さくらの言葉に、一夏は
「義之も言ってましたが……本当に存在するんですか、魔法は?」
「うん。存在するよ……例としたら……はい」
一夏の問い掛けに、さくらは一夏が食べた茶菓子が乗っていた皿の上に、桜餅を出現させた。
「何処から……」
「今のは、自分のカロリーを消費して和菓子を作ったんだ。義之くんも出来るよ」
さくらはそう言って、今度は煎餅を出現させた。
一夏は今までゲームや本でしか描かれなかった魔法が実在すると知り、驚いていた。
「魔法が実在したなんて……」
「まあ、隠れてたからね。だけど、一部の国を除いて魔法使いは世界各国に居るよ」
一夏が呆然とした様子で呟くと、さくらが補足説明した。そしてさくらは、お茶を一口飲んでから
「義之くんの予想だと、織斑くんは破魔の力を持ってるって考えてるみたいだね」
「破魔ってことは……魔法を無効化したりですか?」
一夏の問い掛けに、さくらは頷いた。
「そう……対魔としては、最高の切り札……なにせ、あらゆる魔法を討ち祓えるからね……」
「あらゆる魔法を……」
「うん……まあ、良し悪しだけどね……回復魔法とかも無効化してしまうこともあるからね」
さくらはそこまで言うと、一夏の手首のガントレットを指差し
「そもそも、ISが何の為に開発されたか知ってるかな?」
と問い掛けた。すると、一夏は
「え……確か、宇宙進出の為って……」
「うん。確かに、それも理由の一つだね……けど、もう一つあるんだ……それが、非魔法使いの魔法使いへの覚醒……」
さくらが告げた二番目の理由を聞いて、一夏は目を見開いた。
「えっと、つまり……IS適正がある人は、魔法使いになれる可能性がある人……ってことですか」
「そう……義之くんは使えるけどね。さっきボクがやったカロリーを和菓子にするのと、他人の夢を見せられる魔法だね」
既に、義之は魔法使い。それを知った一夏は、黙考し
「ということは……義之は、直接的な戦闘力は無い……」
「まあ、魔法学校に行ってないから知らないんだけどね」
「魔法学校!?」
まさか魔法使いの学校があると思っていなかった一夏は、驚愕した。
「有るんだよ? イギリスにね、王立魔法魔術学園って場所が……著名人も通ってたんだよ。金田一、ホームズ、ワトソン……」
「え、実在したんですか。その人達……」
今まで創作の人物だと思っていた名前が出て、一夏は何度目か分からない驚愕を覚えた。名だたる名探偵の名前だった。
「織斑くんが知らないだけで、魔法も存在し、人も存在する……まあ、政府が隠してたからなんだけどね」
「政府が、隠す……」
「そう……自国を守る善の魔法使いを守る為にね……善が居れば、悪も居る……常に討ったり討たれたりを繰り返してきて、時には一族が滅びる直前もあったんだよ」
光と闇の勢力争いは、それこそ物語でも鉄板要素の一つに挙げられる。いたちごっこの戦い。
「……まあ、ここから先は危険と隣り合わせになるからね……どうするかは、織斑くん次第だよ」
「俺次第……」
さくらの言葉に、一夏は僅かに俯いた。
「未来を決めるのは、何時もその時を生きる若者さ。大人は、それを導くのが仕事……ボクに出来ることなら、何でもするよ」
さくらはそう言って、一夏が飲み干したお茶を注いだ。気付けば喉が渇いていた一夏は、一口飲んだ。
そして
「……さくらさん……俺に、魔法の使い方……教えてください」
と頭を下げた。