インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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研究所案内1

義之と麻耶は、セシリアと簪に天枷研究所を案内していた。セシリアと簪は、研究員達の様子を見て

 

「皆さん、真剣ですが、楽しそうですわね……」

 

「今世界中で、研究分野はISに偏りがちでな……ここには、ロボット分野だけでなく、機械系なら様々な分野の研究員が在籍してる」

 

「確か……600人超えて、新しく研究所を作るのを考えてるみたいね」

 

義之の言葉を聞いて、麻耶が補足した。不当に解雇されたり、自分がしたい研究が出来ない研究員達が、最後の楽園として選んだ天枷研究所。

10年前まではロボット工学のみだったが、機械工学、電子、粒子力学分野の研究もするようになり、つい最近はIS。そして、水耕栽培の研究。更には今まではさくらしか居なかった植物学の研究員まで来ており、さくらは研究所の増設も検討中だとか。

 

「……研究者にとっては、最後の楽園……粒子力学は、私も興味ある……」

 

簪はそう言いながら、ある部屋をジッと見ていた。その部屋が粒子力学の研究員の部屋で、様々な機械が置かれてあった。

科学者気質が強い簪は、どうやら粒子力学に興味津々な様子だ。

 

「さくらさんの話だと……確か、人工島(メガフロート)計画を立案中だったかな」

 

「人工島計画!?」

 

「それって、今の素材じゃあ無理って聞いたことがあるような……」

 

義之の言葉を聞いて、セシリアと簪は驚いた。

人工島(メガフロート)計画、それは幾多の政治家や科学者が立案し、結局は一度も成立しなかった夢にして幻の計画。

人口が増え続け、繁栄し続ける人類。だが、それと反比例して問題になるのは、人が住める土地だ。

日本などが、その最たる例に挙げられるだろう。日本は細長い土地に、1億人以上が住んでおり、一部地域では人口過密地帯が問題になっている。

だが、その抜本的解決には中々至っていないのが現実で、埋め立てにも限界がある。

その解決の期待になっているのが、人工島計画だ。

しかし、簪が言ったように素材。そして資金面という難題があった。

 

「素材は確か、さくらさんが新しく作った素材が、その解決策になるって言ってたな……えっと……」

 

「セラミックカーボン合金よ」

 

「ああ、そうだった」

 

義之が思い出そうとしていると、麻耶が補助し、義之はポンっと手を打った。そして簪は、聞いたこと無い素材に興味を持った。

名前から察するに、軽量のセラミックと炭素を使った合金なのだろうが、それ以外を使っているのは確実だろう。どんな特性を持っているのか気になった簪だったが、機密面から教えられないのも分かっているので、諦めることにする。

 

「その素材が開発されたから、人工島計画に目処が立ってきて……今問題になってるのは確か、発電だったかな」

 

日本は少しずつ太陽光発電と風力発電等のクリーンエネルギーの開発をしているが、難航しているのが現状だ。太陽光発電も風力発電も、太陽と風が出ていないと発電は出来ない。地熱発電は、極一部でしか出来ず、クリーンエネルギー関連は中々上手く出来ていない。

 

「あ、それは確か、波浪発電が活用出来るって言ってたわよ?」

 

「あ、それになったのか」

 

波浪発電というのは、理論出来ずには水力発電と同じである。違うのは、水力発電は水が落下する際の力を使って発電するもので、波浪発電は波が前後する際の力を利用して発電するものだ。

理論上では、波打ち際だけでなく、海上でも発電は可能となっている。確かにそれならば、人工島にはうってつけだろう。

しかし、金属精製もだが、発電関連も最先端技術の集まりになる。金属精製はISにも使われるが、最近は新しい金属精製は難航している。その理由もまた、不当な解雇にある。

世界的にだが、研究分野にも男性が多く居た。しかし、女性優遇制度の影響で、ただ気に入らなかったという理由で解雇され、職を失った男性は世界中で三割以上に登り、半数近くが犯罪に手を染めていて、今や無視出来ない状態だが、そこで障害になっているのが女性権威主義者だ。一部の女性は男性が必要ということに理解を示していて、共に働いている場合もある。

しかし、世の中には過激な思想の輩が居る。過激な女性権威主義者は、男性なんて不要。居るだけで害悪という考えで、濡れ衣を着せて逮捕させたという例も多々ある。勿論だが、そう言った輩には厳罰が処されるように制定されているが、上手くいかないのもまた事実。

警察な法務側にも過激派団体と繋がっている者も居て、テロ組織に逃がし、テロを起こすということもある。

最近では、女性優遇制度の見直し案も出されているが、中々進んでいない。

 

「……世界中の最先端技術が集まってるように思える……」

 

「私もですわ……あら? あの方は確か、イギリスの研究員だった筈……」

 

義之と麻耶の会話に感心していた二人だが、セシリアはある研究ブースで研究していた一人を見て、少し驚いていた。やはり、融資をしているだけあって、研究員の顔を知っているようだ。

 

「ん? あぁ、あの人か。確か、元の研究所でいわれの無いことで研究が出来なくなって、日本に亡命してきたんだったかな? 元々、天枷研究所に興味あったみたいで、希望して来たって聞いたが」

 

義之の話を聞いて、セシリアは額に手を当てた。

もしかしたら、そういったことに覚えがあるのかもしれない。

 

「しかし、本人が満足そうで、楽しく研究出来てるのならば、それは良いことですわ……後で、本国に査察を打診しないと……」

 

最後は小声で、セシリアは決意していた。やはり、技術の漏洩というのは由々しき事であり、原因を突き止める気なのだろう。

そうして、案内は続く。

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