやりたい』

 

『そのバカ共ならば、神代議員と五条院大臣に殴られたようだ』

 

『旦那と姉さんにですか!』

 

『そいつらのおかげで、反IS派が勢い付きますね』

 

『貴様ら、少し飛ばすぞ。主戦域で、高エネルギー反応だ! 類似パターンは……セカンドシフトだ!』

 

『了解!!』

 

隊長の指示に従い、中隊は速度を上げた。その時

 

『隊長、4時の方向から新たにISが接近中!』

 

『なに!?』

 

中隊の後方から、主戦域に真っ直ぐ向かうISの反応を見つけた。

 

『数は……二機か……だが、このIFFは!?』

 

隊長が見たIFFは、IS学園専用機持ちの二人。桜内義之と織斑一夏だった。

 

『バカな!? 重傷だった筈だぞ!?』

 

困惑する隊長と隊員達の横を、二機が高速で飛び過ぎた。その姿は、事前に見せられた姿と変わっていた。

 

『まさか……セカンドシフトしたのか!?』

 

『だが、学生だけに任せる訳にはいかん! 飛ばすぞ!!』

 

そして、対福音の戦闘は最終局面に向かう。

主戦域では、福音単機に専用機持ち達が全員撃墜され、福音はとどめを刺そうとしているのか、収束砲の準備をしていた。

専用機持ち達は動こうとしているが、エネルギーは既に危険域で回避すら儘ならない。

 

「くっあ……」

 

「このままじゃ……」

 

「最後まで、諦める訳には……!」

 

何とか動こうとする専用機持ち達。しかし無情にも、収束砲が発射されそうになった。そこに

 

『させるかぁぁぁぁぁぁ!!』

 

気合い一閃、収束砲に斬撃が叩き込まれ、収束砲が掻き消された。

 

「今の声は……!?」

 

「まさか……!?」

 

その声を聞いて、鈴と箒は驚きで目を見開いた。何故ならば、その声の主はまだ動けない筈なのだ。だが、見えたその姿は間違いようがない。

 

「一夏!?」

 

「な、なぜ……!?」

 

専用機持ち達が驚く間にも、状況は推移していく。斬撃の余波で一度はバランスを崩した福音だったが、態勢を立て直して一夏を狙って砲撃しようとした。しかし

 

『俺が居るんだよなあ!』

 

次に現れた義之が、一気に高高度から福音にパイルバンカーを叩き込んだ。どうやら叩き込む位置は考えていたのか、福音は再度バランスを失ったが、即座に態勢を回復させると、拡散砲を撃った。その内の何発かは、動けない専用機持ち達に降り注ぐ。しかし

 

『間に合ったぁ!』

 

『させるか!』

 

その専用機持ち達の前に、迷彩柄に塗装されたIS。

試作第三世代IS、飛燕が布陣し、専用機持ち達を守った。

 

「試作第三世代の飛燕!? まさか……自衛隊!?」

 

「初めましてになるかな? 更識家のご令嬢。私は陸上自衛隊、特別技術研究廠第一IS中隊隊長、駒木綾一尉です。神代議員と五条院大臣の命令により、アレの撃破に来ました」

 

簪が驚いていると、隊長は名乗ってから目的を告げながら敬礼した。極一部だが、更識家のことを知っている自衛官も居るのだ。

 

「遅きに失したかもしれませんが、アレの撃破に来ました。今より、作戦を開始します」

 

隊長たる綾がそう言った直後、部隊の動きが一気に変わった。それまで専用機持ち達の援護に重視していた動きを、福音に対する攻撃重視に変わった。

 

「各員、逃がすなよ? 逃がしたら、今日の晩飯から一品減らすからな」

 

『おっと、それは勘弁願いたい』

 

『こんな仕事してますと、日々の娯楽は飯か読書、音楽位しかありませんからね』

 

綾の言葉に、隊員達は危機感を覚えたらしく、隊員達は更に動きを激しくして福音を追い掛けていく。

試製第三世代IS、飛燕。

日本が開発し、今現在簪が運用する打鉄弐式と制式採用を争っているのが、飛燕である。

コンセプトとしては、高機動重視。特別兵装は、ナノマシンを使った光の操作。

最初は拙い光でも、幾度も乱反射させ、一つに纏めればそれは極大の光線と化す。

 

『中隊戦術……サテライト・レイ!!』

 

幾ら福音が高機動型だろうが、天から降り注ぐ極太の閃光は避けきれなかった。光線に焼かれ、幾らかの損傷を負った福音は、ナノマシンによる修復をするためか、逃げようとした。

しかし

 

『逃がすかぁ!!』

 

そこに、義之が高機動誘導ミサイルを発射。

損傷で機動力が落ちていた福音は、回避しきることが出来ずに直撃を受けて墜落。

そして

 

『これで、終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

一夏が、気合いの声を挙げながら雪片弐型・改を付き出した。最初はクローで受け止めた福音だったが、力負けして胸部に雪片弐型・改の光刃が突き立った。

その直後、福音は機能を停止させた。

それを確認した一夏が光刃を引くと、砂浜には長い金髪の女性が横たわっていた。

その女性を見た綾が

 

「間違いない……彼女は、アメリカの代表の一人……ナターシャ・ファイルスだ」

 

とその女性の名前を告げた。自衛官たる綾は、何度かアメリカ軍との合同演習に参加した経験があり、その中でナターシャ・ファイルスに会ったことがあるのだ。

綾は、気絶しているナターシャを抱き上げて

 

「さて、あの旅館に戻りましょう。特に貴女方は、独断行動を犯してます。実は、織斑教諭から貴女方の捕縛も頼まれてましてね」

 

と笑顔で、残酷な事を告げた。

しかし、戻らないという選択肢は取れないのも事実なので、戻るしかない。

こうして、福音撃破作戦は幕を下ろした。

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