インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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少し、書き方を変えました


説教と特訓

翌日、登校した直後に一夏と箒を捕まえた義之は、二人を正座させると

 

「さて……なんで正座させられてるか、分かるか?」

 

と二人に問い掛けた。

すると、一夏が

 

「あー……多分だが、昨日箒がドアを壊した……からか?」

 

オズオズと、義之に問い掛けた。

 

「はい、正解……さて、篠ノ之」

 

「あ、その、桜内さん……私のことは、箒と呼んでくれ……篠ノ之だと、姉さんとごちゃ混ぜになりそうで……」

 

義之が箒の名前を呼ぶと、箒は恐る恐るといった様子でそう言った。

それを聞いた義之は、内心で

 

(話には聞いてたが、本当に複雑な姉妹関係みたいだな)

 

と思った。そして、頷きながら

 

「わかった。俺のことも、好きに呼んでくれ……」

 

と箒の提案に従った。

そして改めて、箒に

 

「さて、箒……まあどうせ、一夏が何かヤラかしたんだろうが……物を壊すのは、やり過ぎだ……特にお前は、武道家だろ? 武道家の心得として、感情任せに行動するのはご法度じゃないのか?」

 

と問い掛けた。箒は義之のその言葉に、何も反論出来なかった。

箒と一夏は、実は同門で同じ流派を修得している。

箒の実家の流派、篠ノ之流剣術だ。剣術と言っても二つあり、活人剣としての篠ノ之流と今のスポーツ用の篠ノ之流だ。

二人が納めてるのは、活人剣としての篠ノ之流に当たる。

そして箒は、中学三年生の時に剣道の全国大会に出場し、優勝していた。

そこから、箒の腕前が伺えるだろう。しかし、当時の箒は姉たる篠ノ之束が原因で荒れていて、その鬱憤を晴らすかのように竹刀を振るった。

しかも、試合後に対戦相手から

 

『貴女の剣は、感情任せの剣……つまり、ただの暴力よ! そんなの、剣道とは言わない!』

 

と指摘されており、義之はそれとほぼ同じ事を指摘していた。

 

「特にドアを壊したってことは、素手じゃないだろ? 多分、木刀辺りか? そんなんで、人の頭を殴ったりしてみろ。お前さん、人を殺すつもりか? 気に入らないことがあっても、まずは冷静になれ。でないと、何時か本当に人を殺してしまうぞ」

 

義之のその指摘に、箒は何の反論も出来なかった。

義之の指摘は事実であり、今回はたまたま一夏が箒の技を避けたから無事だったに過ぎないのだ。

 

「私は……っ」

 

「俺からのアドバイスは、何か起きてもまずは深呼吸……そんくらいだな」

 

箒が俯くと、義之はそう言って一夏に向いて

 

「それに一夏、どうせお前は箒の裸を見ちまったんだろ?」

 

「どうして分かった!?」

 

「わからいでか」

 

一夏の言葉に、義之はそう返しながら一夏の頭に軽く手刀を落とした。

 

「一夏、ここは女子校と言っても過言じゃないんだぞ? 男は、俺を含めて二人だけ。気を使わないと、千冬さんの拳を貰うぞ」

 

「ぐっ……確かに……」

 

義之の言葉に、一夏は呻いてから頭を押さえた。実は既に、昨日のことで千冬から拳を見舞わされていたりする。

 

「それが嫌なら、気を使うことだな」

 

「ああ、分かった……」

 

義之の言葉に一夏が頷いた時、予鈴が鳴ったので席に戻った。

その後、なんとか授業をこなし(義之としては、まさか爆弾解体の授業をするとは思ってなかったが)、放課後になると職員室に行き

 

「すいません。訓練機の貸し出しを申請したいんですが……」

 

と山田先生に問い掛けた。

すると、山田先生は

 

「構いませんが、専用機が来るまで待たないんですか?」

 

と首を傾げた。

その言葉に、義之は

 

「ギリギリに来る可能性を考えて、練習しておこうかと思いまして」

 

と告げた。

それを聞いた山田先生は

 

「分かりました……では、ラファール・リヴァイブを使ってください」

 

と言って、使用許可証を義之に手渡した。

それを受け取った義之は、第一アリーナに行ったのだが

 

「……確か、布仏虚さんでしたっけ?」

 

そこには、虚と楯無が居た。

 

「はい。名前を覚えてくださり、ありがとうございます」

 

「まあ、物覚えは良い方なんで」

 

義之はそう返したが、そもそも印象的な出会いだったので忘れないだろう。

そして義之は、二人に

 

「そもそも、なんでここに二人が?」

 

と問い掛けた。すると、虚と楯無が

 

「桜内君が訓練機を借りるという情報を聞きまして、私が調整し」

 

「私が教えるわ」

 

と続けて言った。

それを聞いた義之は、思わず

 

「……申請したの、十数分前なんですがね……」

 

と目を細めた。

校舎から第一アリーナまではそれなりに離れているので、来るのに約10分程掛かる。それに、制服からある人物特製のISスーツに着替えるのに、数分掛かった。

それを考えても、二人の到着は早かった。

 

「私とお嬢様は、元々第一アリーナで機体の調整後に訓練をする予定でしたから」

 

「まあ、次いでに義之君の訓練もしようかなってね」

 

それを聞いても、義之は半信半疑だったが

 

「分かりました……ISに関しては素人なんで、助かります」

 

と言うしかなかった。

一応、休み時間を使って基本的な機動は勉強したが、やはり熟練者から習う方が分かりやすいのは明白である。

 

「一応、こちらである程度は先行して、桜内君の身体データは入力してありますので、乗ってください。あ、着用方法は分かりますか?」

 

「まあ、なんとか」

 

義之はそう言って、ラファール・リヴァイブに背を向けて、纏った。

その後、虚が微調整してから

 

「どうでしょうか?」

 

「……問題無さそうですね……」

 

虚の問い掛けに、義之は体を動かしながら返答した。

その様子を見て、虚と楯無は

 

(……天才と言えますね……普通に歩いてます)

 

(芳野博士から聞いてたけど、本当に天才肌なのね……)

 

と小声で会話していた。

本来、初心者がISを纏った直後というのは、立つだけで精一杯であり、歩くと倒れてしまうのが殆どだ。

しかし義之は立つだけでなく、歩いたり軽くジャンプしている。

そして、感覚の確認が終わったのか

 

「行けます」

 

と二人に顔を向けた。

それを聞いて、楯無が

 

「それじゃあ、私の機体を見せてあげようかしら」

 

と言い、専用機を展開した。

楯無専用機、ロシア開発のモスクワの深い霧の改修機。

 

「ミステリアス・レイディ……」

 

義之は、自身の視界に表示された楯無専用機の名前を読み上げた。

 

「そうよ。ロシア代表になった私に与えられた、専用機」

 

学生の身でありながら、既にロシアの代表になっている楯無。

在校生最強というのは、伊達ではないのだ。

 

「カタパルト、オンライン……お嬢様から、どうぞ」

 

虚に促されて、楯無は機体をカタパルトの場所にまで進ませた。そして、足をカタパルトに固定し

 

「行くわよ!」

 

と言って、その直後に楯無機はリニアカタパルトで射出された。

それを見送った義之は、一歩ずつカタパルトの場所に向かった。

そして

 

「続いて、桜内君。どうぞ」

 

と虚に促され、義之は足をカタパルトに固定。

楯無がしていたように、スキーのような体勢になり

 

「行きます!」

 

と声を上げると、視界に《射出!》と表示されて、凄まじい速度で義之機は空中に射出された。

すると義之は、勢いを殺す意味も込めて、体を横回転

バレルロールさせて、高度を上げた。

それを見た楯無が

 

『驚いたわね……まさか、バレルロールが出来るなんて……』

 

と呟いていた。

すると義之は

 

「ん? 一般的な技能じゃないのか?」

 

と首を傾げた。

それを聞いた楯無は

 

『確かに、後々には必要になる技能だけど……普通、初心者が出来る機動じゃないわよ?』

 

と少し驚いた表情で、そう告げた。

 

「まあ、コツは教科書に書いてあったからな……少し、予想したのとは違ってたが……」

 

義之のその言葉に、楯無は

 

(……彼、とんでもないわね……まさか、初めてでここまでなんて……)

 

と義之に対する評価を改め、称賛していた。

そして楯無は、その手に突撃槍

蒼流閃を持つと

 

『武器の展開は、分かるかしら?』

 

と問い掛けた。

それを聞いた義之は、僅かに右手を上げた。

その直後、義之の右手の中に一挺の散弾銃。

連装式散弾銃のレイニー・オブ・サタデイが展開された。

 

「おお、本当に出た」

 

それを見た義之は、驚いた表情でシゲシゲと眼前にレイニー・オブ・サタデイを掲げて、色々な角度から見た。

しかし、楯無は

 

(初展開で、0.4秒……想像力が豊かなんでしょうけど、だからって……)

 

と驚いていた。

ISの武器というのは、量子変換されて格納されていて、それを展開するには本人の想像力が重要な鍵となっている。

なお、初心者用に言語入力による展開も可能だが、機動しながらでは、舌を噛むリスクが高いために、想像して展開する技能の修得は必須である。

そして展開速度だが、これも本人の想像力がしっかりとしていて、熟練者ならば約0.1秒で展開が可能と言われているが、熟練者の平均展開速度は0.3秒だ。

義之は、初展開でそれに迫っていた。

そして義之は、左手に新しく重機関銃のデザート・フォックスを展開し

 

「そろそろ、訓練を始めますか」

 

と楯無に提案した。

それを聞いた楯無も、頷き

 

「私の訓練、厳しいらしいから……覚悟してね」

 

と蒼流閃を構えたのだった。

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