インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

95 / 110


魔力をほぼ使い果たして倒れた一夏は、不思議な光景を見ていた。まるで、何処かの研究所に見える。

 

「なんだ、ここ……」

 

一夏は知らない場所だったのだが、何故か知ってるような感じがした。そして、ある部屋に入ったのだが

 

「なんだ、これ……!」

 

その部屋には、赤ちゃんが入れられたポッドが規則的に並んでいる。あまりにも常軌を逸した光景。しかし、そのポッドを見ている研究者達は

 

「ダメだな……骨密度が規定値以下だ。503番は廃棄」

 

「こいつは、思考速度が遅い……505番も廃棄だ」

 

とまるで、路傍の石に対するように、無造作に告げる。

 

「こいつら、何をしてるんだよ……!?」

 

一夏は気が狂ったとしか言えない所業をしている研究者達に、眩暈を覚えながら先に進んだ。すると、一人の研究者が

 

「主任、副主任。本当に上手くいくのですか、織斑プロジェクトは?」

 

と言った。

 

「……織斑……プロジェクト……?」

 

自身の姓と同じ計画名に、一夏は動揺しながらその声の方を見た。すると、千冬によく似た顔立ちの女性が

 

「理論上は出来ます。人工天才誕生計画は……」

 

と告げた。

 

「人工天才誕生計画……!?」

 

一夏が近づくと、もう一人。一夏に似た顔立ちの男が

 

「産まれた時からの天才と、学習機能が桁外れな天才……アプローチは二通りだがな……」

 

と冷徹に告げる。

そこで一旦景色が揺らいで、見えるようになったら

 

「成功です! 1000番の身体能力と思考能力は規定値以上です!」

 

と一人の研究者が興奮した様子で、先ほどの男女に一人の女の子を指し示した。

すると、女性の方がその女の子を抱えあげ

 

「おめでとう、1000番……いえ、名前を与えましょう……千冬と」

 

「千冬姉!?」

 

女性が告げた名前を言った時、またしても光景が一瞬揺らいで

 

「予想外です! まさか、双子になるなど!」

 

「11001番……まさか、一卵性双生児になるとは。しかも異性……」

 

「興味深いな……本来は計画は終了だが……特別だ、この二人も計測しよう……名前を与えるか……一夏に円夏だ」

 

男が告げた名前に、一夏は完全に驚き固まっていた。

そこで、光景は途切れ、視界が真っ暗になった。

かと思えば、いきなり真っ赤に染まり、耳障りな警報音が鳴り響く。

 

『総員退避! 繰り返す! 総員退避せよ! 研究所Cー33区画にて爆発発生! これ以上の延焼の阻止は不可能と判断する! 各自、決められた避難ルートで退避せよ!!』

 

どうやら、何らかの事故が発生したらしい。

一夏が混乱していると

 

「ちーちゃん! こっち! 急いで!」

 

「分かっている!」

 

と幼いが、聞き覚えのある声が聞こえた。

見てみれば、小学生位の千冬がまだ赤ん坊の一夏と女の子を抱えて走っている。その前には、同じ位の少女。顔立ちから、束が居た。

どうやら二人は、逃げている最中らしい。しかし、周囲には大人の姿は無い。

 

「しかし、派手にやったな!」

 

「試験段階のISを使ったんだ! いや、いいデータが取れたよ! だけどこんな狂った研究は終わりだよ!」

 

どうやら、束が手引きしたらしい。そのまま、外に出ようとしたが、銃声が鳴り響き、千冬の左手を掠めた。

被弾した痛みから、千冬は左腕で抱えていた女の子。円夏を落としてしまった。

円夏は泣き、千冬は何とか円夏を回収しようとしたが

 

「無理だよ! ちーちゃん! 向こうから、相手の増援が!!」

 

と束が指差した方向から、銃を構えた部隊が迫ってきていた。それを見た千冬は、ギリッと歯を噛み鳴らし

 

「すまない……!」

 

と呟くと、踵を返して、試作機らしいISを纏った束の手を掴んで、空に舞い上がった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。