インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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帰路

夜、食堂。その一角で、数人の女子がシャルロットに何やら質問していた。内容としては、あの室内待機の時に何が起きていたのか、という質問だ。

しかし、聞いた相手が悪かった。シャルロットは確かにコミュニケーション能力が高く、人付き合いもいい。

しかし、かなり口は固い方であり、約束等は話さないほうだ。そういった面で心配なのは、箒と鈴の二人である。

二人は挑発に弱いので、うっかり口にしてしまう可能性がある。そして質問してきていた女子達を上手くあしらったシャルロットは、少し前まで居た義之と麻耶、美夏の三人が居なくなっていることに気づいた。

 

(あれ……義兄さん達が居ない……?)

 

最初はそれが気になったシャルロットだったが、少し考えて

 

(もしかして、何か話してるのかな?)

 

義之が撃墜された後、麻耶はずっと心配していた。美夏は予備の部品を多数持ってきていて、それで修復していた。その甲斐があり、美夏は約2時間程で修復完了。美夏も、麻耶と一緒に義之の看病をしていた。

その義之が、自分がちょっと離れてる隙に美夏と一緒に居なくなり、気付けば戦場に居たのだから、積もる話もあるだろう。

そう考えたシャルロットだったが、ふと気付けば一夏、箒、鈴、ラウラも居ない。

 

(……なんか、嫌な予感が)

 

そう思いながら、水を飲んだ。その直後、何処からか爆発音が聞こえてきた。周りの女子達は色めきだち、何が起きたのか見に行こうとして、千冬は頭が痛そうに額に手を当てている。

そしてシャルロットは、少し間を置いてから

 

(ボクは巻き込まれないように、静観しようっと……)

 

とスルーすることを決めた。

場所は変わって、家族用露天風呂。そこで義之は、麻耶と美夏の二人と一緒に入浴していた。

 

「なぁんか、爆発音が……」

 

「どうやら、織斑を何時ものメンバーが追い掛けているようだな」

 

義之の呟きを聞いて、美夏がそんなことを教えた。恐らく、IS機能の位置把握機能で調べたのだろう。

さて、何故この三人は家族用の露天風呂に入っているのか。義之は手早く料理を食べ終わると、心配させたことを謝るために麻耶を呼び出し、人気の無い場所に行こうとした。その道中で女将さんに出会い、義之は花月荘に家族用露天風呂があることを思い出して、女将さんに頼んで貸してもらったのだ。

そして何とか謝罪し終わると、麻耶はぴったり寄り添うように義之と一緒に入浴している。美夏は少し離れた場所で、綺麗な星空を眺めている。

初音島も星空はよく見えるが、ここは更によく見える。やはり、人工の光が少ないからか。

美夏は最近、天体観測に興味があるようだ。

 

「義之……私ね……凄い心配したのよ……」

 

「おう……」

 

それまで黙っていた麻耶が、小さな声で呟き始めた。その声音は、震えている。

 

「撃墜されて、戻ってきた時……そのまま、義之が居なくなっちゃうって思って……胸が締め付けられる思いで……それを意識しないために、天枷さんの修復に集中して気を逸らして……」

 

「おう……」

 

「少し目を離したら、居なくなってて……急いで管制室に行ったら、義之が出撃してるって聞いて……!」

 

「うん、ごめんな」

 

先ほど謝罪したが、その時は麻耶は何も言わなかった。もしかしたら、何と言っていいのか分からなかったのかもしれない。

 

「お願いだから……心配させないでよ……!」

 

「ごめんな……」

 

義之は再度謝りながら、麻耶が泣き止むまで頭を撫で続けたのだった。

そして、翌日。臨海学校三日目だが、流石に最終日は殆どの女子達は疲れからか、朝から終始静かだった。

殆どがバスに乗り込むと、寝息を立て始めた。

義之と一夏も疲れからか、若干ウトウトとしていた。そんな時、千冬が入ってきて

 

「織斑、桜内、ちょっと来い」

 

と小声で二人を呼んだ。呼ばれた二人は内心で不思議そうにしながらも、バスから出た。すると、少し離れた場所に福音のパイロット。ナターシャ・ファイルスが立っていた。

 

「こいつが、お前達に言いたいことがあるそうだ」

 

千冬がそう教えると、ナターシャは一歩近寄り

 

「はじめまして、と言うにはおかしいかもしれないけれど……ナターシャ・ファイルスよ。今回は、お世話になってしまって……ありがとう、そしてごめんなさい……私のせいで、貴方達に大怪我を負わせたみたいで……」

 

と感謝と謝罪の言葉を口にした。すると、一夏は

 

「あ、えっと……俺達は、言われた任務を達成しただけで……」

 

「けれど本当は、その任務は貴方達みたいな学生ではなく、私達みたいな軍人が全うすべきこと……学生任せにしたのは、恥ずべきことよ……こんなこと言っても、信用されないかもしれないけれど」

 

「いえ、貴女は嘘は言ってないと分かります」

 

一夏の言葉を聞いて、ナターシャは持論を告げてから申し訳なさそうな顔をした。そして、義之の言葉を聞いて

 

「ありがとう」

 

と笑みを浮かべた。その後、ナターシャは空いた教員席に座って、一度IS学園に行ってから身の振り方を考えることにしたようだ。

こうして、騒乱の臨海学校は幕を下ろした。

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