「まさか、ロシアが国として崩壊するなんてね……まあ、お陰で私は日本の国家代表になったけど……なんで、私のミステリアス・レイディは使えるのかしら?」
そう言ったのは、生徒会室で日本政府からの書類を読んだ楯無だった。ロシアが崩壊して、早3日。世界はロシアという大国の崩壊に未だに混乱し、ロシアに支配されていた昔の国々が一挙に独立した。
それにより、支配されていた民族によりロシア人達に対する虐殺行為も横行。それを止めるべく、国連は平和維持軍を派遣する事を決定した。
そして楯無は、怪我の治療の為にナノマシンを注入して安静にしていたら、一時間程前に日本政府の要人。
五条院大臣が訪れ、書類を渡しながら口頭で
『更識楯無くん……君は本日付で、日本の代表に所属を変更。ISはミステリアス・レイディをそのまま使用せよ』
と告げたのだ。
たったそれだけの事で、まさか防衛省大臣が来るというのは完全に予想外だったが、今はどうでもいい。
「さて……一回一夏くんの様子を見てきましょうか」
楯無はそう言って、車椅子で一夏が訓練している第二アリーナに向かった。
その頃、初音島では
「つまり、ロシアが俺と一夏を殺そうとしたから、束さんとさくらさんは制裁した、ってことですか……」
「そうだねぇ……流石に、身内を害そうとした人達に開発した技術を使われるのは嫌だったからね……国民は巻き込まれだけど、悪いのは為政者だ……その為政者を選んだのも国民だから、自業自得とも言えるのかな」
義之からの問い掛けに答えながら、さくらはお茶を飲んだ。
「まさか、ロシアの崩壊にそんな原因があったんですか……というかロシア、後先考えないで……」
義之は、ロシアの代表が目先の利益を優先して後先考えずに動いた事で、国が崩壊したのだが、自業自得と思っていた。
何せ、ロシアは芳乃理論で原子力発電所を動かし、束が開発したISを使って度々暴徒鎮圧などをしていた。
それなのに、その両方の身内とも言える知り合いに手を出したのだから、そうなるリスクを考えなかった方が悪いと思ったのだ。
それにより、ロシアという大国は地図から消えた。
「あ、そうだ。義之くん……はい、これ」
とさくらは、義之に封筒を差し出した。
中を見てみると、天枷研究所の夏のボーナスの額が記載されているのだが、一学生が持つのは大分おかしい金額だった。具体的には、三桁万円が記載されている。
「義之くんが新しく開発した、高性能指先カメラ。それを搭載したμが自衛隊から大量に発注されて、好評だったんだよ」
「あ、そんなに売れたんですか」
どうやら、義之が開発したオプションを搭載したμが高い評価を受け、大量に売れたから臨時ボーナスという形のようだ。
「それに、もう1つ。美夏ちゃんから得たデータで開発した味覚センサー。それを搭載したμが、IS学園と自衛隊、各介護施設からかなり発注されてる。冬のボーナスも期待していいよ」
「おお……」
義之からしたら、売れるか分からないオプションだったから、予想外であったが、好評なのは嬉しかった。
そして義之は、立ち上がり
「じゃあそろそろ、IS学園に戻る準備をしますね」
「うん。何か困った事があったら、電話してねー」
さくらに見送られて、義之は部屋まで戻った。
もうすぐ、夏休みが明ける。