インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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初音島二日目 1

翌日、朝倉家で起きた一夏は一瞬混乱してから

 

「そうだった……先生の家だった」

 

と呟きながら、体を起こした。時間は、朝の6時少し手前。夏だから日は既に登っており、今日も暑くなりそうだ。

なぜこんなに早く起きたのかは、最早習慣だった。

一夏は中学時代は千冬からの仕送りを無駄遣いしないようにと、知り合いの新聞配達のバイトをしていて、その時は3時前に起きて早朝の新聞配達。そして、学校が終わったらまた新聞配達をしていた。

IS学園に入ってからは、体力を付ける為にランニングをするようになっていて、6時前に起きるようになっていた。

 

「……ランニングしに行くか」

 

一夏はそう呟きながら、バッグの中からタオルを取り出し、動き易い服装に着替えてから部屋から出た。すると、早起きしていたらしい純一に出会い

 

「おはよう、随分早起きだね……ランニングかな?」

 

「あ、おはようございます。体力作りの為に走るようにしてまして……」

 

純一からの問い掛けに、一夏は答えた。すると、純一は

 

「だったら、さくら公園を走ってみなさい。外側のコースは、何時も色んな人が走るコースにしてるからね」

 

とオススメらしいコースを告げた。その場所は、先日行ったばかりなので分かる。

 

「ありがとうございます、純一さん。さくら公園ですね? 行ってみます」

 

一夏はそう言って、朝倉家から出た。

一夏は頭の中の地図を開き、さくら公園に向かった。早朝とはいえ、やはり夏。既に登っている太陽がジリジリと肌を焼き、暑さから汗が流れる。

そのまま、さくら公園に入って、軽く公園入り口にあった地図を確認し、公園外側のコースを走り始めた。

桜並木の下を走る為に桜の花びらが舞っている。

夏だというのに桜の花びらが舞っているのは違和感があるが、一夏は何故か気に入っていた。

時々、反対側から走ってきた人とすれ違い、軽く手を挙げて挨拶する。中には犬の散歩もしている人も混じっていて、中々に面白い。

IS学園ではグラウンドを走る為に変化などなく、たまに朝練で走っている陸上部の少女達が居る位だ。

 

(確かに……走るには良いコースだ……)

 

時々ある蛇行の変化も、刺激になる。そして一夏は、最初入ってきた入り口に差し掛かり

 

(戻るか)

 

と考えて、そちらに向かった。すると、すれ違いそうになったのは、まゆきだった。

 

「お、織斑くんじゃん。君もランニング?」

 

「はい。ISの操縦って、結構体力勝負なんで……高坂さんは……」

 

「まあ、日課の訓練だね。陸上選手だし。1日もサボれないのよ」

 

一夏からの問い掛けに、まゆきは快活そうな笑みを浮かべた。一夏も体育会系な為に、まゆきの考えは分かる。

ISの操縦もだが、日々の家事なんかも繰り返し行って、体に覚えさせてきた。だから、1日休んだりすると、体の感覚にズレが生じてしまうのだ。

 

「んじゃ、アタシは走ってくるね。頑張ってねー」

 

「はい、高坂さんも!」

 

まゆきを見送ってから、一夏は朝倉家目指して走るのを再開した。時間は7時に差し掛かってきているからか、徐々にお店が開店の準備を始めている。

 

「お、和菓子屋さんがある……後で寄ってみようかな」

 

花より団子を見つけた一夏は、お土産を買う候補に花より団子を入れた。そして、朝倉家に到着し

 

「ただいま戻りましたー」

 

「あ、外に行ってたんだ。おかえり。今起こしに二階に行ったら、居なかったから気になってたんだ。ランニング?」

 

ちょうど二階から降りてきたらしい音姫が、一夏を出迎えた。

 

「おはようございます、音姫さん。はい、IS操縦の為の体力作りにランニングを始めたんです」

 

「そっか。頑張ってるね! ほら、シャワー浴びて汗を流してきたら? その間に、朝食作っておくから」

 

「すいません、ありがとうございます」

 

音姫に促された一夏は、シャワーを浴びる為に着替えを取りに部屋に戻った。そして、シャワーを浴び終わると居間に向かったのだが

 

「んー……」

 

酷く眠そうな由夢の姿があった。

 

「ほら、由夢ちゃん! ちゃんと起きなさい!」

 

「音姫さん……えっと……」

 

「……はっ! おはようございます!」

 

一夏の声が聞こえたからか、それまで眠そうだった由夢が一瞬にして目覚めた。そんな由夢に、音姫は嘆息しながら

 

「今のが、本当の由夢ちゃんなの……お爺ちゃんの血を強く引いててね……かったるいが口癖なの」

 

音姫が説明すると、由夢は必死に顔を逸らしている。それが、如実に現実を物語っている。

 

「っと、朝食持っていってね」

 

「あ、はい。分かりました」

 

音姫の言葉に従って、一夏はスクランブルエッグが乗ったお皿を持って机に向かった。綺麗に出来ていて、音姫の腕を物語っている。

 

「お、出来たか」

 

「あ、お爺ちゃん。おはよう」

 

「おはよう、お爺ちゃん」

 

朝食が机に並んだタイミングで、純一が居間に現れた。そして、朝食が終わると一夏は観光巡りを始めた。

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