義之達もIS学園に戻り、夏休み明け初日。
『という訳で、本日付けで編入生が入りました』
『五条院飛鳥です』
『江戸川杏化です』
『カトレア・ホームズよ』
『イングリッド・ワトソンです』
予定通り、四名が編入。
飛鳥は一組で杏化は二組。カトレアとイングリッドが五組となった。
飛鳥が一組なのは、一夏に魔法を教えるのと、護衛の為というのが理由だ。
杏化はよく一組と合同で訓練する事もある二組に編入され、カトレアとイングリッドは調査が主なので、五組となった。
(五条院飛鳥……か……)
箒は姿勢よく椅子に座り、前を見ている飛鳥を見ていた。実は箒と飛鳥は、ある意味で因縁ある相手とも言えた。
それは、中学三年生の最後の剣道大会の時になる。
飛鳥はその時から剣道でも名を馳せており、学生では日本でも10指に入ると言われており、はっきり言って剣道の腕では飛鳥の方が上だ。
しかしその大会で箒は、感情を任せに竹刀を振るっており、どういう訳か箒が飛鳥に勝った。
その後飛鳥から言われたのは
『貴女の剣は、ただの感情任せ……暴力の剣よ』
であった。
その言葉に、箒は我に返って愕然とした。
自分は、武道家として最低な事をしてしまった、と。
武道家は、鍛えた技と体が武器となり、その一撃は人を殺しうる。それにより、感情任せは御法度なのだ。
それからは感情制御の訓練もしているが、中々上手く進展していない。
苦々しく思っていた、その時
「箒? 聞いてるか?」
と一夏が声を掛けてきた。
「あ、ああ。すまない、考え事をしていた……」
「おいおい、頼むぞ? 今日中に決めないと、文化祭でこのクラスの出し物が出せないからな?」
一夏の言葉に、箒は頷いた。
今現在一組はLHRで文化祭の出し物を決めていたのだ。
本来なら夏休みに入る前に決めておき、夏休み明け直ぐに準備を始めるという手筈であった。
しかし、一組は中々決まらず、瀬戸際の状態だったのだ。その理由が
「やっぱり、男子がもてなせー!」
「二人共同じクラスなんだから、活かさない手はないでしょ!」
と女子達が出した案が、余りに極端かつ一夏と義之の負担が高過ぎたからだ。
因みに、千冬は案が出され始めると、決まらないと判断したからか、職員室に戻った。
教室には山田先生と音姫が居るのだが、山田先生は夢見心地な状態で役に立たないと判断。
音姫は考えているようだが、生徒の自主性を考えてか中々出さない。
一夏が
(さあ、困ったぞ……)
と思っていた。その時
「メイド喫茶などどうだ?」
と案が出された。のだが、案を出した人物が予想外だった。なんと、ラウラだ。
クラスメイト達も予想外だったからか、驚いた表情でラウラを見ている。
「どうだ?」
「まあ……今までの中だと、一番マトモだな……」
「まあ、良いんじゃないか? 山田先生、朝倉先生。確か、出し物で得た収入はどうなるんでしたっけ?」
「出し物で得た収入は、基本的にそのクラスの予算になります」
義之からの質問に、音姫が答えた。
つまり、次の何らかのイベントの時に予算が増える、という事だ。それならば確かに、メイド喫茶というのは利に叶っている。
「だけど、メイド服とかはどうするんだ?」
一夏の問い掛けに、ラウラはニヤリと笑みを浮かべ
「なに。それならばアテがある……なあ、シャルロット」
とシャルロットを見た。
「……まさか、あそこ!? まあ、貸してくれるかもしれないけど……」
どうやら、シャルロットとラウラにはメイド服を借りられるアテが有るようだ。すると、クラスメイト達が
「アタシ、被服部に入ってるから、なんなら作るのも手だよ!」
「だったら、私は演劇部から衣装借りれるか聞いてみる!」
と次々と案を出してきた。どうやら、形に出来そうだ。
「それじゃ、メイド喫茶に決まり」
『異議なし!!』
こうして、一組はメイド喫茶に決まった。
その後、それを千冬に伝えに向かい
「くくく……ハッハッハッハ! まさか、あいつがメイド喫茶を提案する!? 予想外だ!」
と千冬は笑ったのだった。