インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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天枷研究所見学 2

μに案内されながら一夏は、興味深そうに時々見える研究室内を見ていた。

研究室に居る研究員達は真剣に、だが楽しそうに研究しているのが分かる。それは一重に、自分の好きな研究が出来るからだろう。

すると、あるドアの前で止まり

 

「ここが、所長室です」

 

と一夏に教えてから、ドアをノックした。

すると、中から

 

『入ってー!』

 

と聞いた覚えのある声が聞こえた。そう、さくらの声だ。

 

「失礼します」

 

「やっほー! 織斑くん! あ、ありがとうね。イベール、あとはボクに任せて」

 

「承りました」

 

さくらの指示を受けて、μは頭を下げてから退室した。

 

「さくらさん……風見学園の学園長じゃ……」

 

「兼任だよ! 学園長でもあるけど、天枷研究所の所長でもあるんだ! 持ってる博士号の中に、ロボット工学と機械工学の博士号が有るからね。前の所長に頼まれたんだ」

 

さくらはそう言いながら、一夏にソファーに据わるように促し、机にお茶とお茶菓子を置いた。

 

(流石は、日本が世界に誇る博士の一人だなぁ……)

 

一夏はそう思いながら、お茶を飲んだ。

 

「それで、義之くんや麻耶ちゃんに来るように言われたんだよね?」

 

「はい。最初に来た日に、名刺を渡されながら言われました」

 

一夏はそう言いながら、さくらの前に二人の名刺を差し出した。その名刺の裏を見たさくらは

 

「うん、確かに……じゃあ、案内は……」

 

とさくらは考え始めた。その時、再びドアがノックされて

 

「どうぞー!」

 

とさくらは、入室を促した。

すると今度は、和服を着たμ。美秋が入ってきて

 

「失礼します……あ、お客様がいらっしゃいましたか。申し訳ありません。芳野所長」

 

「大丈夫だよ、美秋。あ、義之くん達からの報告?」

 

さくらの問い掛けに、美秋は頷き

 

「はい、そうです。こちらが、新しく開発した小型ハイパワーシリンダーに関する報告書。それでこちらが、昨日行きました人工島建造現場に関する報告書です」

 

と2つのバインダーを、それぞれ置いた。

さくらは、まず人工島建造現場に関する報告書を読み

 

「うん。ちゃんと安全は守られて、スケジュール通りみたいだね。良かった」

 

と安堵の表情を浮かべた。次に、小型ハイパワーシリンダーに関する報告書を読み

 

「……なるほど……今の既存の素材だと、強度が足りないか……」

 

「はい。それにつきましては、新しい素材を探してまた検討すると……」

 

「……ぼくの作った素材を使ってみてって、言ってみてくれるかな? えっと……これが、その素材のデータが入ったUSB。渡してくれる?」

 

「はい、分かりました」

 

さくらが渡したUSBを、美秋は前掛けのポケットに仕舞った。するとさくらは、ポンッと手を叩き

 

「そうだ、美秋。彼を義之くん達の部屋に連れていってあげてくれる?」

 

と美秋に頼んだ。

 

「彼を……ですか?」

 

「そう。彼は、織斑一夏くん。IS学園で、義之くんと麻耶ちゃんのクラスメイトなんだ」

 

「ああ、彼が麻耶ちゃんが言ってた……」

 

美秋が納得していると、一夏は立ち上がり

 

「は、初めまして。織斑一夏です。義之や沢井さんにはお世話になってます」

 

「初めまして。私は美秋と申します。着いてきてください。二人の研究室に連れて行きます」

 

「お願いねー!」

 

さくらの言葉を背に、一夏は美秋の後に続いた。

少し歩いていると、美秋が

 

「織斑さん。IS学園で、麻耶ちゃんはどう過ごしていますか?」

 

と一夏に問い掛けた。

 

「え、あ……沢井さんは、義之や美夏さんと一緒に居ます。それに、よくクラスメイトを纏めてくれて、助かってます」

 

一夏が思い出すように言うと、美秋はフフッと笑い

 

「IS学園でも、委員長みたいな事をしてるのね」

 

と呟いた。それを聞いて、一夏は義之から麻耶が風見学園時にクラス委員長をしていた、と聞いたのを思い出した。

 

「けど、元気そうで良かったわ」

 

美秋はそう言いながら、あるドアの前でコンソールを操作し

 

「二人共、芳野所長から素材のUSBを貰ってきたのと、お客様を連れてきたわ」

 

と告げた。その数秒後、電子鍵が開いて

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

美秋に促されて、一夏は義之と麻耶の研究室に入った。

 

「よ、待ってたぜ」

 

「いらっしゃい、織斑くん」

 

そんな一夏を義之達が出迎えた。

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