インフィニット・ストラトス・桜花舞う   作:京勇樹

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マロースの一族

江戸川家に人形の導入を要請してから、約一週間後。二年生に、新しく編入生が来た。

 

『新しく二年二組に編入する事になりました、ジャンヌ・マロースです。よろしくお願いします』

 

ジャンヌ・マロース

二年二組に編入された、新しい魔法使い。身長は一夏より少し高い位で、スタイルは千冬に匹敵する。顔つきは確かにシャルロットによく似ており、若干タレ目な為にのんびりしているようにも見える。

そんなジャンヌと直接話したのは、放課後に音姫の部屋に集まってからだ。

 

「初めまして、織斑くん。ジャンヌ・マロースです。よろしくね」

 

「織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

二人は軽く自己紹介すると、握手した。一夏の握手した感想は、柔らかさと堅さを感じた。

女の子特有の柔らかさと、何らかの作業による堅さ。

 

「ふふ、手が気になりますか? 私は、ぬいぐるみ作りと修理をしてます」

 

一夏が手を僅かに見たのに気付いたジャンヌは、ニコニコと笑みを浮かべながら一夏に説明した。

ジャンヌはフランスのマロース一族が経営する店で、ぬいぐるみ作りと修理を担当している。

店では時々、子供や親族が修理に立ち会う事かあるので、実際に作れたり修理する為に技能は習得済みである。

 

「そして私の魔法は……使い魔と支援に特化してるわ」

 

ジャンヌはそう言って、パチンと指を鳴らした。

すると周囲に、様々な小さい動物が現れた。

 

「これが私の使い魔達……小動物なら居ても不思議に思われないでしょう?」

 

確かに。ジャンヌの使い魔達は、猫や小鳥の見た目だ。

此れならば、窓際や木に留まっていたり、居ても不思議には思われないだろう。

 

「という訳で、早速IS学園全体に放ちますね」

 

ジャンヌがそう言って、右手をばっと開くと、使い魔達は散開して消えていった。

 

「使い魔達は魔力で編んでるから、普通の壁とかは抜けられるわ……」

 

ジャンヌが言った時、数体の使い魔が壁や窓をすり抜けて消えていた。中々に便利だ、と一夏は思った。

使い魔達が全て消えると、ジャンヌは

 

「そういえば、確かこのIS学園には私の親戚が居ると聞きましたが……」

 

と音姫に顔を向けた。

 

「あ、シャルロットちゃんだね。どうしたの?」

 

「写真ありますか? 見てみたいのですが」

 

「あ、俺の携帯にあります」

 

一夏はそう言って、スマホの写真アルバムからシャルロットの写真を画面に表示させた。

因みに、一夏の携帯にシャルロットの写真があるのは、クラスメイトの思い出としてである。

ジャンヌはその写真を見て

 

「……確かに、よく似てますね……それに、この眼の色……母さんにそっくりです」

 

「ジャンヌさんのお母さんにですか?」

 

一夏の問いかけに、ジャンヌは頷き

 

「うん……確かお母さんは、妹が20年位前に居なくなったって言ってた……名前は確か、ルフィリア」

 

その名前は、アイシアが告げた名前だった。

 

「アイシアさんが言ってた名前だ」

 

「アイシア? アイシア・マロース大叔母様ですか?」

 

「あ、はい。初音島で出会って、シャルロットを見てルフィリアさんの名前を出しました」

 

「アイシア大叔母様、初音島に……」

 

一夏がアイシアとの経緯を軽く説明すると、ジャンヌは

 

「実はアイシア様は、以前に過去を書き換える禁術を使った咎で、一般人の方々の記憶に残らない呪いを受けました……私達直系血族と魔法使いの記憶にしか残らない……」

 

「記憶に残らない……」

 

それは、余りに残酷な呪いと言えるだろう。しかし、それ程の禁術という証でもある。

もしかしたら、幼い姿なのもその呪いの一部なのかもしれない。

 

「っと、脇道に逸れてしまいましたね。使い魔達は放ったので、後は報告待ちになります」

 

「ありがとうございます、ジャンヌさん」

 

果報は寝て待て、ということわざも有るから、後は使い魔からの報告を待つ事にして、一同は解散した。

 

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