朝食が終わると、一夏は朝倉家から出た。
最初の目的地は、義之達が通った学校。風見学園だ。
「えっと……地図だと、こっちだけど……」
地図を頼りに歩いていると、何やら進行方向先が賑やかだ。何だろう、そう思いながら一夏は進んだ。
すると、目的地たる風見学園の校門が見えたのだが
「……夏祭り?」
校門の前には、《商店街・風見学園共同夏祭り!!》と書かれた大きな看板があった。
「流石は、イベント盛りだくさんの学園か……夏休みなのに、夏祭りイベントまで……」
一夏は感心しながらも、校門を通り過ぎて敷地内に入った。すると、直ぐに色んな出店が見えた。
学生らしい手作りのと、お店のらしい赴きを感じる出店がある。
「はあ……凄い活気……」
校門で配っていたパンフレットを見ると、校舎までの道だけでなく、校舎内と校庭にも出店が広がっているようだ。
一夏も文化祭や地元の夏祭りは知っているが、規模が違うのだ。
更に言えば、風見学園の広さも違う。人数で言えば、IS学園より多い。
流石に敷地の広さはIS学園の方が広いが、IS学園はIS関連のイベントも考えられているので、やはり広さが必要になる。
しかし、風見学園は中高一貫だが、普通の学園なのだが、広さはかなりのものだ。
「……とりあえず、回ってみるか」
そう呟いてから、一夏は宛もなく歩き始めた。
風見学園の生徒や大人達が呼び込み、親子や老人が楽しそうに回っている。それを見ていた一夏も、楽しくなってきた。
そして、偶々見つけた串焼き屋に近寄り
「すいません。鶏肉と牛カルビの串焼きを一本ずつお願いします」
と注文した。
「はい、分かりました……あ、織斑さん」
「あれ、由夢ちゃん?」
注文を受けて一人の店員が対応に来たのだが、なんと由夢だった。
一夏は、由夢から串焼きの入った紙袋を受け取り
「由夢ちゃんは、クラスの出し物?」
「はい。こちらは、私のクラスのです。この後は、保健委員の方の対応の為に待機しますが」
「あ、保健委員なんだ」
由夢が保健委員な事を初めて知った一夏だったが、何故か似合うなと思ってしまった。
すると
「え、朝倉さんの知り合い!?」
「うわっ! カッコいい男の人だ!」
と由夢のクラスメイトらしい少女達が、黄色い声を上げてきた。それを聞いた由夢は、深々とタメ息を吐いて
「彼は、お姉ちゃんの生徒さんで、兄さんと同じIS学園の生徒さんの織斑一夏さんです」
と一夏をクラスメイト達に紹介した。するとクラスメイト達も気付いた様子で
「あ! そういえば、見覚えある!」
「あ、握手いいですか!?」
と一夏に近付いてきた。
「あ、うん。大丈夫だけど……」
「やった♪」
勢いに押されながらも、一夏は握手に応じた。そんなクラスメイト達を、呆れた様子で見ながら由夢は
「早く行った方が良いですよ……際限なく来ると思うので」
「……そうしとく」
由夢の忠告と、今しがた奥に行ったクラスメイト達の反応に、一夏は早々に移動することにした。
そして、行く先々で
「え!? あの織斑一夏!?」
「ウソ!? ここに居るの!?」
「IS学園での、桜内先輩のこと聞きたい!」
等々聞こえてきた。
「……義之、結構有名人なんだな」
自分のことを棚上げにして、一夏はそんな事を呟きながら人気の少ない体育館裏まで来ていた。
道中で買った出店の食べ物を、そこで食べていると
「ほっほう……君が、同志桜内と同じ男性IS操縦者の織斑君か」
と声が聞こえて、一夏は驚きながらも声が聞こえた方に視線を向けた。その先には、胡散臭いが服を着たような男子学生が居た。
「……あんた、誰だ……?」
「おお、これは失礼した。俺の名前は、杉並。同志桜内の協力者だ」
一夏の問い掛けに、杉並は大仰に応えた。
これが、一夏と杉並のファーストコンタクトになる。