インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

65 / 110
朝倉家

買い物が終わった後、一夏を連れて音姫と由夢は朝倉家に向かった。一般的な二階建ての一軒家で、年季を感じるが丁寧に使われてるからか、余りボロく見えない。

その隣にあるのは、純和風の家だ。

 

「あ、そっちが弟くんとさくらさんの家だよ」

 

音姫はそう説明しながら、ドアを開けた。

 

「お爺ちゃん、ただいまー!」

 

「おう、おかえり」

 

直前に新聞を取ったのか、新聞を脇に抱えた老人が居た。

 

「お爺ちゃん。今日から二日間、彼を泊めるね」

 

「ん?」

 

「あ、初めまして! 織斑一夏です! お世話になります!」

 

朝倉純一が視線を向けると、一夏は慌てて自己紹介した。すると、純一は

 

「ああ、義之と同じ男でIS操縦者の……うん、ゆっくりしなさい」

 

と優しく出迎える意思を示した。あっさりと受け入れを示したのと、その優しさに一夏は驚いていた。

 

「え、いいんですか?」

 

「構わないさ……二人の人を見る目は確かだ……」

 

純一はそう言って、奥に向かっていった。どうやら、純一は孫娘二人を全面的に信頼しているようだ。

そして、一夏が音姫と由夢の後に上がると

 

「部屋は、こっちだよ」

 

と音姫が案内した。二階の部屋に案内され、一夏は部屋を見回し

 

「この部屋……誰か使ってたんですか?」

 

と音姫に問い掛けた。

 

「うん。前は、弟くんが生活してた部屋なんだ。昔はさくらさんが、中々家に帰らなかったから一緒に住んでて、風見学園付属に入学した時に弟くんはさくらさんの家に移ったの」

 

「なるほど……義之が使ってた部屋か……」

 

音姫の説明を聞きながら、一夏はキャリーバッグを部屋の隅に置いた。本棚には、楽器に関する本が残されている。恐らく、義之が残した本だろう。

 

『織斑くん、降りてきてくれる?』

 

「あ、はい!」

 

下の階から聞こえてきた音姫の呼び掛けに答え、一夏は階段を降りた。すると、待っていた音姫が

 

「一応説明するね。ここがトイレ。その向かいがお風呂があって、脱衣所には洗濯機があるの。そこの籠に入れてくれれば、大丈夫だからね」

 

「ありがとうございます……」

 

音姫から説明を聞きながら、一夏はトイレと風呂の場所を覚えた。そして考えたのは、入る前に確認するようにする事だった。

でなければ、音姫か由夢の裸を見てしまう可能性があるからだ。

 

「それで、ここが居間」

 

そう言ってドアを開けると、暖かみを感じる居間が見えた。一般的な見た目の居間で、少し大きめの机の周りに椅子が何個か置いてある。

 

「椅子はここ」

 

「はい」

 

音姫の説明を、一夏は覚えていく。

そこに、由夢が現れて

 

「お姉ちゃん、兄さんから電話だよ」

 

「ん? 弟くんから?」

 

由夢に呼ばれて、音姫は離れた。入れ替わる形で、由夢が

 

「一夏さん、IS学園での兄さんはどうですか?」

 

と質問してきた。やはり、家族同然に育ったから気になっているようだ。

 

「義之は、一年生達の間じゃあ頼れる兄貴分だな。俺も手伝ってもらったりしてる」

 

「なるほど……」

 

一夏の説明に、由夢は頷いた。

実際、1年生達から。特にクラスメイト達から、義之は頼りにされている。麻耶と合わせて、よく相談を受けては勉強を教えたりしている。

一夏も義之によく勉強を教えてもらっており、特にIS関連の難しい事を教えてもらっていた。そのお陰で、夏休み前に行われた定期試験は赤点を免れた。

義之に教え方は的確で、一夏にも分かり易かったのだ。

 

「沢井さんは、クラスで何か決める時とかに手伝ってもらったな」

 

「沢井先輩は風見学園でクラス委員をやってましたから、慣れてたからですよ」

 

一夏の話を聞いて、由夢はそう説明した。それを聞いて、一夏は麻耶の手際の良さに納得した。

経験していたのなら、的確なのも当たり前だと。

 

「それで、天枷さんは……」

 

「ああ、天枷さんはロボットだって信じられない位に人間に見えるし、普通にクラスに馴染んでるよ」

 

「良かった……天枷さん、何の問題も無いんですね」

 

一夏の話を聞いて、由夢は安心した様子で頷いていた。

由夢のその反応に、一夏が不思議そうにしていると

 

「その、以前は反ロボット団体のせいで、少し人間不信なところがあったので……変な問題を起こしてないか、心配だったんです」

 

と少し心配そうに語った。

反ロボット団体の事は、一夏も知っている。最近、介護施設に押し入り、その施設に配備されていたロボットを破壊したりしている。

反ロボット団体の言い分は、ロボットのせいで人間の仕事が無くなり、就職出来ないという物だったり、ただ単に、気に入らないからと様々だ。

確かにそれを考えると、人間不信になっても仕方ないだろう。

 

「大丈夫だ。1年生達には、反ロボット団体は居ないからな」

 

一夏のその言葉に、由夢は安堵した様子でため息を吐いた。

そこに、音姫が戻ってきて

 

「お待たせ。それじゃあ、夕飯作ろうか。織斑くん、手伝ってくれる?」

 

と一夏に声を掛けた。

 

「分かりました」

 

「私、見てていいですか?」

 

「ん、大丈夫だ」

 

一夏と由夢が普通に接しているのを見て、音姫は安心した表情をしていた。

そして、朝倉家で過ごす二日間が始まる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。