インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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訓練と手助け

一夏特別教育チームが編成された日の数時間後、一夏は訓練していた。

 

「くっ!?」

 

『確かに、第二形態(セカンドシフト)してからは、白式にも遠距離武器は追加されたけど……!』

 

一夏は楯無と模擬戦をしていて、水を使った遠近両方の攻撃に苦戦。距離を取って、態勢を立て直そうと考えた。しかし次の瞬間、今まで正面に居た楯無の輪郭がボヤけた。

 

「しまった!?」

 

『遅いわよ!』

 

実は途中から、水を使った分身に気を取られていた。

一夏は気付いて、反撃しようと雪片弐型・雪華で槍を受け流した。だが、それすらフェイント。

楯無は左手に蛇腹剣を展開していて、それによる連撃を繰り出して、一夏機はエネルギーが切れた。

 

『はい、終了』

 

「また、一撃も入らなかった……」

 

既にこの模擬戦は、五回戦目であり、その全てに於いて楯無は、無傷で勝っていた。

一夏と楯無は、それぞれピットに戻ってエネルギーの補給や弾薬の補給。機体の簡易チェックを始めた。

すると虚は、楯無に近づき

 

「お嬢様。彼の動き……」

 

「ええ……一回戦う毎に、どんどん良くなってる……あり得ない速度で」

 

虚の意図に気付いた楯無は、虚から差し出されたスポーツドリンクを飲みながら、繰り返してきた模擬戦を思い出した。

最初の一回目と二回目は、楯無の攻撃は面白いように当たり、一方的な展開だった。

しかし、三回目で単純な射撃や斬撃は避けるようになり、四回目では反撃してくるようになった。

そして、直前の五回目。時々だが、ヒヤリとする反撃が織り交ぜられており、もしかしたら一撃入っていた可能性すらあった。

驚異的なまでの成長速度に、楯無は内心で警戒心すら抱いた。

 

「なに、あの成長速度……天才って言葉すら生ぬるいわよ……」

 

義之も間違いなく天才で、最初からあり得ない動きをしていたが、一夏も間違いなく天才。いや、鬼才だった。

楯無からしたら、水分身はまだ使うつもりすらなかった技だった。

 

「お嬢様。飛鳥さんから連絡が」

 

「何かしら?」

 

「どうやら、織斑君の体力が限界なようです。一時間程休憩したいと」

 

虚の話を聞いた楯無は、エネルギー補給以外はぶっ続けで模擬戦していた事を思い出した。

楯無は実家が裏の家系故、軍事訓練をしていた為に体力は人並み外れている。

しかし、一夏は少し前まで一般人として過ごしてきた。

体力の差があるのは、当たり前の話だったのだ。

 

「そうね。少し休憩しましょうか。飛鳥ちゃんに伝えてくれる?」

 

「分かりました」

 

楯無の言葉に頷いた虚は、スッと静かに姿を消した。

楯無の従者の虚も、裏の家系の人間で、電子戦が得意だが、同時に忍びでもあった。

恐らく、食事の用意をしに向かったのだろう。そして楯無は、飛鳥から送られてきた一夏の適性値と稼働率を見た。

IS適性S

稼働率85%

 

「本当に、どうなってるのかしらね……」

 

場所は変わり、IS学園の校門付近。

そこには、セシリアと二人の少女の姿があった。

 

「へぇ……ここがIS学園……広いねぇ」

 

「お願いですから、揉め事は起こさないでくださいませ……カトレアさん」

 

カトレア・ホームズ

それが、セシリアと一緒に居る一人目の少女の名前だ。

セミロングの金髪に、翡翠色の瞳。小柄だが、整ったプロポーションの美少女だ。

すると、もう一人が

 

「そうだよ、カトレア。私たち、このIS学園からの要請で来てるんだからね」

 

とカトレアに注意した。

長い銀髪をポニーテールにし、170間近の高身長に青い瞳。グラビアアイドル顔負けのスタイルの良さの美少女だ。

彼女の名前は、イングリッド・ワトソン。代々続くホームズの助手の家系で、カトレアの専属だ。

 

「分かってるわよ、イングリッド。今回は女王陛下直々の指示だし……それに」

 

そこまで言った直後、カトレアの目の色が比喩ではなく、本当に変わった。翡翠色から、深紅に変わった。

 

「呆れた……もう何らかの大規模魔術の準備が始まってるじゃない」

 

「本当ですの?」

 

「ええ、間違いないわ……私の魔眼で捉えたから」

 

セシリアからの問い掛けに答えたら、カトレアの目の色が戻った。

魔眼

それが、代々ホームズ家が継いできた初代ホームズ。シャーロック・ホームズの魔術とは違う異能だった。

魔眼と一口に言ったが、その性質は千差万別。

カトレアの魔眼は、魔術の痕跡を可視化し、解析するという物だ。しかし、解析するには脳に負担が掛かるので、あまりカトレアは使わない。

 

「とりあえず、先に学園長さんに会いに行きましょうか」

 

「それが良いですわね」

 

「早く馴染めると良いなぁ」

 

三人はそう会話しながら、学園長室を目指した。

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